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健康

歩行は誰にでもできる【健康法】1日1万歩は必要なし!正しく歩くことが大切「週2回以上のウオーキングで認知症リスク半減」

 コロナ禍以降、健康意識の高まりで運動を始める人が増加し、24時間営業のジムもにぎわいを見せている。しかし、正しく足を動かすことができれば、自分の力であらゆる病気は予防できる。誰でも簡単にできる「健康法」を教えます。

教えてくれた人

今村大祐さん/プロフェッショナルウォーキング協会代表理事

大谷義夫さん/池袋大谷クリニック院長。『1日1万歩を続けなさい 医者が教える医学的に正しいウォーキング』著者

辻大士さん/筑波大学体育系助教

間違った歩き方は危険!1日4000歩を続けて健康になろう

 バラやボタン、シャクヤクなどさまざまな花が一斉に開花期を迎え、外を歩くのが楽しい季節になった。しかし、主婦の山岡望美さん(仮名・63才)はため息をつく。

「“健康にいい”“ダイエットになるから”と昔から散歩が趣味でした。しかし、最近は少し歩くだけでひざや腰が痛くなってくるうえ、肩こりもひどくて外に出る気力がなくなってしまいました」

 山岡さんの感じている不調は、間違った歩き方が原因の可能性があると指摘するのは、プロフェッショナルウォーキング協会代表理事で、多くのモデルにウオーキング法を指導している今村大祐さんだ。

「特別な運動をしていない人でも、平均して1日4000~6000歩は歩きます。それが1か月で12~18万歩、1年で146~216万歩と積み重なっていけば、どんな歩き方をしているかによって体の状態は大きく変わってくる。例えば悪い姿勢で、体の軸が崩れた歩き方をしていると、本来使うべき筋肉が使えません。筋肉が衰えることでほかの部位に負担がかかって筋肉が硬くなり、神経が圧迫される。結果として肩こりや腰痛、ひざ痛、座骨神経痛の原因になり、O脚や下半身太り、下腹ぽっこりにもつながります」

 翻っていえば、正しく歩く方法を身につければ体のラインが整い、不調も改善される。

「太ももの裏側にあるハムストリングや内ももの内転筋をしっかり使えるようになるので、下半身に筋肉がついて脚が引き締まり、ヒップアップします。全身のバランスが整い、バストアップ効果も期待できる。脚でしっかり蹴りだして歩くようになると毛細血管まで血液が行き届いて、末端冷え症も改善されます」(今村さん)

1日の歩数が2000歩増えると糖尿病のリスクが下がる

 正しいウオーキングが生む健康効果については多くの研究によって明らかになっている。

『1日1万歩を続けなさい 医者が教える医学的に正しいウォーキング』の著者で、池袋大谷クリニック院長の大谷義夫さんが解説する。

「米カリフォルニア大学の調査では、1日の歩数が2000歩増えると糖尿病発症リスクが12%低下することがわかっています。私自身、コロナ禍に体重が増えたのが理由でウオーキングを始め、1か月で体重を元に戻しました。有酸素運動はダイエットにいいですし、高血圧の予防・治療にも有効です。また、歩くことは免疫力も高めます。よく歩く人は肺炎による死亡リスクが低くなることが明らかになっており、ウオーキングは新型コロナウイルスなどの感染症の重症化を防ぐためにも有効だといえます」

 がんの予防や死亡率を低下させることも明らかだという。

「アメリカとヨーロッパの約18万7000例のがんを取り上げた大規模調査では、ウオーキングなどの運動によって乳がんや大腸がん、肺がんなど13のがんのリスクが低下していたことが判明しています。週150分のウオーキングをしていた大腸がんの患者は、運動量が少ない患者より死亡率が低かったというデータもある」(大谷さん・以下同)

 このように著書の執筆中、国内外の論文を調べた大谷さんを特に驚かせたのは、脳を活性化し、メンタルを整える効果だ。

「東北大学の研究では、1日に60分以上の歩行を続けた人は、30分未満の人より認知症になるリスクが28%も低いことがわかりました。週2回以上、ウオーキングなどの軽い運動をすると、認知症のリスクが半減するというデータもあります。ウオーキングに代表される激しすぎない運動は副交感神経を優位にするので、不安や緊張、抑うつが改善されて、自律神経のバランスが整いやすくなる。太陽の光を浴びながら歩けば、幸せホルモンである『セロトニン』の分泌量も増え、更年期うつにも有効です」

 歩き続けることで“寝たきり”になるまでの時間を引き延ばせると話すのは、筑波大学体育系助教の辻大士さんだ。

「65才以上の高齢者を対象に調査をした結果、1日に歩く時間が平均30~59分未満の人は、30分未満の人に比べて238日、1時間以上の人は360日も健康寿命が延びています。年齢を重ねると誰しも体が衰えますが、たくさん歩いている人ほど老いるペースを緩められるといえます」(辻さん)

写真/PIXTA

※女性セブン2024年5月23日号
https://josei7.com/

●ウォーキング続けられない人のための認知症予防体操

●70才を超えても元気に歩くために今すぐやるべきこと 強い骨を作る6つの生活習慣 

●認知症を引き起こす<アカン習慣13選>「日常生活の改善で発症リスクは約4割も下げられる」【医師解説】

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