「“素敵なオバサン”って?」女性の質問に毒蝮三太夫が答えた「男女関係なく魅力的な人物像」|「マムちゃんの毒入り相談室」第30回
「マムシさんが考える素敵なオバサン、魅力があるオバサンって?」――。そう尋ねるのは、自分もそろそろ「オバサン」と言われる年齢になったと感じている44歳の女性。言うまでもなく、女性にせよ男性にせよ、それぞれの年代ごとの魅力がある。マムシさんが具体的な例を挙げながら、迷える相談者に“今後の人生の指標”を授ける。(聞き手・石原壮一郎)
今回のお悩み:「44歳の私はどんなオバサンを目指せばいいですか?」
もう聞いてくれたかな。春から「スポテファイ」ってところで、大沢悠里ちゃんとポッドキャストの配信番組が始まった。ジジイがふたりだから「大沢悠里と毒蝮三太夫のGG放談」っていうんだけど、いろんなゲストにも来てもらったりして楽しくやってる。
その番組に、このあいだTBSラジオで平日の午前中に番組を持ってるジェーン・スーちゃんと、元TBSアナウンサーの堀井美香ちゃんが出演してくれた。そしたら、それを聞いてた44歳の公務員の女性が、こんな相談を送ってくれたんだよ。
「マムシさんと大沢悠里さんの『GG放談』、いつも楽しく拝聴しています。先日のジェーン・スーさんと堀井美香さんがゲストでいらした回は、おふたりのこともとても好きなので何度も聴きました。
スーさんと堀井さんは少し先輩ですが、私も『オバサン』と呼ばれる年齢になりました。そのことはいいんですけど、いくつになっても魅力的でいたいとは思っています。マムシさんが考える『素敵なオバサン』『魅力のあるオバサン』とは、どういう人でしょうか。どんなオバサンを目指せばいいのか、今後の人生の指標をお授けください」
回答:「女性も男性も関係ない。見栄を張らず、素直さを失わない、そんな人は素敵だよね」
スーちゃんと堀井美香ちゃんは、TBSラジオ仲間でもあるけど「スポティファイ」仲間でもある。彼女たちのほうが先輩で、かなり前から「ジェーン・スーと堀井美香の『OVER THE SUN』」って番組を持ってるんだよな。「オーバー・ザ・サン」って、表向きは「太陽の向こう側」なんて言ってるけど、どうやら「オバサン」と引っ掛けてるらしい。
相談をくれた44歳の女性にとって、彼女たちは「オバサンの先輩」ってことだ。何歳ぐらいからが「オバサン」なのかねえ。俺はよくわかんないからスタッフに聞いてみたら、「40代以上ぐらいじゃないですかね。うーん、50代かな。ただ、50代の女性や60代の女性に、面と向かって『オバサン』なんて絶対に言えないですけど」って言ってた。
たしかに、日頃からさんざん「ババア」って言ってる俺が言うのもヘンだけど、「オバサン」のほうが言いづらいかもしれないな。とはいえ、人間は誰でも歳を取るし、年代にふさわしい呼び方がある。そして、年代ごとにそれぞれ魅力がある。若ければいいってもんじゃない。若くあろうとするのはいいけど、無理に若さにしがみつくのは痛々しいよ。
俺が考える「素敵なオバサン」や「魅力のあるオバサン」は、どういう女性か。あくまで俺が個人的にそう思うってだけの話だけど、具体的に挙げていってみよう。
まずは「ジーパンが似合う人」だね。さっきの話じゃないけど、若者ぶるんじゃなくて若々しさが感じられる。「エプロンが似合う人」もいいな。割烹着でもいい。そういうのが似合うってことは、地に足をつけて人としてきちんと生きてきたってことだ。女性だからって話じゃなくてね。ジーパンやエプロンもだけど、清潔感はやっぱり大事だな。
美人だとか何だとか、そこは重要じゃない。素敵で魅力的なオバサンに共通しているのは、笑顔が豊かってことだね。いつも明るくて、変わらない笑顔で挨拶してくれる。それと、機嫌がいいときと悪いときの差がない人だね。生きてりゃいろんなことがあるけど、自分の機嫌を上手に取れるのは若者には真似できない“年の功”だ。
食事をおいしそうに食べる人もいいね。おいしいと思ったら「このお寿司、おいしい!」なんて素直に言ってほしい。オバサンはいろんなものを口にしたことがあるだろうけど、そこで「まあまあね」って顔しなくてもいいんだよ。女性も男性も、年齢を重ねると見栄を張ったり気取ったりしがちだ。だからこそ、素直さを失っていない人が魅力的に見える。
ほかにもいろいろある。隠し事をしない。嘘をつかない。嫌なことを引きずってクヨクヨしない。ケチじゃないっていうか、金に汚くない。こういうことに気をつけたほうがいいのは、オバサンに限った話じゃない。オジサンもジジイもババアも同じだ。
ただ、実際にはできない人が多い。だからこそ今言ったようなことに気をつければ、きっと「この人素敵だな」「魅力的だな」と思ってもらえるよ。まわりに思ってもらうだけじゃなくて、堂々と胸を張って毎日を過ごせば何より自分が気持ちいいよね。
最初に言ったように、あくまで俺の考えだから、全部そのとおりにしようと思わなくていい。自分に役立ちそうなことだけ参考にしてくれれば十分だ。こういう相談を送って、どんなオバサンになればいいか真剣に考えているあなたは、素敵で魅力的なオバサンになれるよ。俺が保証する。これからのオバサンライフを大いに満喫してくれ
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毒蝮三太夫(どくまむし・さんだゆう)
1936年東京生まれ(品川生まれ浅草育ち)。俳優・タレント。聖徳大学客員教授。日大芸術学部映画学科卒。「ウルトラマン」「ウルトラセブン」の隊員役など、本名の「石井伊吉」で俳優としてテレビや映画で活躍。「笑点」で座布団運びをしていた1968年に、司会の立川談志の助言で現在の芸名に改名した。1969年10月からパーソナリティを務めているTBSラジオの「ミュージックプレゼント」は、現在『土曜ワイドラジオTOKYO ナイツのちゃきちゃき大放送』内で毎月最終土曜日の10時台に放送中。86歳の現在も、ラジオ、テレビ、講演、大学での講義など精力的に活躍中。2021年暮れには、自らが創作してラジオでも語り続けている童話『こなくてよかったサンタクロース』が、絵本になって発売された(絵・塚本やすし、ニコモ刊)。4月からポッドキャストでスタートした大沢悠里さんとの80代コンビによるポッドキャスト配信番組「大沢悠里と毒蝮三太夫のGG放談」も絶好調(毎週土曜日午後3時)。ストリーミングサービス「スポティファイ」で過去の回も含めて無料で楽しめる。
YouTube「マムちゃんねる【公式】」(https://www.youtube.com/channel/UCGbaeaUO1ve8ldOXX2Ti8DQ)も、毎回多彩なゲストのとのぶっちゃけトークが大好評! 毎月1日、15日に新しい動画を配信中。
取材・文/石原壮一郎(いしはら・そういちろう)
1963年三重県生まれ。コラムニスト。「大人養成講座」「大人力検定」など著書多数。最新刊は「【超実用】好感度UPの言い方・伝え方」。この連載では蝮さんの言葉を通じて、高齢者に対する大人力とは何かを探求している。