認知症を予防する3つの心得「感染対策しながら外出」「夕方の散歩」「3日に1度の筋力トレーニング 」
長引く外出自粛の体への影響は計り知れない。日常の刺激が減り、認知機能が低下した高齢者が増えているという。認知症診断・予防の第一人者で、「とっとり方式認知症予防プログラム」を開発した認知症予防学会理事長の浦上克哉さんに今すぐに始められる対策を教えてもらった。
自粛生活が認知機能の低下を招く要因に
「認知症は、男性よりも女性の方が1.5~2倍なりやすい病気です。コロナによる外出自粛の影響も深刻で、日常の刺激が減って認知機能が低下した高齢者は増えていると思われます。今後は感染予防と認知症予防の両立が重要です」
と、浦上さん。少しでも認知症を遠ざけるべく、浦上さんが勧める予防策を紹介する。
1:出不精は危険! 外出する用事を作ろう
「認知症のリスクとなる社会的孤立を防ぐためにも、自粛生活に引きずられて出不精にならないこと。買い物や散歩など、定期的に外に出る用事を作りましょう。子供世代も感染対策をした上で、家の外に出ることの大切さを親に伝えてください」(浦上さん、以下同)
2:景色を見ながら散歩をする。夕方の運動は特におすすめ
「1日30分ほど、運動や体操をするのも認知症予防になります。おすすめは散歩。景色を見ながら歩くのは脳への刺激も大きいんです。1秒で2歩くらいのペースが理想。夕方に運動すると睡眠の質が上がるというデータもあるので、夕方の散歩を日課にして」
3:3日に1回! 筋力トレーニングを
「運動が認知症予防につながることは、多くの研究で証明されています。散歩などの有酸素運動やストレッチとともに取り入れたいのが筋トレ。筋トレ後は筋肉を休めて回復させる必要があるので、3日に1回で充分」
<1> ひざ伸ばし
【1】腰が丸まらないように注意しながら、片脚をまっすぐ前に伸ばし、4秒キープ。
【2】4秒かけて上げている脚をゆっくり床に戻す。左右5回ずつ。太ももの筋肉が鍛えられる。
<2> いすスクワット
【1】両手を前に伸ばし、4秒かけていすから5cmお尻を浮かせる。このとき、背中が丸まらないように注意。
【2】4秒かけて座った状態に戻る。3回行う。足全体の筋力を強化。
<3> つま先立ち
【1】いすの背もたれを持って立つ。
【2】お腹が前に突き出ないよう注意しながら4秒かけてかかとを上げる。
【3】4秒かけてかかとを下ろす。5回行う。ふくらはぎ周辺に効く。
教えてくれた人
浦上克哉さん/日本認知症予防・学会理事長
鳥取大学医学部保健学科生体制御学講座教授。認知症診断・予防の第一人者で、「とっとり方式認知症予防プログラム」を開発。主な著書に『科学的に正しい認知症予防講義』(翔泳社)など。
取材・文/佐々木めぐみ、鳥居優美 イラスト/尾代ゆうこ
※女性セブン2022年1月20・27日号
https://josei7.com/
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