「2000万円以上かかるの?」不安な人に老後資金を工面する4つの方法【FP解説】
老後2000万円問題が報じられたのが2年前だが、実際のところいくら必要なのか? 厚生労働省の統計によると、女性の一生にかかる医療費は平均2840万円でその半分以上が70才以降に必要となる。また、介護費用に関しては、老人ホームに入るなら5年で2500万円以上必要になるという試算も…。全然足りない――そんな不安を抱える人に、資金を工面するある方法が!
持ち家を担保に融資を受けられる「リバースモーゲージ」
普通の暮らしに足りるかどうかもわからない老後の資金。数百万円もの入居一時金や、その後のお金を工面できるか不安になる。プレ定年専門ファイナンシャルプランナーの三原由紀さんは、持ち家を担保に融資を受けられる「リバースモーゲージ」について話す。
「本人が亡くなると基本的に不動産が売却されて借入金が相殺されるので、返済の心配がありません。同様の制度に、全国社会福祉協議会が提供する『不動産担保型生活資金』もあり、これは生活資金を借りることができます。自宅を担保にするので、配偶者や子供に家を相続させることはできなくなりますが、入居一時金やその後の生活費を確保するには有効です」
自宅を貸して賃料を得る「マイホーム借上げ制度」
50才以上でひとり暮らしの場合、自宅を貸し出して賃料を得る「マイホーム借上げ制度」を利用するのも手。
通常の賃貸事業とは異なり、1人でも借り手がつけば、その後は空室になっても月々の賃貸収入が保証されるので、施設の利用料を工面できる。
ローンが残っているなら「リバースバック」
「住宅ローンが残っているなら、不動産会社に自宅を一旦売却し、賃料を支払って同じ家に住み続けることができる『リースバック』という制度もあります。固定資産税などの維持費がかからないので、住宅費の負担を軽減するのに役立ちます」(三原さん・以下同)
リースバックで自宅を売却しても、条件が整えばまた買い戻すことも可能だ。
生命保険を売却する方法も
また、「生涯で住宅の次に高い買い物」といわれる生命保険を売却する手もある。解約返戻金を下回ることはないといわれており、買い取った事業者が代わりに保険会社に保険料を支払うことで、生命保険契約を継続したままお金を工面することができる。契約内容にもよるが、“最後の手段”にはなりえる。結局のところ、その選択が正しかったかどうかわかるのは、すべてが終わってからだ。
在宅か施設か「お金」だけで決めるのは難しい
介護専門ファイナンシャルプランナーの伊藤雅浩さんが言う。
「“在宅介護は苦労したけれど、母親を自宅で看取ることができてよかった”と話す人もいれば、施設に入るのをいやがっていた人が、入居して友達ができたとたんに明るくなることもあります。社交的な人なら、同世代が多い老人ホームが“住めば都”になることが多いのかもしれません」
要介護度はもちろんのこと、本人の性格から家庭環境、家族との関係性まで、あらゆる要素で、条件も状況も変わる。老後の資金に不安はあるが「高いか、安いか」だけで決めるのは難しいものだ。
いつから、どうやって、どこにお金をかけるのか──人生最後の選択だからこそ、悔いのない方を選びたい。
教えてくれた人
三原由紀さん/プレ定年専門ファイナンシャルプランナー、伊藤雅浩さん/介護専門ファイナンシャルプランナー
※女性セブン2021年11月25日号
https://josei7.com/