編集長が専門家に直撃!「とろみ剤」の正しい使い方を知って家族みんなで安心しておいしい食事を
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母の介護経験をもつ介護ポストセブン編集長の関和子が、いま気になっているのが高齢者の誤嚥を防ぐための「とろみ剤」。「母が食事中、飲み込みにくそうにしていたことにもっと早く気づいてあげればよかった…」。そんな想いから、嚥下の基本やとろみ剤の必要性、正しい使い方などを2人の専門家にとことん聞いてみました!
編集長が専門家に聞く!テーマは「とろみ剤」
介護ポストセブン編集長の関和子が、母親の介護を通じて感じた疑問や悩みを、その道の専門家と対談する「教えて!」シリーズ。
管理栄養士として在宅介護の現場で活躍する稲山未来さんと、キユーピーで介護食やとろみ剤の研究開発をする藤代麻衣さん、2人の専門家に徹底的にお話を伺いました!
プロフィール
管理栄養士・稲山未来さん
東京都出身。Kery栄養パーク代表。「全ての人に食べる喜びを」をモットーに、訪問栄養・食事指導に力を注ぐ。認定在宅訪問管理栄養士、介護支援専門員、認知症ケア専門士などの資格をもち、栄養指導や地域栄養講座の開催、管理栄養士の教育なども行う。好きな食べ物は「鮎」。
キユーピー研究開発本部・藤代麻衣さん
神奈川県出身。大学で管理栄養士の資格を取得。健康をサポートする食品の開発を目指し、キユーピーに入社。ベビーフードの開発部門を経て、介護食『キユーピー やさしい献立』シリーズの開発に携わる。好きな食べ物は「枝豆」。
介護ポストセブン編集長・関和子
新潟県出身。介護ポストセブンの編集責任者としてウェブサイトの企画・立ち上げから運営まで手がける。親の介護経験から、介護中の読者と同じ目線に立ったわかりやすい記事作りを心掛け、日々奮闘中。好きな食べ物は「なす」。
とろみ剤の始め方。「むせる」ようになったら要注意
介護ポストセブン編集長・関和子(以下、関):要介護3の母(85歳)が、だんだん食が細くなってきて、食事を用意しても「これは食べたくない」と言うことが増えました。元々好き嫌いが激しかったので、嗜好のせいだと思い込んでいたんです。
その後、母が骨折して入院したとき、飲み込む力が弱っていることを指摘され、ハッとしました。
管理栄養士・稲山未来さん(以下、稲山):ごっくんと飲み込む動作を「嚥下(えんげ)」といいますが、嚥下機能の低下は、ご本人もご家族も気づいていないことは多々あります。
加齢などで嚥下機能が低下すると、誤嚥性肺炎のリスクも高まるため、むせることが増えたり、食事の量が減ってきたりしたら、とろみ剤の利用や、嚥下調整食品(いわゆる介護食)への移行を検討する必要がありますが、ご家族だけの判断ではなかなか難しいと思います。
キユーピー・研究開発本部 藤代麻衣さん(以下、藤代):噛む力の衰えやむせが気になり食べ物や飲み物にとろみをつけようと思っても、何から始めればいいかわからない方のほうが多いと思います。
市販品で介護食専用のものがいろいろとありますのでご活用いただきたいですね。
ご自身で調理されるかたや飲み物には、簡単にとろみをつけられる『とろみファイン』がおすすめです。
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関:私自身、とろみ剤は知ってはいましたが、母の食事には使ったことはありませんでした。
稲山:とろみ剤については、在宅介護の現場に栄養指導に行くと、ヘルパーさんなど介護のプロでも、しっかり理解して使っている方はそう多くはないと感じます。介護の現場は、とにかく時間との戦いで、忙しいですから…。
関:とろみをつけるといえば、片栗粉が真っ先に思い浮かびますが、とろみ剤とはどのように違うのでしょううか?
稲山:片栗粉でつけたとろみは、離水といって水分が分離してしまうことがあるので介護食にはおすすめできません。
また、片栗粉はでんぷんが主成分。唾液に含まれる消化酵素のアミラーゼには、でんぷんを分解する働きがあるため、食べているうちにとろみが薄くなってしまうこともあるんです。
藤代:私たちの調査※でも介護食のとろみづけに片栗粉を使っている人が3割近くいました。片栗粉でとろみをつけるときは加熱が必要ですが、とろみ剤は加熱せずにとろみがつきますし、冷たいものでもさっと溶けます。
※2021年キユーピー「介護にまつわる意識調査」より。
とろみ剤を使い始めるタイミングは?
関:とろみ剤を使い始めるタイミングはどう判断すべきなのでしょうか?
稲山:訪問栄養指導の現場でよくあるのが、ご家族は「食事の工夫をしても食べてくれない」と感じている一方で、ご本人は「食べたい意思はあるのに、うまく飲み込めないから食べるのをあきらめている」というケース。双方の気持ちがすれ違っているんですね。
関:母も食べたい気持ちはあるけど、食べられなかったのかも…。母はヨーグルトやゼリーのようなやわらかく、とろっとしたものを食べたがることが多くなっていました。
稲山:やわらかい食事を好むようになった場合は、嚥下機能の低下だけでなく、もぐもぐしたり舌を動かすといった咀嚼(そしゃく)機能や歯に問題がある可能性もあります。
お茶や水などの液体でむせることが増えてきたら、嚥下機能の低下が考えられますので、とろみ剤を使い始める目安と考えていいと思います。
いずれにせよ、食事の様子に変化が見られたら、一度専門家に相談してご本人の嚥下の状態を把握ずることが先決。訪問の歯科医師や管理栄養士、言語聴覚士などの専門職や、病院なら「嚥下リハビリテーション外来」などで相談してください。
関:母は入院した際に嚥下機能が低下していると指摘されましたが、もっと早く気づいていればよかったと後悔しています。とろみをつけた食事にしていれば、もっといろんな料理を食べることができたのにと…。
とろみ剤の選び方のポイントは?「味と溶けやすさ」
関:これからの季節、脱水も心配です。積極的に飲料を摂ってほしいのですが、そんなときにもとろみ剤は是非活用したいですね。とろみ剤を選ぶときに注意するポイントはありますか?
稲山:はい、私がとろみ剤を選ぶときのポイントは2つあります。
・味に変化がないもの
・溶けやすいもの
味の濃い飲料だとわかりにくいですが、お茶や水にとろみをつけると苦みを感じるものもあるんです。
また、嚥下機能が低下しているかたにとっては、溶け残ってダマになっていると、のどに貼りついて窒息の危険性もありますので、サッと溶けてダマにならないことは重要なポイントです。
藤代:とろみ剤に対して「味が変わってしまうのではないか」などネガティブなイメージをお持ちのかたもいらっしゃいますが、『とろみファイン』は、飲み物や食べ物の味や色・香りを極力変えないように配慮しています。
関さん、とろみをつけたお茶を飲んでみてください。
関:わぁ、おいしい!とろんとしているけど、お茶の香りや味わいはそのままですね。もっと違和感があるのかと思っていましたが、これ、結構好きかも(笑い)。
稲山:本来のお茶の味とまったく変化がないですよね。また、『とろみファイン』はさっと溶けてダマになりにくいと感じました。
関:『とろみファイン』をさっと溶けやすくするために、開発でこだわった点はありますか?
藤代:はい。水となじみやすいように、とろみの素の粒子に小さな穴をあけています。そうすることで、1粒1粒が水を抱え込むので、ダマになりにくく、とろみがつきやすくなっています。
関:へぇ~。粒の1つ1つにそのような工夫がされているとは驚きました。そもそも、とろみがつくメカニズムを教えてください。
藤代:『とろみファイン』の場合は、かきまぜることで粉末が水の中で分散し、水を含んで膨らみます。その後、しばらく置くと、それぞれがネットワークをつくることで、とろみがつきます。
水分に適切な量の『とろみファイン』を入れたら15~20秒ほどしっかりかき混ぜます。その後、とろみが出てくるまでしばらく待つのがポイントです。
関:しばらく待つんですか!? かき混ぜて溶けたらすぐに飲んでいいのかと思っていました。とろみがついていないから粉を追加して“追いとろみ”をしたくなりそうですが…。
稲山:それが一番やってはいけないんですよ。すでにとろみをつけたものに粉を追加してしまうと溶け切らずダマになってしまう可能性も。とろみが足りないと感じたら、新たに濃いとろみ液を作って追加するのが正しい使い方です。