「梱包に使うガムテープ、正式名称とは」実は奥深い”テープ”の話 特徴や用途を専門家が伝授
マスキングテープ、セロハンテープ、両面テープ――。さまざまな場所で貼って使う「テープ」は、プロが把握しているだけでも3800種類はあるという。昔より素材、形状、機能の面でもバリエーションが広がり、掃除や収納、防災などにも役立つものもあるそう。身近なテープの機能や用途について、達人に教えてもらいました!
教えてくれた人
日東電工(ニトムズ)・広報担当者
ホームセンター コメリ・広報担当者
テープは3800種ある「ガムテープだと思ったら…」
「一言でテープと言っても、種類や特性はさまざまです」
と言うのは、グループ会社である『ニトムズ』でテープを扱う日東電工の広報担当者。
「私が把握しているだけでも3800種類ほどあります。よく知られているのが布テープやクラフトテープに代表される粘着テープです」(同担当者・以下同)
宅配便で荷物を送るときなどによく使う粘着テープを“ガムテープ”と呼ぶ人が多いが、これは間違いなのだ。
「ガムテープとは片面を水に濡らすと粘着力が出るテープのこと。水に濡らすことなく、そのまま貼れるテープは、粘着テープと呼ぶものです」
ホームセンター『コメリ』の広報担当者は「粘着テープはその素材によって使用用途が異なる」と話す。
「布テープのように表面がザラザラとしたものは文字が書きやすく、紙でできたクラフトテープは手で簡単に切れるのが特徴です。一時的な仮止めや周りを汚さないためなどの保護目的で使う養生テープやマスキングテープは、粘着力が弱くはがしやすいメリットがあります。そのほか、防水、防カビといった機能性に特化したものもあるので、目的に合ったテープを選ぶといいですね」
では、どんなテープがあるのか、見ていこう。
テープの種類と用途一覧「あなたはいくつ使っている?」
ホームセンターなどで販売されているテープは、それぞれ特徴や用途によって発揮する力が異なる。何を選べばいいのか? 主な16種の特徴と用途などをまとめたので参考に選んでみて。
※価格はすべて編集部調べ。写真提供/日東電工
種類(相場価格)/使用用途/特徴
【1】布テープ(100~300円)
梱包、仮止め、固定、補修など
布に厚く粘着剤を塗布しているので、頑丈。重ね貼りもでき、凸凹面にもしっかりと粘着するため小包、段ボールなど使用場面を選ばない。
【2】OPPテープ(100~200円)
段ボールの梱包など
ポリプロピレンフィルムにアクリル系粘着剤を主に塗布している。粘着性と透明度が高く、耐水性、耐湿性に優れている。
【3】養生テープ(200~500円)
シートや布の固定など
ポリエチレン素材で作られており、手で真っ直ぐ切ることができる。ペンでテープの上から文字が書ける。はがしやすく、のりが残りにくい。
【4】マスキングテープ(100~200円)
保護、装飾など
養生テープと使用目的は似ているが、マスキングテープは紙でできており、水に弱くてはがしやすい。また、カラーや柄が豊富なものもある。
【5】ラインテープ(500~700円)
床の区切り、目印など
ビニールやポリエステルなどの素材で使われ、蛍光色など色が鮮やかなものがある。レーンマーキングテープとも呼ばれる。
【6】クラフトテープ(100~500円)
段ボールの梱包など
クラフト紙に粘着剤を塗布したテープ。表面がツルツルで水や油を弾きやすく、テープの上から文字が書けない。重ね貼りにも向いていない。
【7】セロハンテープ(100~600円)
封書の貼り付け、固定、仮止めなど
木材パイプを利用したセロハンを使ったテープ。透明で目立たない。原材料が自然素材の木材のため、環境にも優しい。
【8】クロステープ(400~1000円)
段ボールの包装、固定、仮止め、保護
ポリエチレンなどの素材をベースに作られ、布などに比べると軽量で引き出しやすい。カラーバリエーションも豊富。
【9】両面テープ(200~300円)
紙、プラスチック、金属などの接着
不織布などの基材の両面に粘着剤を塗っており、紙同士などさまざまな物を固定する。真っ直ぐ貼れるが、ややはがしにくい。
【10】ポリエステルテープ(500~900円)
小型電気機器などの絶縁
ポリエステルフィルムを使用した粘着テープ。電気絶縁性、機械強度、屈曲疲労強度、耐水・耐薬品性に優れている。
【11】表面保護テープ(900~2000円)
スマートフォンや家電の画面などの保護
薄くて透明のフィルムタイプの保護用粘着テープ。静電気の発生が少なく、ほこりの誘発を抑える。
【12】アルミテープ(300~700円)
保温、固定、水回りの補修など
金属のアルミニウムを使用し、耐熱性と防湿性を兼ね備え、紫外線、水、酸素の透過に強く製品劣化が少ない。
【13】ブチルテープ(300~600円)
屋根材の補修など
防水、耐候性に優れた厚いブチルゴム系粘着剤を使用。耐久性があるので主に住宅部材として使われる。
【14】ハーネステープ(200~500円)
自動車やバイクの配線の保護など
ポリ塩化ビニル基材を使用し、薄い素材のため重ね巻きしやすく、手で切りやすい。時間が経ってもべとつかない。
【15】封緘(ふうかん)テープ(800~1500円)
封筒、缶、箱などに封をする
封をするためのテープ。セロハンテープに比べて伸縮性があり、耐水性、耐湿性に優れ、凸凹面も接着しやすい。
【16】ビニールテープ(100~1000円)
電気絶縁、水道管の補修など
ポリ塩化ビニル素材で、粘着力と柔軟性があり、耐久性、耐寒性、防水性に優れている。高温に強く、燃えにくい面もある。