猫が母になつきません 第496話「さとがえり(3)」
預かり最終日、猫たちは朝ごはんを食べたあと、とても静かでした。私は歯医者の予約があったのでとりあえず歯医者へ行き、戻ってからぐれを友人の家に送っていくことにしていました。治療を終えて家に帰り猫たちの食事の準備…ここで音を聞きつけた猫たちが台所へやってくるはずなのですが、気配すらありません。
「ぐれー、ぐれー」と呼んでも全く反応なし。隊長がいつもお昼寝をするクローゼットの中を覗くと2匹がいましたが、こちらを睨んで「シャーッ」と威嚇してきます。とくに隊長はぐれを奥にかくまって「ぐれは渡さん!」とばかりに「シャーッ!シャーッ!」。どうして今日が帰る日とわかるのだろう…とにかく猫は察しがいい。なんなんでしょう、ほんとに。2匹は、私と最初に会った頃の弟を守る姉と守られる弟に戻っていました。
威嚇してくるとは言っても猫パンチはしないので、ぐれだけをクローゼットから追い出し、お風呂場に追い込んでバスタオルでくるんで捕獲。すぐにキャリーバッグに入れて家を出ようとすると、さびが玄関に見送りにきました。子猫たちがはしゃぎまくるにぎやかな5日間、さびには迷惑だったでしょうが、それでもなんだかなごりおしそうに見えました。隊長は最後までクローゼットから出てきませんでした。
友人の家に戻ったぐれは、最初は隠れていたものの、すぐにいつもの甘えん坊の食いしん坊に戻ったとのことでした。隊長のほうも私が帰ってソファに座るとすぐに膝に乗ってきていつもどおりに。ほっとしました。楽しかったね、またいつか。
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作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母と暮らすため地元に帰る。ゴミ屋敷を片付け、野良の母猫に託された猫二匹(わび♀、さび♀)も一緒に暮らしていたが、帰って12年目に母が亡くなる。猫も今はさびだけ。実家を売却後60年近く前に建てられた海が見える平屋に引越し、草ボーボーの庭を楽園に変えようと奮闘中(←賃貸なので制限あり)。
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