杖の正しい選び方&使い方|長さ・グリップの種類・持ち方・買い替え時を専門家が解説
杖は自分の体に合ったものを選ばないと転倒のリスクが高くなるので、慎重に選びたい。杖の正しい選び方と使い方について、長野県にある杖メーカー『シナノ』の杖品種担当の山浦正行さんと、介護老人保健施設『ひまわりの里』リハビリテーション部部長で認定理学療法士の安藤岳彦さんが教えてくれました。
杖の正しい選び方・使い方
【1】長さは身長の半分
「つま先の20cm前方に杖の先がくるようについたとき、ひじが30~40度に曲がっているのが理想的で自然な形。身長の半分に、靴底の厚さ2~3cmをプラスした長さが適当です。160cmの人なら82~83cmが目安になります」(山浦さん)
【2】グリップの持ち方を確認
「図のように、グリップの短い方を前にして、支柱部分を人差し指と中指ではさむように握りましょう。杖は利き手で持つと安定しますが、どちらか片方の足に痛みや筋力低下がある場合は、痛みがある足と反対側の手で持つようにしましょう」(安藤さん)
【3】グリップの種類を知る
「杖の使い心地は、グリップを握ったときの感触に左右されます。定番のアクリル製や木製をはじめ、抗菌タイプ、ゲル素材を内蔵したり、発泡ゴムを使用したタイプ、長い間握っていても痛くないソフトタイプなど、種類は多様です。自分の好みの硬さや肌触りで選ぶといいでしょう」(山浦さん)
【4】迷ったらデザイン重視
「“持っていて気持ちが上がる杖”だと前向きになります。最近は軽くて機能面で優れたものが多いので、迷ったら、好きな柄を選んだり、服装に合わせてコーディネートしても楽しいですよ」(山浦さん)。ストラップもカラフルなものがそろう。
【5】初めてなら折りたたみタイプを
「折りたたみタイプなら、急な坂を登るときや、疲れたときにだけ活用することもできますし、旅行先でも重宝します」(山浦さん)
重さも300g前後と軽量。ただし、杖に体重をかけすぎるとグラグラすることがあるため注意が必要。
半年に1回は杖の先を見直す
「長すぎる杖は体重をかけにくいので、杖本来の機能が果たせません。一方、短すぎると重心が前にかかり、倒れやすく危険です。必ず体に合ったものを使ってください」(山浦さん)
親などに贈る場合も、その人の直近の身長を把握しておくことが大切だ。また、使う頻度によって変わってくるが、半年に1回は杖先のゴムを確認したい。
「杖先のゴムがすり減ると、杖先が滑りやすくなって危険です。すり減っている場合は購入した店や福祉用具販売店でゴムを購入し、付け替えましょう。外出先で杖をテーブルや手すりにうまく立てかけられないときは、杖を引っ掛ける専用のホルダーが販売されているので、それを利用するといいですよ」(安藤さん)
ホルダーは1000~2000円で、福祉用具専門店でも売られており、デザインも豊富。好みのストラップなどをつけるのもいい。
杖の使い方
■杖の使い方のポイント
・利き手に杖を持つ。ひじは30~40度に曲げる。
・グリップの位置は、脚の付け根くらいに。長さの目安は、身長の半分程度。
・杖をつく位置は、足先から15~20cm前方に。
取材・文/廉屋友美乃 イラスト/鈴木みゆき 写真提供/シナノ
※女性セブン2022年3月31日号
https://josei7.com/
杖の種類と選び方…自分に合う長さは?人生100年時代の杖選びを専門家が解説