特養に入りやすくなるポイント4つ|30万人待ちの期間を短くする方法
「30万人以上が特養入居待ち」といわれるが、介護評論家・佐藤恒伯氏は「工夫次第では順番待ちの期間は短くできる」と語る。
「大都市の特養では数百人待ちの施設もありますが、地方では空きが目立つところも増えています。特に要介護3以上が要件となってからは、入居から亡くなるまでの時間が相対的に短くなった。つまり回転が早くなり、居室がなかなか埋まらない施設もある。質の高いケアを提供するところでも、空きが出てきています」
こうした実態を踏まえ、特養によりスムーズに入居する方法を考えていきたい。有識者の挙げる「特養に入りやすくなるポイント」は以下のようなものだ。
●入り方1:順番待ちの「重複登録」をする
「まず、“30万人待ち”の意味を正確に理解する必要があります。1人が何件も同時に登録できるので、実際に待っている人数が30万人というわけではありません」(佐藤氏)
正式な統計調査は存在しないが、1人が3施設ほど同時に登録しているケースは珍しくないという。
「複数の特養に同時に登録すれば空室にたどり着く確率は上がる」(同前)のだ。
都心の特養より、順番待ちの少ない地方を狙うのもひとつの考え方だ。ケアタウン総合研究所の高室成幸氏は言う。
「入居すれば生活のほとんどが施設内で完結します。都心に住んでいたからといって、都心の特養だけが選択肢ではないと思います」
●入り方2:ユニット型のほうが空きは多い
特養は大きく「個室ユニット型」と「多床室型(従来型)」に分けられる。リビングや炊事施設を取り囲むように10室程度の個室を配置し、これを1ユニットとしてケアするのがユニット型。それに対して、2〜5人部屋が並ぶのが多床室型の特養だ。2タイプの混在型もある。タイプによって利用料が変わる。
「最近はより安い料金の多床室を選ぶ人が増え、ユニット型の空きが目立ってきています」(高室氏)
●入り方3:入居申込書の「特記事項」を熱心に書く
特養の入居は単純に「申請した順番」で決まるわけではない。より必要に迫られた人が優先される「緊急性」を考慮した入居判定が行なわれる。書類審査による判定が多いので、その“書き方”がカギとなる。
「認知症で徘徊などがある場合は順番の繰り上げが検討されます。ところが家族が“恥ずかしい”と考え、そうした事実を申込書などに書かないケースが散見される。それでは入居が遠のくだけ。むしろ、認知症の症状は申込書の特記事項などの欄に細かく具体的に書き入れましょう」(同前)
●入り方4:「特養のデイサービス、ショートステイ」の活用
入居したい特養があれば、要介護1、2の段階から、その施設のショートステイやデイサービスなどを使って「顔見知りになっておく」のも有効だと高室氏は言う。
「特養の8割くらいはショートステイやデイを併設しています。利用して施設側に“大変な実情”を知ってもらうと入居判定がスムーズに通ることがあります」
終の棲家の有力な候補となる特養。その実状を正しく把握することが、“長い老後”を生き抜く上で重要なカギとなる。
※週刊ポスト2019年8月30日号
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