俳優・鈴木砂羽さん「我慢してがんばらなないで」頼り上手になる3つのキーワード「K・S・K」を専門家が解説
もしも介護が必要になったとき、誰かを頼ることが必要だ。「いまの時代を生き抜くのに必要なのは、人を頼るスキル、頼れない人は生きづらい」と、医師の吉田穂波さんは語る。俳優の鈴木砂羽さん(51)は、「特に女性は頼れないまま悩んでいる人が多い」と語る。健やかな人生を送りたいなら「頼り上手」になった方がいい。頼る力を磨く方法をその道のプロに教えてもらいました!
教えてくれた人
医師・神奈川県立保健福祉大学大学院ヘルスイノベーション研究科教授 吉田穂波さん
芸人・ダチョウ倶楽部 肥後克広さん
俳優 鈴木砂羽さん
作家 本田健さん
俳優・鈴木砂羽さん「幸せの秘訣は、頼り上手」
健康で心穏やか、しかもお金に困らない――そんな「頼り上手」は決して“才能”ではない。行動や口癖を少し変えるだけで、一歩近づくことができる。医師の吉田穂波さんは「まずは頼ることに肯定的になってほしい」と話す。
「当然、頼ることに抵抗を覚える人もいます。特に『ひとりでやりなさい』と言われ、頑張ってきた人は他人に頼りづらい傾向にあります。また、人の役に立つことで喜びを感じるタイプの人は、助けることの方に価値を置いてしまい、自分からは周囲に助けを求めにくいことが多いですね。
職業でいうと、医療関係者や自治体職員、学校の先生などでしょうか。しかし、誰もが困ったときには人に頼る受援力を発揮してほしい。実は頼られることにも大きなメリットがあり、頼る・頼られるの関係は決して一方だけが得をしているわけではないのです」(吉田さん)
実際、「ボランティアをした人は、人の役に立ったという喜びが自身の健康にプラスに作用した」という研究論文も存在する。
俳優の鈴木砂羽さんは「特に女性は頼れないまま悩んでいる人が多い」と話す。
「仕事や育児、介護など毎日マルチタスクの中、悩みでぱんぱんになっている人が多いじゃないですか。しかも誰にも悩みを言わずに、がまんして頑張っている人がたくさんいる。
特にケア労働に忙殺されて“誰か”のために“自分”を抑えて誰にも頼れないというのは、その“誰か”の人生を優先している状態ですよね。それより“自分”の人生を歩んでほしい。『これをしてもらうと“私”が助かる』ことはどんどん周りを頼っていいし、それが人生を幸せにする秘訣なんじゃないかと思います」(鈴木さん)
ダチョウ倶楽部・リーダー肥後克広さん「介護にも頼る力必要」
作家の本田健さんはその第一歩として “受け取る練習”をすることも推奨する。
「ぼくたちは、与えるのは得意でも受け取るのは苦手です。だけどあげたい人ばかりで誰かが受け取ってくれないと、あげる・受け取るの輪が完結しないわけですよね。だから、その練習をして頼るための“筋力”をつけることも、すごく大事なことなんです。ぼくの受講生の“頼るのが苦手”な女性経営者は『その塩を取ってください』というところから練習していましたし、“わざと頼る”ことを実践してもいい。例えば『少しの間、子供を見ていてもらえない? その代わり今度はうちで預かるから』とママ友に聞いてみるとか、そんなちょっとしたお願い事が人間関係を広げることにもつながるのです」(本田さん)
その際、忘れてはいけないのが「頼りっぱなし」にしないこと。ダチョウ倶楽部のリーダー・肥後克広さんは人に頼ることについての考えを明かしてくれた。
「人を頼るときに必要なのは、柔軟性と積極性だと思っています。丸投げするときも最初は『やってみたいから、教えてよ』と頼んでみて、それでもだめだったら全面的にお願いするようにしています。
例えば介護される側だって、ベッドから本人が起きあがろうとしているときとそうじゃないときとでは、する側の大変さは段違いに変わりますよね。頼る側も頼りっぱなしで努力しないんじゃなくて、お互い助け合ってよくしようと思う気持ちが必要だと思います」(肥後さん)
肥後さんはそうした「頼り上手」の極意を十八番芸から学んだと振り返る。
「例えば『ビートたけしのお笑いウルトラクイズ』(1989~1996年、日本テレビ系)でおなじみの熱湯風呂のリアクション芸も、実は頼り合ってできているんです。最初に入った人は熱くてすぐに出る、次の人はちょっとがまんする、3番目の人は押されて入る、4番目の人は全員に引きずり込まれて全員で入るみたいに、それぞれが役割を果たすからオチができるのであって、いちばん最初の人が好き勝手やっちゃうと成り立たない芸なんですよ。
頼り合わないとね。まあ、(寺門)ジモンは、上島(竜兵)さんがいなくなって2人になってから、ネタのときに全面的にこっちを頼るようになって、頼り合いじゃなくなってるけど(笑い)」(肥後さん)