日本最高齢のインストラクター瀧島未香さん【タキミカ体操】誕生秘話 やり方と効果も
自宅で過ごす時間が増え、体を動かす機会がますます減ったというあなた。おうちで簡単にできる、元気になれる体作りを始めてみませんか?
なんと、89才で現役インストラクターの瀧島未香さんが伝授してくれます。場所や時間に縛られずにすぐに始められる、その名も“タキミカ体操”で若々しい体を手に入れましょう。60才を過ぎても、何歳でも、いまからスタートすれば大丈夫!
日本最高齢インストラクター発”タキミカ体操”誕生秘話
見事な開脚ポーズを決めたこの女性は、瀧島未香さん、89才。まっすぐに伸びた背筋と手足。二の腕にたるみはなく、プリッと上がったお尻…。身長148cmに体重42kgと小柄で年齢を感じさせないプロポーションは、若い頃から体を鍛えてきたのだろうと思いきや、
「私が子供の頃は戦争があり、生きていくのに精いっぱいで運動どころじゃありませんでした。結婚してからも家事や子育てに追われる毎日で運動とは無縁の生活でした」(瀧島さん・以下同)。
そんな瀧島さんが運動を始めるきっかけとなったのは、15kg以上の体重増加。子供たちが独立したことで家事の量が減り、時間を持て余して過ごしていると体重はあっという間に60kgを超えてしまったという。
「当時は3段腹以上の肉がお腹について、風呂掃除をしようとすると前にかがめないほどでした。家族からも太ったと言われ、65才のときに夫が探してくれたフィットネスクラブに入会。毎日のようにクラブに通い、筋トレやエアロビクス、水泳を続けると徐々に痩せ始め、体を動かすのが次第に楽しくなりました」
その後、79才でパーソナルトレーニングを受けて肉体改造。筋肉のついた美しい体形を手に入れ、87才でインストラクターとしてデビューも果たした。“年齢は関係ない”ということを体現した“タキミカ”さんの言葉は大いなる説得力をもち、幅広い世代が支持する人気トレーナーに。日本のみならず海外からも声がかかり、現在は英会話の勉強中だという。
「年齢を言い訳にして諦めるなんてもったいない。誰でも体を動かすことで健康になれます。私は若い頃よりいまの方が元気で、何より楽しい! 皆さんにも、もっともっと人生を楽しんでほしいです」
と満面の笑顔をみせた。瀧島さんが毎日実践する“タキミカ体操”で、あなたも元気な体づくりを始めませんか?
筋肉ばあばが教えるタキミカ体操の効果とポイント
テレビや女性誌では筋肉ばあばと呼ばれ、今話題のタキミカさん。さっそくタキミカ体操のやり方をレクチャー。背骨のトレーニングで若々しい後ろ姿を、肩甲骨のトレーングで血流をアップ…など、毎日続けることで目指せ筋肉ばあば!
背骨のトレーニングで若々しい後ろ姿に!
人体にとって“大黒柱”ともいえる背骨。加齢とともに変形し、硬くなった背骨は腰や膝への痛みを引き起こす。背骨のしなりを取り戻し若々しい後ろ姿を目指そう!
●犬猫のポーズ
犬のように背骨を反らし、猫のように丸めて、背骨を上下に動かすことを意識する。
【1】床に両膝と両手を肩幅に広げて四つん這いになる。ゆっくりと息を吐きながらあごを上げ、背中を反らし、息を吐き切る。背骨の動きを意識して、弓のようにしならせること。
【2】背中を反らした姿勢から、軽く息を吸ったら、ゆっくりと息を吐きながらあごを引き、顔を腕の間に入れていく。同時に背骨を持ち上げて背中を丸め、おへそを見るようにする。【1】、【2】を繰り返す。
●ツイスト犬猫
背骨を上下に動かす犬猫のポーズに、背骨を左右に動かすストレッチを加えた上級者編。
【1】犬猫のポーズを行った後、右手を床につけたまま体を支え、左手を頭の後ろに置き、息を吐きながら上半身を外側にひねる。左ひじを天井の方に向けるとよい。
伸びているのを意識!
【2】軽く息を吸ったら、右手は右足首をつかみ息を吐きながら上半身を内側にひねる。左肘を右膝に近づけるように意識するといい。反対側も同様に行う。
肩甲骨のトレーニングで血流UP&肩こり解消
パソコンやスマホを使う時間が長くなるほど、肩が凝り固まり、可動域が狭まってしまう。肩甲骨まわりの筋肉をほぐし、血流がよくなり肩こり解消につながる。
●ぞうきん絞り
腕をねじることで、肩甲骨も一緒に動き可動域が広がる。左右の腕を別々に動かすため、脳の活性化にもつながる。
【1】足を肩幅に広げて立ち、腕を真横に伸ばし、手のひらを下にする。右手は親指が上を通るように、左手は親指が下を通るようにし、ぞうきんを絞るイメージで同時にねじる。
【2】次に左右の腕を逆にねじる。肩甲骨を背中に寄せ、肩から指先までを大きく動かすと、肩甲骨と肩まわりの筋肉を動かせる。
●肘回し
肘の位置を意識しながら肩甲骨を大きく動かす体操。血流が促進され、肩こりや痛みの改善につながる。
【1】両手の先を肩に置き、体の前で両肘をつける。つかない場合は、できる範囲で近づけること。
【2】両手の先を肩に置いたまま、両肘同士をつけた状態であごのあたりまで持ち上げ(できる範囲でOK)、両肘を外回りに大きく動かす。
【3】肩甲骨を引き寄せ、肘が体の後ろ側を通るようにすると大きく動かせる。難しい場合は片肘ずつ行ってもよい。内回りも行う。
股関節のトレーニングで転ばず動きやすい体に
歩行、階段の上り下り、立ち座りの動きなど、日常のすべての動作に影響する部分が股関節。歩幅が狭まっている人は、股関節の可動域を広げて動きやすい体に。
●お尻歩き
腕の動きに合わせ、お尻を動かして前後に進むことで、ゆがんだ骨盤が本来の位置に戻り、股関節の動きがなめらかになる。正しい姿勢で行えば、お尻やお腹の筋肉も鍛えられる。
【1】床に座り、足を床にぴったりとつけ、膝とつま先を上に向ける。腕を大きく振りながら、右手を前に出すのと同時に、お尻を動かして右足を前に出す。
【2】次に左手を前に出すのと同時に、お尻を動かして左足を前に出す。【1】、【2】を繰り返して前に数歩進んだら、後ろに数歩戻る。膝が床から浮かないように注意し、つま先を上に向け、足首が直角になるようにする。
<NG!>
姿勢が前傾になったり、膝が曲がらないように注意。
●四股ひねり
足を股関節から広げて腰を落とす、相撲の「四股」のような基本のポーズに、背骨と肩甲骨の可動域まで広げる最強のポーズ。無理をしない範囲で、肩幅の2倍くらいの足幅からスタートするといい。
【1】両足を股関節から広げ、つま先を外に向けて立ち、両手を膝の上に置き、太ももが床に平行になるくらいまで腰を落とす。
【2】背中は丸めず、肩甲骨を動かして、右肩を斜め前に入れ込む。お尻を後ろに突き出し、右ひじは曲げないよう注意する。
【3】【1】の姿勢に戻ったら、次は左肩を斜め前に入れ込む。これを左右交互に行う。足幅が広いほど股関節まわりの筋肉が伸び、鍛えられるとともに、やわらかくなる。
足指のケアで転倒防止
足全体をほぐすことで柔軟性が増し、歩行をスムーズにする効果が期待できる。運動後やお風呂の中で行うのが、タキミカさんの日課だそう。
【1】足指の間に手の指を入れ、反対の手で足首を固定し、足首から大きく右回り、左回りとぐるりと回す。
【2】手のひらで足指全体の腹をつかみ、指の根元から反らす。次に反対に曲げるを繰り返す。
【3】足の親指から小指まで1本ずつ、両手で指と指の間を左右にしっかり広げる。
【4】足の親指から小指まで1本ずつ、両手で指と指を前後にしっかり広げる。反対の足も同様に、【1】~【4】を行う。
教えてくれた人
フィットネスインストラクター・瀧島未香(たきしま・みか)/1931年生まれ。24才で結婚。2人の娘を出産し36才から専業主婦に。87才でフィットネスインストラクターとしてデビューし、目標の海外デビューに向けて英語を勉強中。
撮影/菅井淳子
※女性セブン2020年8月20日・27日号
https://josei7.com/