唾液のすごい力に注目!健康成分、減ると高まるリスクとは
唾液には、健康を保つためのさまざまな役割があることがわかっている。唾液に含まれる、健康成分や唾液が減るとリスクの高まる病気を紹介、唾液の知られざる力を解明する。
→唾液が少なくなると脳卒中、がん、心筋梗塞も!?あなたの唾液力をチェック
こんなにある唾液の健康成分
●IgA(アイ・ジー・エー)
正式名称は、「免疫グロブリンA」。1日50~100mg分泌され、唾液中の抗菌・抗酸化成分の中では、最も量が多い。雑菌やウイルスが粘膜に付着するのを防ぐ一方、善玉菌を粘膜表層にとどめる作用もある。母乳や腸の分泌液にも含まれる。
●ラクトフェリン
母乳、汗、涙にも含まれ、細菌の増殖を抑制する効果や、細胞の老化を防ぐ作用などがある。
●ムチン
粘液の主成分。唾液のネバネバの正体。粘液表面を外部の刺激から保護する作用がある。
●重炭酸塩
口内が酸性化し、虫歯になるのを防いで、口の中を中性に保つ働きをしている。
●ベルオキシターゼ
ラクトフェリンと同様に抗酸化作用を持つ酵素で、発がん性物質が出す活性酸素を抑制する。
●メラトニン
睡眠の質を高めるホルモンとして知られ、唾液腺の中でも作られている。
●グロースファクター
細胞を修復し、活性化させるたんぱく質の総称。唾液中には20~30種類含まれる。
唾液が減るとリスクが高まる病気
●歯周病
歯垢に潜む歯周病菌が歯茎に炎症を起こす感染症。唾液が減って口腔内の抗菌力が落ち、歯周病菌が血中に流れると心筋梗塞などのリスクが高まる。のみ込んでも大腸がんの進展原因の1つに。
●がん
活性酸素が増加すると、がんを発症しやすいのだが、唾液にはその活性酸素を分解する酵素が含まれている。そのため、唾液の量が減ると、がんの抑止効果も弱まる。
●うつ病
唾液に含まれるグロースファクターの一種BDNFの量が減ると、脳のストレス耐性が弱まり、うつ病などのリスクが高まる。
●動脈硬化
高血圧や糖尿病などが刺激となって血管が傷つくと、その部分の血管壁が硬くなったり厚くなったりする。唾液中の抗酸化成分が血管の劣化を防ぐため、唾液量が減ると血管も傷つきやすくなる。
●大腸炎
唾液中のIgAは悪い菌が腸内に入るのを防ぎ、下痢や腹痛などの不調を防いでくれる。唾液量が減ると免疫力が弱まるため、病気のリスクが高まる。
●虫歯
虫歯菌が歯に繁殖して起こる感染症。唾液の殺菌力が発生を抑えているが、唾液量が減ると進行する。
●口臭
唾液が減少すると、雑菌の繁殖が活発になり、口臭のもととなる揮発性硫黄化合物が増加してにおいが発生する。
●誤嚥性肺炎
食べ物や唾液などに含まれる細菌が肺に入って炎症を起こすのが誤嚥性肺炎。唾液量が少なくなると食べ物がのどを通りにくくなったり、唾液中のIgAも減って誤嚥性肺炎のリスクが高まる。
●風邪・インフルエンザ
唾液中の抗菌物質IgAは、風邪やインフルエンザのウイルスを口腔内でブロックする。唾液の量が減ったり濃度が薄くなると感染リスクが高まる。
●視力低下
80才で20本以上歯がある人とない人を比べると、ある人の方が視力もよいという研究成果が。歯を失うと噛む力が弱まるため唾液量も減り、視神経にも悪影響を及ぼす。
→長生きするには「口腔内ケア」を!怖い病気を招く歯周病のこと
唾液検査でがんの発見も期待できる!?
近年、唾液を検査することで、肺がんや大腸がん、すい臓がん、口腔がん、乳がんを早期に発見できる可能性があることもわかり、すでに全国約40の医療機関で検査が実施されている。
血液検査に比べて痛みもなく、わずか0.1㏄の唾液を採取するだけという簡単さから注目を集めており、今後の普及が期待されている。費用は医療機関によって異なるが1回4万円未満(編集部調べ)。
健康を判断する1つの選択肢として、唾液検査を活用するのも手。
参考文献/「唾液サラネバ健康法」(槻木恵一著・主婦と生活社)※女性セブン2019年2月14日号