年齢を重ねると難しくなる靴選び…ミドル世代のスニーカー選び 失敗しない10のポイント「シンデレラフィットを見つけよう」
ウオーキングやランニングなど運動を始めたいと思っている人は多いだろう。その際に、自分に合わない靴を履いていれば健康になるどころか足や腰を痛めることになるかも。100年歩ける足のために、足腰を痛めないスニーカー選びを専門家のお二人に教わった。今履いているスニーカーに違和感がある、これから買おうと思っている方は是非参考にして欲しい。
教えてくれた人
桑原靖さん/足のクリニック表参道院長
木村克敏さん/足と靴と健康協議会事務局長・上級シューフィッター
40~50代からは骨格構造が崩れる
「自分のサイズに合った靴を選んでいるのに、いつも足が疲れてしまう」
――年を重ねるとともに、「靴選び」はだんだんと難しくなってくる。
足のクリニック表参道院長の桑原靖さんが解説する。
「足の構造は年齢やライフスタイルとともに変化します。特に40~50代からはホルモンバランスの変化や骨密度の低下によって骨格構造が崩れ、アーチへの負荷がかかりトラブルが目立つようになります」(桑原さん・以下同)
とりわけ多いトラブルは外反母趾だという。
「くるぶしから下の足を構成する骨の数は両足で56個あり、極めて複雑な構造をしている。骨格構造の崩れは外反母趾だけでなく、足底腱膜炎(足底が地面に着いたときに痛みを感じる)や変形性足関節症などのトラブルを招き、それらをかばって歩こうとすることでひいては膝や股関節を痛めてしまうことにつながるのです。
歩くことは健康寿命を延ばすためにとても重要ですが、トラブルを抱えたまま無理に歩くとかえって寿命を縮めかねない。靴は歩くための大切な補助ツールであり、足のパフォーマンスを上げるために欠かせないもの。選び方を知っておくことが健康寿命に直結します」
スニーカーと足を一体化させる
少しでも疲れにくいようにと「ぺたんこ」の靴を選ぶ人は少なくないが、それはNG。
「地面に着地したときの衝撃をやわらげるため、靴底のソールはクッション性があり多少の厚みがあった方がいい。さらに、後ろが前よりも5mm~1cmほど高くなっているとなおいいです」
足と靴と健康協議会事務局長で上級シューフィッターの木村克敏さんもこう重ねる。
「歩こうとすると、足の裏は曲がります。ですから、靴のソール部分もその動きに連動してしっかり曲がることが望ましい。ジョギング用のシューズは軽くてとても履きやすいのですが、前に蹴り出す力が大きく作用するようあらかじめソールが反り返っているので、歩きだと足が疲れてしまう。足裏の曲がる角度は人によってさまざまなので自分に合うものを選びましょう。歩いてみて違和感があるなら合っていない証拠です」
自分のサイズよりも大きなものを履いている人は意外にも少なくないという。
「外反母趾などの痛みを避けたいとか着脱が楽だからなど、無意識のうちに少し大きめのサイズを選んでしまうのかもしれませんが、大きい靴だと足に衝撃が伝わりやすい。また、歩くときに足が前にすべって指が変形することもあります。靴の中で足が動かないこと、しっかりとかかとが固定されていることを試し履きの際はよく確認してください。紐でしっかり足の形に合わせてフィット感を微調整できるとベストです」(木村さん)
桑原さんも、ズレを止める必要性をこう語る。
「足のズレがないということは、アーチがしっかり支えられ崩れる心配がないということです。足と靴を一体化させることで疲れや痛みが軽減されますよ。メーカーによってサイズ感や形には差があるので、履き比べるのもいいですね。自分の足に合ったインソールがあると汎用性が高くなるのでおすすめです」
100年歩くためには、まずは今日の一歩から。下記チェックリストも参考に、“シンデレラフィット”するスニーカーを探しに行こう!
足の「エイジングサイン」出てますか?
気づかないと「足トラブル予備軍」に。まずは自分の足の状態を知ろう。
□ 足のサイズが大きくなる
□ 足の幅が広くなる
□ 膝が内側に向く、もしくは外側に向く
□ 足指が曲がる
□ 夜中に足がつる
□ 靴底の減りが内側や土踏まず付近に出現するなど、異常な減り方をする
「正しい骨格構造なら靴底はかかとのやや外側から減っていきます。老化の予兆を見逃すと、足の機能が低下し歩行の際に痛みが出やすくなるのでこまめにチェックしてみてください」(桑原さん)
これで完璧! 足のサイズの測り方
間違ったサイズ選びに要注意!
足囲
親指の付け根の最も出っ張っている点と、小指の付け根の最も出っ張っている点を結ぶように足を表裏ぐるっと一周する長さ。
足幅
親指の付け根の最も出っ張っている点と、小指の付け根の最も出っ張っている点の直線距離。
足長
かかとの端(A)と最も長いつま先の高さ(B)を垂直に結ぶ長さ。
セルフ測定のコツもCheck□
【1】 紙に横線を引き、垂直になるように縦線を引く。
【2】 人差し指の先とかかとの中心が縦線と重なるように足を置き、【A】(かかと)と【B】(最も長いつま先)に印をつけ、【1】で引いた縦線と垂直になるようにそれぞれ横線を引く。
【3】 【A】を通る横線と、【B】を通る横線を垂直に結ぶ長さが「足長」となる。
出典/木村さんへの取材をもとに本誌作成
あなたはどのタイプ!? 「つま先の形から靴選び」
つま先の形状もスニーカー選びの大事な要素になる。
スクエア型 約10%
少数派で、合う靴が見つからない人も。幅広のスニーカーを試してみて。
ギリシャ型 約20%
親指より人差し指が長いタイプ。つま先が細くなっているスニーカーがフィット。
エジプト型 約70%
日本人に最も多い形。つま先が長めのスニーカーを選ぶと形に合いやすい。
失敗しない選び方10のポイント【まとめ】
以下、10個のポイントを押さえればもう完璧!
【1】紐かベルトで足を固定、ファスナーでも◎
【2】足の甲までしっかり覆われている
【3】足の形に合うよう素材は革を推奨
【4】ヒールカップがしっかりと硬く、かかとにフィットする
【5】つま先の余裕は5~10mm程度
【6】インソールが外れる構造
【7】置いたときに安定感があり、足先は浮いている
【8】アウトソールは硬すぎず、柔らかすぎず、厚みがあるもの
【9】指の付け根で曲がる構造
【10】ドロップ(かかとと足指の高低差)が5~10mm程度
出典/「足のクリニック表参道」HPより
取材・文/井上明日香 取材/小山内麗香、戸田梨恵
※女性セブン2024年5月23日号
https://josei7.com/
●シニア世代のスニーカー選び5つのポイント「足裏アーチ」「かかと」が重要【専門家解説】