「家族の反対であきらめていた趣味のバイクにまた乗りたい」50代男性の訴えに91才現役料理家・小林まさるさんが進言!「長い人生、夢中になれることがあるのは大切」|人生相談・第6回「まさるさんの趣味、木彫りを初公開」
91才の料理研究家・小林まさるさんが、読者のお悩みに真摯に答える人生相談企画。第6回は「趣味」に関するお悩み。「家族には反対されそうだが、再びバイクに乗りたい」。50代男性の想いを叶えるにはどうしたらいいか? まさるさん自身の趣味にも話題が広がって――。読んですっきり、心は晴々!
答えてくれた人
料理研究家・小林まさるさん
昭和8年、樺太(現在はサハリン)生まれ。70才から長男の嫁で料理研究家の小林まさみさんのアシスタントを始め、料理研究家として活躍。著書『人生は、棚からぼたもち! 86歳・料理研究家の老後を楽しく味わう30のコツ』(東洋経済新報社)ほか、小林まさみさんの著書『血糖値を下げる1か月献立』(Gakken)では血糖値を下げる企画にチャレンジ。88才でYouTubeを始めるなど、新たな挑戦を続けるシニア世代の星。小林まさる88チャンネル https://www.youtube.com/@user-tk9ur8bu8s/featured
お悩み「若い頃のように、もう一度バイクに乗りたい!」
私は、お金はかけませんが、若い頃からバイクが好きでバイク乗りでした。しかし、結婚して子どもに恵まれ、「危ないからバイクに乗るのをやめて欲しい」と嫁に言われ、やめることにしました。
そして今、3人の子どもたちも大きくなり、もう少しで子育て終了となります。すると徐々に、バイク熱が戻ってきてしまいました。
また乗っていいかと相談するのも、苦労をかけた嫁に言いにくいところがありますが、まさるさんはどう思われますか? ぜひ教えてください。(はじめ50代・50才/男性)
まさるさんの回答「自分の人生だ! やりたいことを諦めちゃダメだ!」
はじめ50代さんのように、男が趣味を持つのはとてもいいことだ。でも、家族に理解してもらうのは難しいこともあるよな。
でも、一度きりの人生、それは誰のものでもない。はじめ50代さんの人生だ。自分が情熱を持ったことは、絶対にやったほうがいい! もしやらなかったら、はじめ50代さんは一生後悔するぞ。そんな人生なんて、俺は御免だ! 自分の人生を潰しちゃダメだ。
ただし、若い時のような乗り方ではなく、大切な家族がいるのだから、スピード違反は絶対にしない。危ない乗り方はしない。安全に乗ることを徹底的に守って、乗るといいよな。
さらに、苦労をかけた奥さんにはうまく伝えたほうがいい。突然「またバイクに乗ってもいいか?」とは言わないで、「この頃、バイクの夢をよく見るんだよなぁ」「昔みたいにバイクに乗ってみたいなぁって時々思い出すんだよなぁ」って、まずは少しずつバイクの話題を出していって、奥さんの顔色をうかがってみるのはどうだろう。少しずつ乗りたい気持ちを伝えて、許してもらえたらいいんじゃないかな。
その熱い気持ちを我慢していると、だんだんと奥さんに対しても嫌な感情が湧いてきて、「あの時、許してくれなかったから」と、何かにつけて腹が立ってしまうかもしれない。
バイクは危険だっていうけどね、世の中に危険が伴わないものなんてないだろう。だから奥さんにも、少し多めに見てもらえたらいいよな。
バイクに限らず、自分がやりたいことを諦めてしまったら、一生後悔するぞ。
「あの時、なんでやらなかったんだろう」と絶対に悔やむ。だからどんなことでも、諦めないでやったほうがいいと、俺はそう思うよ。
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まさるさん
やらないと一生後悔する! 少しずつ家族に気持ちを伝えてみよう!
まさるさんの趣味「定年後から始めた”木彫り”にハマっているよ」
子どもの頃から大好きな魚釣りに加え、定年後から始めた趣味があるとまさるさんは話してくれた。それは「木彫り」だ。
これまで彫った動物や仏像、制作途中の荒削りの作品まで、介護ポストセブンでは初公開となる作品の数々を見せてもらった。誰にも教わることなく我流で彫ってみたというが、そのクオリティの高さに驚くばかりだ。
「会社の同僚が勝浦に別荘を建てるので、木を間引きする手伝いに行った時に、切った木材がたくさん出てね。これは捨てるのはもったいないなと思って、俺にくれよ!と、車にいっぱい積んで持って帰ってきたんだ。
さあ、どうするかと思った時に、ちょうど定年になって退屈していたから、じゃあ試しに何か彫ってみようかなと。それで虎や鷲を彫り始めた。まさみちゃん(義理の娘で、料理研究家の小林まさみさん)の仕事を手伝うようになったのが70才。それまでは時間があったから、いろいろな物を作っていたよ。
趣味があると夢中になって楽しいし、いい暇つぶしにもなる。子どもの頃は図工なんて大嫌いだったけど、大人になってやってみたら面白い! 少しでも興味を持ったら、まずは何でもやってみるのが大事だね」
いくつになっても生き生きしているまさるさんは、人生を楽しむ術を知っている。実は意外なところに、自分が夢中になれるものはあるのかもしれない。
次回のお悩み相談もお楽しみに!
撮影/菅井淳子 取材・文/岸綾香