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健康

お酢の持つ12の健康パワー!毎日大さじ3杯で不調を改善

 健康にいいイメージの強い酢は、塩やしょうゆなどが減塩のために敬遠されるのとは対照的に、積極的な摂取を推奨されている調味料。バルサミコ酢、香酢、黒酢、にごり酢などに含まれる酢酸菌は、その健康パワーに加え、酢酸菌から作られる酢酸や、必須アミノ酸も含むアミノ酸など、100種類もの成分が生み出す数多くの効果効能は、生活習慣病や若返りにも役立つ、現代人に欠かせないものばかり。その主な12の効果を一挙にお届けします!

【1】腸内環境を整え、大腸がんを予防

 酢の主成分・酢酸には菌の増殖を抑える静菌作用や殺菌作用があるため、腸内の悪玉菌を減らすことが可能。さらに、酢に含まれるグルコン酸は善玉菌のエサとなり、腸内の善玉菌を増やし、腸内環境の改善に役立つ。また、消化液の分泌を促して腸を刺激し、ぜん動運動を活発にするため大便の排出をスムーズにし、便秘解消にも効果大。大腸がんの予防にもなる。

【2】疲労回復・エネルギー補給

 私たちのエネルギー源である「グリコーゲン」は、運動などで消費されやすいが、酢酸と糖を併せて摂ると回復が早くなり、エネルギー補給につながる。酢酸は、体内に入ると一部がクエン酸に変化するが、このクエン酸には、疲労の原因物質や肩こり、腰痛の原因にもなる乳酸の生成を抑える効果がある。つまり、疲労回復やパワーアップにも役立つ。

【3】血糖値の上昇を抑制する

 食事をした後、血糖値が急上昇すると、インスリンの過剰分泌の引き金となり、糖尿病のリスクを高めてしまう。だが、毎日大さじ1杯の酢を食事とともに摂ることで、酢酸が、ご飯やパンなどに含まれる糖がブドウ糖に変化するのを抑え、糖の吸収を緩やかにする。この働きにより、食後の血糖値の急激な上昇を抑えることが実証されている。

【4】血流改善・動脈硬化予防

血管の中の赤血球と酢酸を摂った際の変化の図解イラスト

 酢酸には血管を広げて血液の流れをよくする働きがあるため、動脈硬化の予防効果が期待できる。末端の毛細血管までの血流が改善すれば、体の隅々にまで酸素や栄養が行き渡るようになるため、冷えが改善し、若々しい体に。イシハラクリニック副院長の石原新菜さんが解説する。

「刻んだしょうがを酢に漬け込んだ『酢しょうが』を食べると、しょうがの血流改善効果が加わり、衰えた毛細血管の再生に役立ちます」(石原さん・以下同)。

■石原さんおすすめの作り置き「酢しょうが」の作り方

 保存用の瓶にしょうが200gをダイス切りにしたもの、酢1カップ、はちみつ大さじ2を加える。

【5】血圧を下げる

 毎日大さじ1杯の酢を摂ることで、最高血圧値、最低血圧値ともに下がることが実証されている。ただし、酢の摂取をやめると元に戻ることも明らかに。

「玉ねぎに含まれる硫化アリルやケルセチンには、血管を広げて血流を促進し、しなやかな血管を保つ効果があります。酢と一緒に摂れば、血圧予防・改善効果が高まります」

■石原さんおすすめの作り置き「酢玉ねぎ」の作り方

 保存用の瓶に、玉ねぎ1個分のスライス、酢3/4~1カップ、はちみつ大さじ2を加えるだけ。

【6】肝臓の働きをサポートする

肝臓と、肝臓を持ち上げる酢酸・クエン酸・アミノ酸のイラスト

 肝臓には胃や腸から消化吸収された成分を代謝し、形を変えて各臓器に届けたり、無毒化して排泄に回すなどの重要な役割がある。そして、酢には酢酸だけでなく、クエン酸やアミノ酸も含まれ、肝臓の働きを助けることがわかっている。

「特に玄米を使い、長時間かけて発酵・熟成させる黒酢はアミノ酸が豊富。肝機能改善や抗酸化作用も期待できます」。

【7】内臓脂肪を減少させる

高血圧を引き起こし、メタボや生活習慣病につながる内臓脂肪。酢を摂り続けることで、内臓脂肪を減少させる働きがあることも実証されている。

「酢酸が肝臓で代謝される際に活性化する酵素が、脂質の燃焼を促進させることもわかっています。腸内環境がよくなり、エネルギー代謝もアップするので、ダイエットにも有効です」。

【8】コレステロール値を低下させる

 酢酸には、血管に付着した脂肪やコレステロールを分解する作用がある。

「血液をサラサラにして血管を強くしなやかにする作用が酢酸にはあります。血中コレステロールを正常に保ち、悪玉コレステロールや中性脂肪値を低下させるため、生活習慣病の予防にも役立ちます。同様の効果を持つしょうがや、玉ねぎと合わせて、酢しょうがや酢玉ねぎにして食べるといいですよ」。

【9】美肌効果がある

 酢酸は体内でクエン酸に変化するため、老化の原因になる活性酸素を除去する働きを持つようになる。さらに、抗酸化作用があるビタミンCの破壊を抑え、吸収を促進させる。

「ビタミンCが豊富なレモンと酢を合わせると、壊れやすいビタミンCを効率的に摂ることができます。酢に含まれるアミノ酸はコラーゲンの材料にもなり、若々しい肌作りに」

■石原さんおすすめの作り置き「レモン酢」の作り方

 保存用の瓶にレモン1個分のスライス、酢1カップ、はちみつ大さじ4を加える。

【10】カルシウムの吸収力を高める

あさりを入れたフライパンに酢を加えるイラスト

 カルシウムは体内で吸収されにくいが、酢酸と一緒に摂ることで吸収率が50%もアップする。また、食品中のカルシウムを溶かし出す作用があるため、手羽元やスペアリブなどの骨付き肉を煮込む際に加えれば、カルシウムを効率よく摂取できる。さらに、あさりを加熱する際に酢を入れると、殻からカルシウムが約3倍溶け出すという実験結果もある。

【11】塩分の摂りすぎを防ぐ

 酢の酸味は、舌が感じる味覚を活性化するとともに、食材の味を引き立てる効果があるため、薄味であっても塩味をしっかり感じることができ、減塩につながる。また、酢にはアミノ酸が豊富なため、料理にコクを与えることもできる。

「味がもの足りないと思ったとき、塩を加える前に少量の酢を加えてみてください」。

 炒めものの仕上げに、鍋肌から少量加えるのもおすすめ。

【12】唾液の分泌を促し、消化を助ける

 酢が持つ酸味は味覚や嗅覚を刺激して、唾液や胃酸の分泌を促す。消化酵素も活性化するので、胃の働きもよくなり、消化を促進する。夏バテなどで食欲がないときに酢のものを食べるといいのは、このためだ。また、油っこい料理に酢をかければ、油の粒子が小さく均等になるため、さらっとした食感になり、さっぱりと食べやすくなる。

酢酸を中心とした成分に高い健康効果が

 昔から「酢は体にいい調味料」として世界中で親しまれており、紀元前4世紀頃に活躍した、ギリシャの医学者ヒポクラテスが「病み上がりには酢を飲むのがいい」と説いたという記述も残っている。

 日本には、奈良時代に中国から製造法が伝わり、高温多湿の中で酢酸の持つ殺菌効果を利用した「酢飯」や「なます」などの料理が生まれている。

「経験的に、酢が体にいいことはわかっていましたが、最近の研究で、酢酸を中心とした成分に高い健康効果があることが立証されてきました」

 と話すのは、前出の石原さん。石原さんは、8年ほど前から「酢しょうが」をきっかけに酢の効能に注目し、毎日大さじ3杯程度を料理に使い、摂取し続けているという。

 このほか、現代人にうれしい健康効果は上記のとおり。

「毎日続けて摂れば、効果が実感できる」

 と、石原さんは太鼓判を押す。これほど体にいい「酢」は、摂れば摂るほど効果が高まるのだろうか?

「1日大さじ1~3杯が適量です。空腹時に摂ると、酸が食道や胃の粘膜を傷めてしまいます。飲むお酢の場合も、原液ではなく、必ず薄めるようにしてください」

 ちなみに、酢を飲めば体がやわらかくなるというのは都市伝説。ただし、適量を摂り続ければ、血管はしなやかになり、若返るというから、お試しを。

教えてくれた人/石原新菜(いしはら・にいな)


イシハラクリニック副院長。医師。帝京大学医学部卒業後、大学病院での研修を経て、現在、自然医学の専門家で医学博士の父、石原結實氏が院長を務めるイシハラクリニックで、漢方医学、自然療法、食事療法により、さまざまな病気の治療にあたっている。著書に『冷えを治せば病気もよくなる』(Gakken)、『病気にならない蒸しショウガ健康法』(アスコム健康BOOKS)など。

石原新菜Official Blog

イラスト/こさかいずみ

※女性セブン2020年3月12日号
https://josei7.com/

●体にいい酢の種類とその効能|血圧、血糖値、動脈硬化対策に正しい酢の摂り方

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