放っておいた方がいい病気リスト|風邪、膀胱炎、高血圧…治療や薬をやめて治った!?
「このまま放っておけば、大変なことになりますよ」。 医療ドラマや健康番組で幾度となく聞いたことのあるフレーズだが、その“逆”もまた存在する。
治療や薬を一旦止めてみた方が体調がよくなるケースも多いのだ。どんな病気が該当するか、どう過ごせば治りやすいか、専門医師に徹底取材。
【目次】
放っておくことでよくなった病気リスト
風邪・インフルエンザ
基本的に治療法がなく、病院で薬をもらっても一時的に症状は緩和されるものの根治には至らない。加えて咳やくしゃみ、鼻水などの症状にも異物を体外に出す役割があるため薬を使って無理に止めない方がいい。ただし肺炎を発症すると危険なため全身に倦怠感をおぼえたらすぐに病院へ。
膀胱炎
病院で膀胱炎と診断されれば、抗菌薬が処方されることが多いが一時的に改善されるものの、すぐにぶり返すパターンも。水を多く飲んで尿道から菌を洗い流す方法で快方に向かった人も多い。
高血圧
高血圧は、ストレスや運動不足など、生活習慣も大きく影響しており、冷え症が原因のことも。実際、薬を止めて毎日散歩をすることで血圧が下がった例もある。
糖尿病
ストレスによって血糖値は上がりやすくなるケースもあるため、過度な食事療法を一旦止めることで糖尿病の症状が緩和される場合も。
便秘
適度な運動とバランスの取れた3食の規則正しい食事が何よりの治療。薬をのみすぎて耐性がつき、効き目がなくなってしまう人も多い。
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病気を放っておいていい理由を詳細解説
病気や不調をそのままにして放っておいてもいいのだろうか? 自律神経を整えることであらゆる病気の治療に取り組む青山・まだらめクリニック院長の班目健夫さんは
「むしろ過度な薬や治療を一旦止めることにより、体の状態は良好になることが多い」と言う。
「病気にかかってしまうのは、体が本来持っている機能がうまく働かずに、問題が起きているからです。どんな病気や体の不調にも“特効薬”を求める人がいますが、それは間違いです。もともと備わっている体の機能を取り戻せば、多くの病気は自然とよくなっていきます」(班目さん)
風邪:水分を摂って休養を
新潟大学名誉教授で医師の岡田正彦さんはその一例として「風邪」を挙げる。
「ウイルスによって感染する風邪は、基本的に治療法がなく、病院で薬をもらっても一時的に症状は緩和されるものの根治には至りません。かえって病院でほかの病気をうつされてしまったり、人にうつしてしまったりすることもあります。季節性のインフルエンザも同じで、水分をしっかり摂って家で休養するのがいちばんです」(岡田さん)
薬をのんでも回復しないどころか、回復が遅れてしまうこともある。
「風邪薬に含まれる成分には、自然治癒力を下げてしまう成分が入っています。例えば、ウイルスは熱に弱い性質があるため、薬で熱を下げることで、ウイルスが死滅せず、回復が遅れてしまう。
咳やくしゃみ、鼻水など風邪の諸症状もウイルスなどの異物を体外に出す役割があるので、無理に止めない方が、治るのが早い」(岡田さん)
ちなみにインフルエンザの特効薬とされるタミフルも、ほとんど効果がないと岡田さんは言う。
「海外の研究で、タミフルをのんだ人とのんでいない人を比較した場合、のんだ人は半日ほど早く熱が下がっただけでした。副作用もあり、肝臓を悪くする人が珍しくありません。特に50代以下なら充分な免疫力があるので、多少発熱が長引いても命が危険にさらされることはまず起こりません」
ただし、重篤な病気を発症することもあるため、病院に行った方がいいケースもある。
「まれに風邪やインフルエンザから肺炎を発症することがあります。肺炎は放置すると危険な病気。単なる咳や熱ではなく、全身の倦怠感が強いときは肺炎の可能性があるので、病院に行った方がいいでしょう」(岡田さん)
膀胱炎:抗菌薬で負のループ?
女性に多い膀胱炎にも気をつけたい。
「病院で膀胱炎と診断されると、ほぼ確実に抗菌薬(抗生剤・抗生物質)が処方されます。のめば残尿感や排尿時の痛みなどの症状は一時的に改善されますが、すぐにぶり返して、再び病院に行く人も少なくありません。
抗菌薬の服用を繰り返していると、より強い耐性菌ができて、さらに抗菌薬が効きづらくなる“負のループ”に陥ってしまいます」(岡田さん)
根治が遅れるばかりか、最近は、抗菌薬の必要がないケースも多いことがわかってきているという。
「抗菌薬には発熱、発疹、嘔気や嘔吐、下痢、神経障害などさまざまな副作用もあり、服用したためにむしろ体調を崩してしまうことさえあります。
膀胱炎は尿道から細菌が入ることで起きる病気ですが、昔から『水をたくさん飲んで尿を出しなさい』といわれています。というのも、腎臓で作られた尿には菌がいないので、尿で菌を洗い流す効果があるのです。私も患者さんには、お水をたくさん飲むようアドバイスしていますし、薬に頼らずに治した人も多いです」(岡田さん)
高血圧:朝昼晩の散歩や冷えの改善を
日本に4300万人いると推定され、もはや国民病ともいえる高血圧も、無理に治療する必要のない病気のひとつだ。
芝大門いまづクリニック院長の今津嘉宏さんが解説する。
「薬には根治させるものと、対処薬で根本を治すわけではないものの2種類があり、血圧を下げるための降圧剤は後者にあたります。
実際、血圧が高くて降圧剤をのんでいた男性が、コロナでリモートワークになったため、朝昼晩1時間ずつ散歩をしていたら、体重が3kgやせて血圧が下がり、薬が必要なくなったというケースがありました」
班目さんも声を揃える。
「高血圧は、ストレスや運動不足など、生活習慣も大きく影響しています。加えて近年、高血圧の患者が増えているのは、厚労省が高血圧を診断する基準値を下げたことも大きな理由の1つでしょう。
高血圧は脳梗塞や心筋梗塞のリスクを高めるといわれますが、その一方で、高血圧の治療をしても寿命は延びないというデータもあります。
そればかりか、いままで最大血圧が200mmHgだった人が、降圧剤で急に120 mmHgまで下げると、逆に具合が悪くなることもある。降圧剤でむやみに下げれば体調がよくなるという病気ではありません」(班目さん)
班目さんは「血圧が高い人は体が冷えていることが多い」と続ける。
「体が冷えているのは、自律神経の中でも体を緊張させる交感神経が優位になっているから。交感神経が優位になると血管が収縮して、血圧が上昇します。
つまり、体温を上げて副交感神経の働きを優位な状態にすれば、降圧剤をのまなくても血圧が下がるということ。実際、湯たんぽを使って体を温めただけで、血圧が大きく下がった人もいました」(班目さん)
糖尿病:治療のストレスで悪化も
生活習慣病である2型糖尿病も、無理な治療がかえって病気を悪化させるケースがある。班目さんが続ける。
「糖尿病を患って、病院で課される厳しい食事制限に耐えていたのに、血糖値が下がらない人がいました。私がその人にしたアドバイスは、『一度もとの食事に戻してもいい』というもの。大きな精神的ストレスによって血糖値が上がってしまっていたのです。人はストレスを受けると交感神経が優位になって、血糖値が上がりやすくなります。糖尿病の場合、多少血糖値が高くてもすぐに命の危険はありません」
便秘:生活習慣の改善が近道
自律神経研究の第一人者である順天堂大学医学部教授の小林弘幸さんは
「生活習慣を改善すれば便秘は治る」と指摘する。
「便秘が苦しいからといって、毎日のように薬をのんでいる人が多すぎます。実際に私が診療した中には、市販の便秘薬を1日400錠のんでいる人もいました。
便秘薬は依存性があって、だんだん効き目がなくなり、錠数も増えていく。使いすぎるのはよくありません。便秘外来に来る人のほとんどが、運動をして1日3食をきちんと食べることによって、薬をのまなくても便秘が改善されています」(小林さん)
取材した専門医
青山・まだらめクリニック院長の班目健夫さん、新潟大学名誉教授 医師・岡田正彦さん、順天堂大学医学部教授・小林弘幸さん、芝大門いまづクリニック院長・今津嘉宏さん
※女性セブン2020年7月30日・8月6日号
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