《経済面が“熟年離婚”の原因にも》老後資金の心配を減らすには「夫婦の財布を一つにすべき」 収入と支出の「見える化」がカギ
金の切れ目は縁の切れ目――。熟年離婚は増加傾向にあり、経済的な理由が上位にあがっている。日本社会のお金のまつわる制度は、「良くも悪くも夫婦が得する面がある」と言われ、熟年離婚に至らないようにお金を貯めておきたいところだ。家計再生コンサルタントの横山光昭さん(54歳)は、「夫婦の財布を一つにするところから始めてほしい」という。横山さんの著書『おふたりさまの老後資金は「これ」で増やす』より一部抜粋、再構成してお届けする。
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おふたりさまには「扶養手当」も
多くの人にとって老後の収入の柱となる「年金」ですが、おふたりさま(充実して暮らす夫婦)にはさまざまなメリットがあります。まず年金版の「扶養手当」とも呼ぶべき加給年金をもらえる仕組みがあります。厚生年金の受給資格がある人が65歳になると、配偶者が65歳になるまで年金額が加算されます。遺族年金の面でも有利な仕組みがあります。
さらに、ここ数年、注目度が高まっている年金の「繰り下げ受給」制度。年金の受け取り開始の時期を遅らせると、受給額を大幅に増やせる仕組みです。ただし、やみくもに受給開始の時期を遅らせて、生活が窮屈になってしまうのは本末転倒です。
必要なときに、必要な金額だけ受給できればありがたいところですが、おふたりさまなら「時間差受給」などを活用することで、家計をうまくやりくりしながら、受給額を増やすことが可能となります。
おふたりさまには配偶者控除などの税制的な優遇や、社会保険料負担においても有利な仕組みがあります。総じて、日本社会のさまざまなお金にまつわる制度は、良くも悪くも夫婦が得する面があるのです。
熟年離婚は増加傾向にある
ただし、見逃せないデータもあります。いわゆる「熟年離婚」が増加傾向にあるのです。理由はさまざまですが、経済的な理由も上位に記されています。子どもの独立後、お金に苦労する夫婦の婚姻生活は長続きしない。まさに「金の切れ目は縁の切れ目」となってしまうということでしょうか。
つまり、おふたりさまの老後は、放っておいてうまくいくものではないということです。少なくともお金の面では、夫婦ふたりだけの生活を見据え、子どもの独立前から準備を進めたいところです。
とはいえ、私たちのもとを訪れるご夫婦でも、何から始めていいのかわからないという方がほとんどです。難しいことやリスクの高いことから始める必要はありません。そんな方々や読者の皆さんに私が最初に申し上げたいのは、「まずは夫婦の財布(家計)を一つにしましょう」ということです。
収入と支出の「見える化」から始める
共働きで給料などの収入をそれぞれが管理しているご夫婦は、まずはふたりの収入を合わせて、ふたりでふたりの収入を管理することから始めてください。
長年、家計相談を受けて痛感していることですが、ご夫婦の財布が一つになっていないケースは少なくありません。むしろ、若い世代ではそれが当たり前になっています。この状態では、世帯として、毎月の収入と支出をきちんと把握することすらできません。
毎月の収支が黒字なのか赤字なのかもわからない状態では、対策の打ちようがないのです。月々の収支がわからなければ老後資金どころではありません。老後の生活資金が足りているのか、足りていないのか。足りないのであれば不足する金額はどのくらいなのか。
まずは夫婦の財布を一つに、もしくは共有できる工夫をして、収入と支出を「見える化」しましょう。そして、計画的にお金を貯めたい場合は、どの支出を確保して、どの支出を減らしていくのか、ふたりで目標を立てることからスタートです。
「家族マネー会議」を開催してみる
夫婦の収入と支出を互いに管理することで、おのずとお金に関するコミュニケーションが増え、マネーリテラシーも高まります。
まだ子どもが独立していなければ、お金の使い方などを子どもたちと一緒に議論することもおすすめします。私はこれを「家族マネー会議」と名づけ、わが家では月1回、開催しています。子どもたちのマネーリテラシーを高めることにもつながるからです。
株式市場が好調なこともあり、老後資金を増やすとなると、資産運用にばかり目が向きがちです。しかし、投資のリスクはやり方次第で大きく減らすことはできますが、ゼロにはできません。とりわけ現役時代のままの支出を続けている方にとっては、支出を削減していくほうが短期間で大きな効果が得られます。
とはいえ、老後資金を貯めたいからといって、無理な節約を続けて生活が窮屈になってしまうのは本末転倒です。家計のあり方を見直すときは、ていねいにムダをあぶり出し、不要なものだけを削減したいところです。
◆教えてくれたのは:家計再生コンサルタント・横山光昭さん
よこやま・みつあき/家計再生コンサルタント・ファイナンシャルプランナー・株式会社マイエフピー代表取締役社長。1971年、北海道生まれ。これまで応じてきたお金にまつわる相談は3万件以上に及び、独自の「家計再生プログラム」により、個別の課題を抜本的に解決する。著書累計は400万部を超え、代表作に、いずれもシリーズ累計100万部超の『3000円投資生活』『年収200万円からの貯金生活宣言』など。
