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旅に看護師が付き添うツアーナースに注目!「ユニバーサルツーリズム」の現状をレポート

 少子高齢化、人口減少が続く日本。2040年には人口の約35%が65歳以上の高齢者になるというデータもある。そんな中、観光や外出をためらいがちな高齢者や障がい者が気兼ねなく旅行できる「ユニバーサルツーリズム」が広がりをみせている。介護が必要な人も安心して旅行を楽しめる「ツアーナース」も話題に。誰もが旅を楽しむための新たな取り組みについてレポートする。

持病や体力的な理由で外出や旅行を諦めない社会へ

 定年退職をしたら夫婦水入らずで旅行を検討している人も多いはず。しかし、年をとると高血圧や糖尿病などの持病を抱えたり、体を動かす機会が減少し体力面や移動手段など不安な要素が多くなるのも事実だ。

 介助が必要な高齢者に対応したバリアフリーの観光施設やホテルも増えてはいるが、旅行は安心して楽しみたい。そんな中、すべての人が楽しめる旅行づくり、観光地づくりに向けた「ユニバーサルツーリズム」を観光庁が推進。日本では対象者である高齢者が年々増加していることから、取り組む地域やサービスも広がっている。

行きたい場所への旅行が叶う「バリアフリー旅行相談窓口」

 観光地の情報を知るために、現地の観光案内所に駆け込んだことがある人もいるのではないか。最近ではバリアフリー情報に特化した「バリアフリー旅行相談窓口」(※1)が日本各地に50か所以上誕生している。

 主に観光協会やNPO法人が運営しており、観光名所や宿泊施設のバリアフリー情報の発信や高齢者・障がい者の旅行の悩みや相談を受けつけている。窓口の主な問い合わせは「車いす、ベビーカーや福祉用具のレンタル依頼」や「バリアフリー旅行の相談」が多いという。

 観光庁はバリアフリー対応や情報発信に積極的に取り組む観光施設を対象に「心のバリアフリー」を認定する制度(※2)も推進しており、日本全国で515件が認定を受けている(2023年2月20日時点)。

 シャワーチェアの貸し出し、段差でのつまづき防止用の簡易スロープ設置や刻み食、ペースト食など介護食の提供のほか、神社や寺院の険しい参道を上がるサポートなど各施設で様々な取り組みが実施されている。

(※1)観光庁:「主なバリアフリー旅行相談窓口」https://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/sangyou/content/001488557.pdf

(※2)観光庁「観光施設における心のバリアフリー認定制度」
https://www.mlit.go.jp/kankocho//shisaku/sangyou/innovation_00001.html

 旅先のバリアフリー化は進みつつあるが、介護が必要な人にとって、なかなか旅行に行くことは難しい。そんな人に向けた新たなサービスが登場したので紹介する。

看護師が高齢者の外出や旅行を24時間サポート

 2023年5月に設立した合同会社マイナース東京は、旅先に看護師が同行する「ツアーナース」のサービスを提供している。

 合同会社マイナース東京代表の立花舞さんは、自身が訪問看護師として働いていた頃、患者から

「旅行についてきて欲しい」、末期がんの患者家族からは「私たちは医療行為ができないから外出先のサポートをして欲しい」とお願いされることがあったという。

「通院や日用品の買い物など日常生活で必要と認められている外出の介助は保険適用されますが、その他の買い物、外食、趣味のような必要不可欠ではない外出や旅行は介助の保険は適用されません。

 患者様やご家族からの旅行に関する要望は全て医療保険対象外であるため、訪問看護師だった当時の私は応じることができませんでした」(立花さん)

 患者や介護に携わる家族がより快適な日々を過ごせるように、保険外の看護師付き添いサービスを開始することにした立花さん。

 旅行先のサポート「ツアーナース」のほか、看護師が自宅を訪問しケアを行う「プライベートナース」やイベント・催事運営会社向けに参加者の体調不良、ケガ、不慮のアクシデント等に備える看護師救護サービス「イベントナース」も事業として取り組んでいる。

「弊社では高齢者の社会参加促進、経済活動の参加促進を目的に、個人の患者様だけでなく旅行会社や宿泊施設とも手を組みながら“看護師同行の団体旅行サービス”の展開を計画しています」(立花さん)

***

 観光庁の「ユニバーサルツーリズムに関する調査業務 報告書」(※3)によると、外出に何らかの不自由がある高齢者を対象としたユニバーサルツーリズムの現状市場規模は「約1075万⼈(年間)」。ところが、潜在的な市場規模は「約1639万⼈(年間)」といわれている。サービスの広がりとともに高齢者になっても外出しやすい、旅行しやすい環境が整うことを願うばかりだ。

(※3)観光庁「ユニバーサルツーリズムに関する調査業務 報告書」https://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/sangyou/content/001613362.pdf

【データ】

合同会社マイナース東京

住所:東京都台東区東上野6丁目12番1 203号室

基本料⾦:2万2000円/3時間

旅⾏への同⾏:5万5000円/⽇

※上記は1日ご利用頂いた場合の上限金額です。

※同⾏看護師の旅費交通費が別途必要となります。

URL:http://mynursetokyo.co.jp

【参考】

観光庁:「ユニバーサルツーリズムについて」

URL:https://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/sangyou/manyuaru.html

取材・文/松藤浩一

●介護中でも行きたい!【バリアフリー温泉】ガイド<1>

●バリアフリー観光かくあるべし みんなが楽しめる旅行を叶える三重県の取り組み

●「訪問看護」の仕組みや費用について社会福祉士のライトさんがわかりやす~く解説

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