「うらしま太郎」体験レポート !記者が高齢者を疑似体験。気持ちを実感
「高齢者」を疑似体験し、お年寄りの不自由さが実感できる体験プログラムが「うらしま太郎」というセット。
女性セブン記者が、これを装着。体験レポートをお伝えする。
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高齢者の立場に立って相手の心理世界を見る
人は年を取るとあらゆる身体機能が衰える。とはいえ、高齢者が直面する不自由さやもどかしさを、若いうちに実感するのは不可能に近い。
そこで、耳栓や特殊眼鏡、手足の重りなどを装着するアナログな方法で、高齢の身体的機能低下や心理的変化を疑似体験できるプログラムとして、日本人向けに長寿社会文化協会(WAC)が25年前に開発したのが「うらしま太郎」というセット。
今も販売中でインストラクターも6000人いる長寿プログラムだ。
早速、これを装着してみた。
最初は大したことないと思っていたが、単純な日常動作も思うようにできず、カメラマンの指示もよく聞こえず「はあ?」と何度も聞き返していたことにわれながら唖然。
例えば、「新聞を読んで」と出されても、字が小さい記事は読む気になれない。白内障が進行した目では、紙コップの中に入れた水も見えない。
次に「178円を財布から出してみて」と言われても、硬貨が判別しづらく指先も動かず、取り出すのに四苦八苦。
高齢者に共感する気持ちが生まれる
「これをつけて体験すると、若い頃できたことができなくなるお年寄りのもどかしい気持ちと、申し訳ない気持ちが理解できるようになります。すると、レジでお金を払うのに時間がかかったり、人の話が聞こえず何度も聞き返すお年寄りがいても、待ってあげようという気持ちになる…と、体験者のほとんどのかたは感じるようです」(WAC研修・教育事業部主任・榊芳子さん)
こうした理解は同情ではなく、心理学の“共感”に当たると前出の和田さんは言う。
「同情がやや上から目線なのに対し、共感は相手の立場に立って相手の心理世界を見るもの。本来なってみないとわからない相手の気持ちを、自分に同じことがあったと想定して考えられるのも、疑似体験ならではの特徴なのです」
<体験スポット情報>
公益社団法人 長寿社会文化協会(WAC)
WAC開発の高齢者疑似体験プログラム「うらしま太郎」は、東京ガス新宿ショールームや千葉県我孫子市のふれあい福祉プラザでも無料体験可。購入やインストラクター養成等の問い合わせはWACまで。
●東京都港区芝公園2-6-8日本女子会館1階
電話:03・5405・1501
http://www.wac.or.jp/
※女性セブン2019年4月18日号