ショートステイを賢く利用するコツ<1>~プロが教える在宅介護のヒント~
専門家に在宅介護のヒントを教えてもらうシリーズ、今回から社会福祉主事で介護福祉士の岡田大輔さんに「ショートステイ(短期入所生活介護)」サービスの利用についてアドバイスしてもらう。
受ける人と家族、両方をサポートするショートステイ
普段は家庭で介護を受けている人が、介護サービス付きの施設に短期間“お泊まり”して過ごすショートステイは、介護を受ける人と家族両方にさまざまなメリットがあるが、賢く利用するにはいくつかの注意点があるという。
岡田さんは、勤める施設の生活相談員として、ショートステイを担当し、日々、要介護者や家族の相談にのっている。今回はサービスのあらましと、サービス利用までの流れの中で気をつけたいポイントを聞いた。
※ショートステイには医学的管理や機能訓練が必要な人を受け入れる「短期入所療養介護」もあるが、これは実施事業者が異なるため、今回の記事の内容は要支援1、2の人の介護予防も含めた「短期入所生活介護」に限る。
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まずはケアマネジャーに利用の相談を!
ショートステイは、介護を必要とする方が、施設で食事や入浴、排せつなどの日常生活のお世話や生活機能訓練などを受けながら、短期間、生活を送るサービスで、多くは次のような場合に利用されています。
・長い介護期間中、介護する人にリフレッシュが必要になったとき
・独居の要介護の人、老々介護の人が援助を必要とするとき
・介護に関わっている家族が病気になったとき・冠婚葬祭や旅行で、一時的に介護ができなくなるとき
・利用する本人が家族以外の人との交流を希望するとき
介護保険では、要支援1〜要介護5すべての人がショートステイを利用できます。ただし、施設によっては要介護の方だけを受け入れる施設もあります。いずれにせよ、使いたい場合はまずケアマネジャーに相談を。ケアマネジャーがケアプランに「ショートステイ利用」を加え、利用の理由や要介護度、予算などに合った施設を探し、提案してくれます。
親戚の葬儀で急に出かけなければいけなくなった場合など、緊急の対応もしてくれます。必ず施設に空きがあるとは限りませんが、なるべく希望が叶うように調整します。また、希望がなくても客観的に介護負担が重い場合など、利用が勧められることもあります。
1泊から利用できますが、原則30日超の連続利用はできません。また要介護認定の有効期間の半分以上は利用できない規定もあるので、有効期間の前半に使いすぎてしまわないように、ケアマネジャーと他のサービスとの組み合わせなども含めて相談し、家族の生活プランを作るといいでしょう。
料金は条件によって異なる。自己負担額を事前に調べよう
ショートステイを利用したときに支払う金額は、介護保険の自己負担分と居住費、食費、日常生活費などの合計になります。居住費は居室料、日常生活費は歯ブラシや石鹸など消耗品の代金です。別途、送迎費用が必要な場合もあります。
金額は利用する人の要介護度や収入・資産状況、入所を希望する施設によって負担額が異なります。少し複雑な分類になっていますが、ケアマネジャーに聞けば、利用する人の施設ごとの負担額を教えてもらえ、比較検討できます。
ショートステイを利用して家族の介護疲れをリフレッシュ
私が勤務する『至誠キートスホーム』(東京都立川市)は特別養護老人ホーム、デイサービス事業所を併設する施設で、ショートステイ用のユニット(個室)は20室あり、要支援1から要介護5の方まで、すべてご利用が可能です。
ショートステイの平均利用日数は4日前後、自己負担金額は1日4000〜6000円程度で、昨年度はほぼ100%の施設稼働率でした。
利用の理由は「介護者の負担軽減」が最も多いです。
デイサービスやヘルパー利用などだけではご家族の介護負担が軽減しきれない場合に、定期的にショートステイを使って、休養や旅行、趣味を楽しむ時間をもっていただき、ご家族全員に気持ちのリフレッシュや疲労回復をしていただきたいと思います。