【2,784人調査】介護脱毛は必要?排泄介助の負担軽減と本人の意思の間で揺れる本音
親の介護、あるいは将来の自身の介護を考えたとき、健康や金銭面だけでなく、「介護脱毛」という選択肢が注目されていることをご存知だろうか?
清拭(蒸しタオルなどで身体を拭き、清潔に保つ行為)や排泄介助など、介護者の負担を少しでも減らすため、あらかじめアンダーヘア(VIO)を脱毛しておく「介護脱毛」。排泄介助時の負担軽減や衛生面でのメリットが語られる一方で、「本当に必要なのか?」「本人の意思はどう尊重されるべきか?」といった疑問や葛藤も存在している。
本記事では、介護マーケティング研究所が「介護のなかま」2,784人を対象に行った意識調査をもとに、介護脱毛の必要性、排泄介助経験の有無による意識変化、そして「本人の意思」というデリケートな問題まで、その意外な本音と実態を解説する。
調査結果サマリー
1.介護脱毛には肯定的ではあるが「必須」とは考えていない
2.排泄介助経験の有無で男女の意識は変わる
3.必要性を感じつつも迷う人が多い理由。「本人の意思を尊重したい」
調査詳細
介護脱毛には肯定的ではあるが「必須」とは考えていない
「介護する相手がアンダーヘアの脱毛をしていた方がいいですか?」という質問に対する回答は、「はい(46%)」が最多で、「どちらでもよい(42%)」、「いいえ(12%)」と続いた。
肯定した人は介助効率と衛生面が主な理由だった。
1位 : 拭き取りがスムーズ(91%)
2位 : 肌を清潔に保ちやすい(76%)
3位 : 炎症・感染症などのトラブル予防(60%)
4位 : ニオイ軽減(52%)
「どちらでもよい」「いいえ」の回答者は、「本人の意思(アンダーヘアの処理をするのは恥ずかしい・アンダーヘアがないのは自然体ではないなど)を尊重したい」「アンダーヘアの有無は排泄介助に関係ない」など合理性と心理面の両方を重視している傾向。
つまり、介護脱毛は有用性を認識されているものの、個人の選択を尊重して判断を保留している層も多く、「あった方がよい」とは思われているが、「必須のケア」とは捉えられていないことが明らかになった。
→介護現場のアンダーヘア脱毛に関するリアルな実態|介護従事者は一般男女よりVIO脱毛をしている割合が高い<最新調査レポート>
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排泄介助経験の有無が男女の意識差を大きく変える
同じ質問への回答を「排泄介助経験の有無」と「男女別」で分析したところ、介護脱毛への評価に顕著な傾向差が見られた。
- 男性の場合: 排泄介助の経験がある人の方が、介護脱毛により肯定的な見方をする傾向にある。(被介護者の脱毛希望:経験あり 48% VS 経験なし 45%)
- 女性の場合: 排泄介助の経験がある人の方が、介護脱毛により否定的・慎重な見方をする傾向にある。(被介護者の脱毛希望:経験あり 41% vs 経験なし 50%)
排泄介助を実際に経験することで、男性は「効率化」という現実的な課題解決に目が向くのに対し、女性は介助を通じて相手の立場に感情移入し、「尊厳」や「羞恥心」といった、より内面的な問題に意識が深まる傾向があることが判明した。
必要性を感じつつも、「自己決定」を尊重したいという価値観
介護脱毛についてどう思うかの自由記述では、次のような意見が多く見られた。
【肯定的な意見(必要性・有用性の認識)】
- 脱毛済みなことで臭い、皮膚炎予防になり介助もしやすくなるのでお互いにとって必要なケアだと思います。[介護・排泄介助経験あり 37歳 女性]
- 脱毛することで介護しやすいという声は、施設に通う介護職の知人から聞いています。 [介護経験のみあり 70歳 男性]
- 毛についた汚れは完璧には取れない。介護人の負担増。自身の肌を清潔に保てる。などを考えると脱毛したほうがいいと思います。 [介護・排泄介助経験あり 74歳 男性]
【本人の意思を尊重する意見】
- ご本人が了承されるのであれば、脱毛すれば良いし、恥ずかしいと感じる方もいらっしゃると思うので、ご本人の意思を尊重すべきと思います。 [介護経験のみあり 43歳 女性]
- 良いことだとは思います。(衛生的に)ただ、本人の意思も尊重したいと思います。 [介護・排泄介助経験なし 55歳 女性]
【柔軟な判断を求める意見】
- 脱毛している方が介護はしやすいと分かるが、いざ自分が脱毛となると迷ってしまいます。[介護・排泄介助経験あり 66歳 女性]
これらの意見は、介護脱毛が単なる美容や衛生の問題ではなく、実用性と個人の尊厳という二つの価値観の間で揺れ動く、複雑なテーマであることを示している。
この葛藤こそが、「介護脱毛をするべきだ」「介護脱毛はしなくて良い」と単純に二極化しない、介護脱毛に対しての意識の核心と言える。
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→【介護脱毛】介護経験者のミドル世代が積極的にVIO脱毛する理由
本調査結果を通じて
今回の調査から、介護脱毛に関する以下の構図が明らかになった。
1.必要性は広く認識されている : 介護の負担軽減や衛生面でのメリットは多くの人が認めている。
2.「必須」とは考えられていない : 個人の意思や尊厳を尊重する声も強く、強制されるべきものではないという認識。
3.判断基準は実用性 vs 本人の尊厳: 最終的な選択は、実用的なメリットと個人の感情や価値観とのバランスによって決まる。
介護脱毛は、「正解があるケア」でも、美容や必須要件でもない。将来の介護を考える上での1つの選択肢として、自身の価値観や状況に基づいて慎重に検討することが重要である。
アンケート概要
調査主体:介護マーケティング研究所by介護ポストセブン
調査方法:インターネットによるアンケート調査
調査対象:『介護ポストセブン』会員組織『介護のなかま』登録者
調査地域:全国(国内)
調査期間:2025年9月23日(火)〜10月9日(木)
有効回答者数:2,784名
調査データのご利用について
本記事に掲載している調査データは、出典を明記いただければ自由に引用いただけます。
出典:【2,784人調査】介護脱毛は必要?排泄介助の負担軽減と本人の意思の間で揺れる本音(介護マーケティング研究所 by 介護ポストセブン)
https://kaigo-postseven.com/218521
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