コロナで会えない親とオンラインで繋がる見守りツール|注目まごチャンネルお試し
新型コロナによる緊急事態宣言を受け、県をまたいでの移動が自粛に。ゴールデンウィークに実家に帰れず、高齢の親が心配な人も多いだろう。そこで注目なのが見守りサービス。オンライン帰省で注目のまごチャンネルほか、今こそ離れて暮らす親とつながる・見守りサービスを活用しよう。
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帰省できない今、注目の見守りサービス
71才になる記者の母は8年前に父が逝ってから1人暮らしを満喫していたのだが、最近階段を踏み外して足首を痛めて以来、外出が減ってどことなく元気がない。まだ介護を本格的に考えるほどではないが、なんとなく心配ではある。そこで気になる親の見守りサービスを検討することにした。
高齢者だけの世帯は1300万世帯以上に上り、約683万世帯は高齢者の単身世帯(厚生労働省「平成30年 国民生活基本調査」より)。年老いた親の1人暮らしは社会問題ともいえる。
遠くで暮らす親が心配でも同居は難しく、頻繁には帰省もできないといった子世帯のニーズを受け、親の見守りサービス関連の市場が年々拡大中だ。富士経済の調査※によると、2018年は75億円、2025年には124億円と予測されている。市場の拡大とともに、さまざまな製品やサービスが台頭している。
※富士経済「注目「高齢者」施設・住宅&介護関連市場の商圏分析と将来性 2018」より。
遠距離介護に役立つ見守りサービスの種類
市場の拡大とともに、親の見守りサービスの種類も増加中。親の見守りサービスのタイプをチェックし、メリット・デメリットを確認しておこう。
・警備タイプ
セコムやALSOKなどいわゆる警備会社による本格的なサービス。
メリット:ボタンを押すと警備員が駆け付けてくれる安心感が。
デメリット:コストが高い。本人がボタンを押す必要がある。
・カメラタイプ
親の自宅にカメラを設置し、離れた子供はその映像をチェックする。
メリット:導入がしやすく、商品によっては安価で購入できる。
デメリット:親が「監視されている」「見られている」と感じることも。
・センサータイプ
人の温度や音、行動を感知し、離れて暮らす子に知らせてくれる。
メリット:監視されているという意識なく、生活の中に自然に溶け込む。
デメリット:親の行動パターンはわかるが、声や顔色などまではわからない。
・Wi-Fiプラグタイプ
よく使う生活家電のプラグに設置し、消費電力のデータを送信。
メリット:プラグに挿すだけなので導入がラク。家電の利用状況から生活リズムがわかる。
デメリット:親の生活スタイルは確認できるが、親の家にWi-Fi環境が必要となる。
・訪問タイプ
郵便局や銀行などの専任スタッフが訪問するものや、宅配サービスと共に親の状態を知らせてくれるサービスも。
メリット:対面型なので安心感があり親の話し相手になってくれる場合も。
デメリット:定期サービスなので日常のちょっとした変化まではわからない。
・ロボットタイプ
センサーやカメラを搭載したロボットやぬいぐるみを通して親の状況を子供へ送信する。
メリット:見た目がかわいらしいものが多く、コミュニケーションが活発に。
デメリット:ロボットタイプなど高性能なものは本体価格が高く、利用料もかかる。
・会話サービス
電話回線を利用して決まった時間に録音データを送信するものや、担当者が定期的に電話をかけるタイプも。
メリット:カメラなどを設置する必要がないので導入に抵抗感がない。
デメリット:緊急時や異常事態などは検知できない場合も。
・家電タイプ
ポットやフォトフレームなど無線機能を搭載した家電から利用状況を送信。
メリット:毎日使う家電で違和感がない。電球や電池など商品も増えている。
デメリット:操作が難しかったり生活に適していなかったりすると使わなくなる場合も。
・GPSタイプ
位置情報サービスを利用し、親の外出先の行動を見守る。損保保険付きのタイプなども。
メリット:リストバンド型、靴に装着するタイプなど違和感なく身に着けられる。
デメリット:健康状態など本人の様子は把握できない。
・アプリ
設定時刻にアラームが鳴り、画面を押して様子を知らせたり、位置情報を共有できたりする。
メリット:無料のタイプも多く、導入のハードルが低い。
デメリット:親がスマホを使っていないと導入できないタイプも。
さりげなく親を見守るサービス3選
カメラや警備など本格的なものはちょっとハードルが高い…。そんな人は、親の行動をさりげなく見守る新たなスタイルに注目だ。
●高齢の親の自宅が心配なら「くらし見守りサービス/東京ガス」
親の自宅でガスの利用が心配なら、東京ガスの『見守りサービス』(500円/月)が便利。ガスの利用状況や消し忘れを電話でお知らせ。さらに『自宅・家族の見守り』(980円/月)なら、ガスのほか鍵の閉め忘れや、緊急時に警備員が駆け付ける。https://home.tokyo-gas.co.jp/service/index.html
●親の外出をさりげなくサポート!「おかえりQR/昭文社」
地図大手の昭文社の迷子支援サービス『おかえりQR』(1980円)。靴や帽子、杖など必ず使うものにQRコード付きのシールを貼っておき、発見者がQRコードを読み取ると個人情報のやりとりなしに登録者に連絡が来る仕組み。交番検索機能も。アマゾンや楽天のほか、首都圏の郵便局でも販売している。
https://www.mapple-search.biz/
●孫の写真や動画を送って見守りも「まごチャンネル with SECOM/セコム」
シニア向けIoTサービスを提供するチカクとセコムが協働して開発した『まごチャンネル with SECOM』(本体価格3万円・月額利用料1680円・税別)。実家のテレビで親に写真や動画を楽しんでもらいながら、本体に接続したセンサーからの情報をもとにゆるやかに見守りもできるというサービス。
https://www.secom.co.jp/mimamori/mago-ch/
オンライン帰省もできる「まごチャンネル」お試し
記者の母親(71才)はテレビが大好き。朝ドラや大河ドラマをよく見ているし、以前はDVDもときどき借りてきて楽しんでいた。そして、孫のことは目の中に入れてもいたくないほど。そんな母に合いそうなのが、テレビを介して使える見守りサービス『まごチャンネル with SECOM』だ。早速、実家で試してみた。
親側は、実家のテレビと受信機をHDMIケーブルでつなぐだけ。電源スイッチもなく、ACアダプタをコンセントに挿せばセッティングOKだ。使い慣れたテレビのリモコンで接続を切り替えるだけで、すぐに視聴ができる。機械が苦手な母でも1人で設置できた。
子供側は、写真や動画の送信用アプリと見守りアプリ、2種類のアプリをインストールしておく。スマホから写真や動画を送信すると、実家に設置した受信機に灯りが灯って新着をお知らせしてくれる。
親が『まごチャンネル』を見始めると、子供側のスマホに視聴のお知らせが届くのだが、朝から結構な頻度で孫の写真を見ている。テレビの操作には慣れているので、ストレスなく使えているようだ。
「まご専門チャンネルができたみたいだね」と嬉しそうな母の笑顔を久しぶりに見た。今年の元旦は夫の実家に帰省するので、新年を1人で迎える母に「明けましておめでとう」の動画メッセージを送るつもりだ。
また、見守りセンサーで部屋の照度や音を感知するため、起床や就寝など、親の生活リズムもわかる。温度や湿度もお知らせしてくれるので、夏場に気温が上がりすぎているといったことも確認でき、孫の写真を楽しみしている母に親孝行とゆるやかな見守りが同時にできる。
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親の見守りサービスには、さまざまな種類があるが、親の健康状態や、コスト、親が簡単に使える操作性かどうか、親も子もストレスなく使えるものを選ぶのがポイントかも。双方が楽しみながら使えるものなら継続もしやすい。
※2020年5月1日改編。
取材・文/介護ポストセブン編集部