70才過ぎたら食べた方がいいもの12選「低栄養の解消に卵や揚げ物を」【医師提言】
低栄養の疑いがある場合、どう解消すればいいのだろうか。
「まず大事なのは“食べること”そのもの。好きなものがあればどんな食品であっても普段の食生活に、積極的に取り入れてください」
その際、もっとも意識するべきは「たんぱく質」だという。
「たんぱく質は筋肉や内臓、皮膚など体のあらゆる部分をつくる材料であり、不足すれば体全体が衰えます。しかも年を重ねるとたんぱく質から筋肉をつくる力が衰え、若い頃と同じ量を食べていてもつくられる筋肉量が少なくなるのです。
いちばん積極的に摂ってほしいのは卵。質のよいたんぱく質が摂れる完全食といわれており、免疫力を高めるビタミンAや、皮膚や粘膜の再生を促す働きのあるビタミンB2が含まれます。卵黄には動脈硬化を予防できるレシチンも含まれているので、毎日食べたい食品ですね」
かつてはコレステロール値が高くなるために1日1個が目安といわれていたが、最新の知見にもとづくと1日2~3個までなら食べてもいいという。卵かけごはんや半熟の温泉卵、卵焼きなどもおすすめ。原料に卵黄が入っているマヨネーズを食事のアクセントとして使ってもいい。
主食をたくさん食べられない人は「ポテトチップス」でも
たんぱく質と同様にしっかり摂りたいのは体を動かすエネルギー源である糖質だ。
「特におすすめなのはお米や麺類、パンなど“主食”として活躍する炭水化物。糖質に加え、腸内環境を整える食物繊維を含有しているため『一石二鳥』。主食をたくさん食べられない人は、代わりにポテトチップスでもいい。じゃがいもは代表的な炭水化物です」
ダイエットの大敵だった脂質も、70才を越えたら積極的に取り入れよう。
「から揚げは脂質とたんぱく質が同時に摂れるのでおすすめ。鶏肉はビタミンAやB2 、B6が豊富です。血行促進効果のあるアリシンや血圧上昇を抑えるカリウムなどを含むねぎをプラスすると、なおよいでしょう」
コンビニで魚の缶詰や魚肉ソーセージも
栄養のあるものをバランスよくたっぷり食べようと思っても、献立を考え、料理するのはひと苦労。そんなときに大活躍するのがスーパーやコンビニに並んでいる“お手軽食材”たちだ。添加物が入っているのではないかと敬遠しがちだが、栄養が摂れれば細かいことは気にしなくてもいい。
「うまく栄養が摂れず身長170cmで体重50㎏を切ってしまっていた男性に“コンビニでさば缶を買って食事にプラスしてください”と言って実践してもらったところ、徐々に体重が増えていきました。さばには脂質の一種で脳を活性化させるDHAや、血栓をできにくくさせたり血圧上昇を抑える作用があるEPAがたっぷりと含まれており、栄養価が高いです」
水煮缶を食べるときは、栄養がたっぷり入った汁も残さずいただこう。魚でいえば、まぐろを原料としたツナ缶や魚肉ソーセージなども手軽にたんぱく質が摂取できる優れもの。
かれいやひらめの身もビタミンB2や疲労回復効果のあるタウリンが含まれている。それらが原料のはんぺんは、カルシウムが含まれているチーズを挟んで焼くと、より効果的。あさりやしじみのカップみそ汁もタウリンや、末梢神経の働きを高め肩こりにも効くビタミンB12が含まれているので手軽に栄養が摂れる優れものだ。ストックしておいて、バランスよく取り入れよう。
あんこのおまんじゅうは糖質とたんぱく質豊富
おやつでも効果的に栄養が摂取できる。
「あんこたっぷりのおまんじゅうは糖質とたんぱく質が多いうえ、食べやすいのでおすすめです」
70才を過ぎたらお酒もがまんしない方が健康にいい。
「特にビールは体のためにも積極的に飲んだ方がいい。原料であるホップには、女性ホルモンと似た働きをする『フィストロゲン』が含まれており、冷え症や肌の老化、肩こりの改善をサポートしてくれます。スポーツドリンクも効率よくミネラルを摂取できるのでおすすめ。しかし、糖分が多いので常飲ではなく、運動後などタイミングを決めて飲んでください」
食材に加えて低栄養から脱出する一歩として、日々の食事環境を楽しく過ごすような状況に変えていくことも大事だと吉村さんは指摘する。
「自分が食べたいなら、毎日揚げ物や卵が続いてもいい。さらに、ゆったりと食事をすることで食欲が刺激されたり、食べられる量が増えていくといわれています。
毎回、ひとりで食べているという人は、なるべく誰かと一緒に食事をしてみましょう。家族が遠方であれば、テレビ電話で話しながら食事をするだけでも変わります。いつも食べている場所を変えて食事をするのもいいですね。食事を楽しむことも、隠れ栄養失調を防止するための大きなポイントなのです」
誰かと一緒に、好きなものをおいしく食べることが“健康食”になるのなら、長生きするかいがあると言えるだろう。