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健康

100才越えの人に共通している10のコト|食生活・性格を大公開「1日3食」「クヨクヨ悩まない」「ありがとう。が口癖」

 1963年時点で153人だった100才以上の高齢者は、1998年には1万人、今年は7万人を超えている。ついに、超高齢社会に突入したニッポン。元気に年を重ねている人の秘訣とは――

 100才以上の人は「百寿者(ひゃくじゅしゃ)(=センティナリアン)」と呼ばれる。慶應義塾大学医学部『百寿総合研究センター』では、1992年から遺伝子や認知機能など、センティナリアンの身体状況の調査を行っている。

「開始当初は医学的に健康長寿の秘訣を明らかにしたいという思いでしたが、ヒアリングをしていく中でセンティナリアンのかたはみなさん親切で面白い、とても魅力的だと気づいたのです」

と言うのは、同センター元特別招聘教授・広瀬信義さんだ。

「調査する中で、そのかたの性格や日々の心がけなども重視するようになりました。センティナリアンに共通しているのは幸福感。長く生きている間にストレスフリーになれるスキルを、みなさん習得してきたのではないかと考えられます。闘病中のかたでも『今はとても幸せ』とおっしゃるかたがいるんですよ」(広瀬さん・以下同)

 これまでの研究で、寿命には遺伝的な要素が20~30%関係していることがわかっている。つまり、残りの70~80%は環境の問題などで、その多くは日々の積み重ねが重要ということだ。では、元気なセンティナリアンはどんな生活をしているのか? 健康長寿を目指すために、彼らに共通している10の習慣を発表します!

日常生活の見直しが、健康長寿への大きな一歩

 センティナリアンが実際に行っていることを大公開。今から心がければ、元気な100才も夢じゃない!

【1】1日3度の食事! さばやいわしなどの青魚!!

 データ1のように3食欠かさず食べている人が84%。次いで、野菜や魚をよく食べている人が多かった。

「老化の一因に、細胞老化によって起こる慢性炎症が考えられています。この炎症を抑えるには、オメガ3系不飽和脂肪酸であるEPAやDHAが不可欠で、これらが豊富に含まれるさばやいわしなどの青魚の摂取が大切ですが、みなさんしっかり摂っていました」(広瀬さん・以下同)。さらに、慢性炎症の原因となる肥満や歯周病、喫煙などの改善も大切だ。

【データ1】◆元気な100才の食生活は?
・朝昼晩と3食摂る 84%
・野菜類を食べる 66%
・魚介類を食べる 64%
・意識して水分を摂る 62%
・腹八分目にする 61% 
・栄養バランスに気を配る 57% 
・肉類を食べる 53%
・豆腐や納豆などの植物性たんぱく質を食べる 53%
・ヨーグルトや乳酸菌飲料などの乳製品を摂る 51%
・塩分を控える 38%
・体によいといわれている食品を摂る 35%

【2】卵や豆腐、牛乳、ハムなどのたんぱく質を2品以上食べる!

 元気な100才以上の100人に3日間の食事内容を記録してもらった調査【データ1】では、約90%が上記のほか、ソーセージや豚肉や白身魚などたんぱく質の豊富な食材を摂取していた。

「加齢により心身が衰え、要介護一歩手前の虚弱状態を指す“フレイル”という言葉が浸透してきましたが、フレイルは慢性炎症、ホルモン低下、酸化反応、栄養低下、運動不足などが原因といわれ、たんぱく質の摂取が予防に有効という報告もあります」。

【3】庭掃除や草むしり。こまめに手足を動かす!

 運動の程度を聞いた調査によると、元気な100才の約7割は毎日足腰を使う運動や軽作業を行い、約半数は庭掃除などの日課をこなしている。なかには、104才で毎日のように自転車でカラオケに出かけたり、散歩を日課にしていたり、布団の上げ下ろしや草むしりなどで手足を動かしている人もいた。

「生活の中で、体をこまめに動かしている人は元気ですね。定期的な運動を心がけるのであれば、1週間でトータル60分の早足散歩がおすすめです」。1日10分でも、まとめて60分でもOKだ。

【4】趣味の教室などで、年下の仲間と積極交流!

「センティナリアンの元気な人は、同年代だけでなく、年代の違う人たちとも上手につきあっています。同年配の友人は亡くなったり、寝たきりになっているケースも多いのですが、年下の友人がいることで、いくつになっても話し相手に困らない。趣味の教室などで、幅広い年代の人とかかわりを持っている人は、若々しいですよ」。キューサイの調査では、98%が家族以外とコミュニケーションをとっており、日々の楽しみとして、全体の4分の1以上の人が、下記【データ2】の4つ以上の項目を挙げていた。

【データ2】◆元気な100才、日々の楽しみは?
・テレビを見る/ラジオを聴く 71% 
・食べる 68%
・新聞・雑誌を読む 53%
・おしゃべりをする 49%
・旅行や行楽 32%
・庭いじり、園芸、盆栽 32%
・菜園、野菜づくり 31%
・手芸、編み物、日曜大工など 27%
・読書 26%
・料理 21%

【5】クヨクヨ悩まない。「こんなもんだ」とやり過ごす!

「110才の女性が『若い頃は失敗をするたびに自分を責めたが、80才くらいから落ち込まなくなった』と言っていました。思い悩まないという人も元気な高齢者には多いのです。落ち込んだり、悩んだりするのは、大きなストレスとなるため『私はこんなもんだ』と、ほどよくあきらめることが長生きの秘訣ですね」。

 また、「子供を育て上げた」「夢を叶えた」「ここまで生きてこられた」などと、達成感を感じることも、心身にいい影響を与えるようだ。

【6】口ぐせは「ありがとう」。感謝の気持ちを声に出す!

「長生きをしている人には、やさしい人が多いのも特徴です。100才になる姑の世話をしていたAさんに、なぜそんなに一生懸命世話をするのか尋ねたところ、『若い頃、味のほとんどしないお吸い物を作ったのですが、お義母さんだけが“おしょうゆを足せば大丈夫よ”とかばってくれた』と言うのです。おおらかさも、長生きの秘訣かもしれませんね」。

 キューサイの調査でも「いつもありがとう」「長生きできたのは、あなたのおかげ」など、感謝の気持ちを言葉にする人が多いことがわかっている。

【7】ケータイメールや対戦型ゲームなどに、臆せずチャレンジする!

「健康番組は新聞のテレビ欄に○をつけて、欠かさず見る」「情報番組を見るのが楽しみ」「カラオケが大好きで、ラジオで音楽番組をよく聴いている」など、世の中の出来事に関心の高い人も多い。

「携帯電話のショートメールを操る110才やテレビゲームにハマったけれど、ひ孫と対戦して負けた途端にやらなくなった107才など、センティナリアンは行動や気持ちが若々しい人が多いですね」。

【データ3】◆元気な100才が日常的に交流している相手は?
・介護士など 68% 
・同居の家族 61%
・近所の友人・知人 38%
・その他 33%
・近所の親戚 31%
・病院の医師や看護師 31%
・趣味や健康サークルのメンバー 8%
・老人クラブのメンバー 8%
・町内会や自治会メンバー 7%
・あまり人に会わない 0% 

【8】自分の体調に敏感で、不調を感じたら、すぐに治療する!

『日常的に心がけていること』の調査【データ1、2、3】では、不調を感じたらすぐに医師に診てもらう人は56%、定期的な健康診断を受けている人は50%という結果だった。

「高コレステロールや高血圧は副作用の少ない有効な薬が開発され、糖尿病治療も進歩しています。また、脳卒中など、昔は亡くなる人が多かった病気の死亡率が低下したのも医療の進歩のたまものです。早期発見、早期治療が大切ですね」。

 ちなみにセンティナリアンの多くはたばこを吸わず、飲酒も適量だ。

【9】「毎日、りんごを食べる」「毎日、新聞をすみずみまで読む」など、決めたことは続ける!

「3食必ず食べる」「体にいい食品を摂る」「新聞・雑誌を読む」などコツコツとマイルールを続けている人が多いのも特徴だ。

「70才の時にラジオでりんごが健康にいいと聞き、30年間、毎日欠かさず食べている106才の女性や、若い頃から欠かさず毎日、新聞を読む80代の女性など、長生きをする人は決めたことをきちんとやる意思の強さを持ったかたが多いのです。それに計画的で几帳面、やると決めたらやる!という頑固な人も、長生き傾向にあるようです」。

【10】女性は毎日きちんとメイク。男性は、モテたい気持ちを持ち続ける!

「毎朝、きちんとメイクをしている人や、認知症と診断されても枕元に眉墨を常備している人もいます。“私なんておばあさんだし…”と、あきらめてしまうと、気持ちの老化が一気に加速する傾向があるので、女性の場合、めんどくさがらずに口紅や眉毛だけでも描くようにすると、気分も若返りますよ」

現代人は、昔の人より、実年齢が10才若い!

 高齢者と聞いて、何才以上を想像するだろうか? 実は、日本を含む多くの国では65才以上が高齢者と定義されている。とはいえ、この数値に医学・生物学的な根拠はなく、現在の65才以上の多くは心身ともに健康で、この定義にそぐわなくなっているのも事実だ。特に、65~74才の前期高齢者は活動的な人が多く、高齢者という言い方に違和感を覚える人も多い。

 長年、この問題について検討を重ねてきた『日本老年学会・日本老年医学会 高齢者に関する定義検討ワーキンググループ』は、2015年に行われたシンポジウムで次のように発表した。

現代人は10~20年前と比べ、

【1】歩行速度は11才若返っている。

【2】70代の知能検査の平均点は、10年前の60代に相当する。

【3】20本の歯を保っている人は、1957年当時は男性が50代、女性は40代だったが、2011年では男女ともに65才となっている、というのだ。

「高齢者の身体機能や知的能力は年々若返る傾向にあります。ただ、どんな食生活や生活習慣をしているかで違いが出てくる。若さを保てる習慣をぜひ、取り入れてほしいですね」(広瀬さん)

100才世代の今後の楽しみは?

今後の楽しみを問うたアンケートの結果、「100年も生きたからもう充分」という人は少ない。そんなセンティナリアンたちの思いとは――

【1位】2020東京五輪

●1964年の東京オリンピックの時、孫は4才だったけど、2020年は60才! 100才を超えて、また一緒にオリンピックが見られるなんて夢のようです。(102才・女性)
●4年に1度なので次が見られるかわからないから楽しみで…。(103才・女性)
●体操の内村(航平)くんを応援している。(104才・女性)

【2位】ひ孫・玄孫(やしやご)の誕生

●ひ孫が春休みや夏休みのたびに会いに来てくれるのがうれしくて、楽しみです。(104才・男性)
●あと数年長生きして、ひ孫の結婚式に出るのが目標!(100才・女性)
●春に玄孫が誕生! それを機に、ますます頑張ろうという気に。(103才・女性)

【3位】家族・親族

●庭のしだれ桜の下で家族と花見をするのがいちばんの楽しみです。(104才・男性)
●90代から病気やけがが多かったのですが、家族の協力とリハビリで乗り越えられ、毎日感謝です。(101才・女性)
●100才を親戚中がお祝いしてくれた。嫁と花見や紅葉見物に何度も行って楽しかった。(101才・女性)

■100才調査の担当者が実感した、100才の実態とは?

 1992年から約30年もの間、(センティナリアン)の調査がなぜ続いたのか? それは、

「話を聞いたみなさんが、甲乙つけがたく魅力的だったから」と、前出の広瀬さんは言う。

「東京地区のセンティナリアンを対象に調査を始めて、およそ30年で1500人以上の百寿者のかたと、そのご家族などに会いました。面白くておしゃべりが好きなかたがとても多いのです」(広瀬さん)

センティナリアンに幸福度の高い人が多いと実感している広瀬さんが、印象に残っているのは次の人々だ。

●子供の時には子供特有の楽しさがあったが、年寄りには年寄りの楽しさがある。人生を振り返ってみると、よい家庭を築いたし、子供たちも自分を大切にしてくれて幸せだと思う。(105才・男性)

●自分の夢を実現できた人生を送ってきたので満足している。(106才・女性)

「取材時には必ず『今の生活はいかがですか?』と質問をするのですが、大半のかたが『とても幸せです』と答えるのも驚きでした」(広瀬さん)

 一方、元気な100才のリアルボイスを広め、健康寿命延伸の一助となればという思いで、2016年から『100才100人実態調査』を行ってきたのが、『キューサイ』だ。

「調査を始めて驚いたのは、私の持っていたイメージと、実際の100才のかたは違うということです」と言うのは、同社広報・岩永知佳穂さん。

「スッと椅子から立ち上がる人や冗談を言って笑わせてくれる人など、とても100才には見えない、素敵なかたばかりです。バリアフリーではないお宅に伺った時は、チャキチャキと家事をこなしていたし、90才で自宅を新築し、自炊と畑仕事を続けているかたもいます。ひとり暮らしのかたも一定数いますが、みなさんご親族とまめにコミュニケーションをとり、地域のコミュニティーを積極的に活用されています。調査を通じて健康長寿には、運動や食事、交流が大切だと感じています」(岩永さん)

※データはすべて『キューサイ』調べ。健康食品会社の『キューサイ』は、100才以上の元気な100人にさまざまな調査(複数回答あり)を2016年から行っている。

教えてくれたのは

広瀬信義さん/元慶應義塾大学医学部『百寿総合研究センター』特別招聘教授であり、百寿者研究の第一人者。著書に『人生は80歳から 年をとるほど幸福になれる「老年的超越」の世界』(毎日新聞出版)がある。

イラスト/スヤマミヅホ 写真提供/キューサイ、百寿総合研究センター、PIXTA

※女性セブン2020年1月16・23日号

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