高齢者が安心して料理できる火を使わない【調理家電】選び方と注目アイテム「コードの長さ、操作が複雑ではないかがチェックポイント」|家電のプロが解説
空気が乾燥し、火災も多いこの季節。離れて暮らす高齢の親は火の管理ができているか、心配な人もいるだろう。そこで、火を使わずに調理ができる“調理家電”に注目したい。高齢者が安全に使えて、かつ簡単に操作ができる調理家電の選び方やおすすめの商品を、家電ライターの田中真紀子さんに教えてもらった。
教えてくれた人
田中真紀子さん / 家電ライター
家電ライター/家電を生活者目線で分析し、雑誌やウェブで紹介する家電のスペシャリスト。特に白物家電・美容家電に詳しい。自宅には最新家電を中心に200以上を所有し、年間300以上の記事執筆・監修に携わる。テレビ・ラジオにも多数出演。公式HP https://makiko-beautifullife.com/
火を使わず料理!高齢者におすすめの調理家電
火を使わず、比較的安全、かつ簡単調理できる家電にはどんなものがあるだろうか。田中さんは、「ホットプレート、自動調理鍋、ノンフライヤーのほか、オーブンレンジやオーブントースターなどもあります」と話す。
それぞれ高齢者に使いやすいタイプも登場し、機能も進化している。
「ホットプレートは座りながらでも使えますし、自動調理鍋は材料を入れて放っておけば完成するので、体力が落ちてきた高齢者の料理をラクにしてくれます。また、介護中のご家庭には、短時間で素材がやわらかく仕上がるので、介護食作りにも便利ですよ」(田中さん、以下同)
ホットプレート
火を使わない調理器具としておなじみなのが、テーブルの上で調理してそのままお皿に盛り付けられる、ホットプレート。足腰が弱ってくると長時間キッチンに立つことがしんどくなってくることもあるだろう。最近のホットプレートは、ひとり暮らし、夫婦ふたり暮らしの高齢者にも使いやすいコンパクトなタイプも増えているという。
「ホットプレートの中には、平面プレートのほか深皿プレートが付属して煮込み料理ができるものもあり、テーブルでお互いを見守りながら調理することも可能です。
また、コンパクトなものは1人分がちょうどよく調理できるほか、深鍋でインスタントラーメンなどを作ったりするのにも便利です」(田中さん・以下同)
自動調理鍋
カットした野菜など具材を入れたら、あとは自動で調理をお任せできる自動調理鍋。煮込み料理だけでなく、最近では炒め物やスイーツなど幅広いメニューに対応するタイプも登場し、人気を集めている。
「時間がかかる煮込み料理がほったらかしで作れるので、長時間立ちっぱなしで疲れることなく、さらに火にかけっぱなしで忘れてしまったときの焦つきや火災のリスクも減らせます」
オーブンレンジ
オーブン機能がついた電子レンジもおすすめだと、田中さん。
「実はオーブンレンジも優秀な“ほったらかし家電”なので、焼き物をお任せすることができます」
ノンフライヤー
火と油を使わず電気の力で揚げ物を作ってくれるノンフライヤー。
「ノンフライヤーは、油を使わないのに、まるで油で揚げたようなカリッ、サクッとした揚げ物ができるものが多く、中には、買ってきた揚げ物のお惣菜も揚げたての食感を再現してくれるものも。
油の取り扱いによるやけどや火災のリスクを抑えられるほか、手軽なオーブンとして焼き物を調理できることが大きなメリットです」
調理家電は「コードの長さ・安全性・操作性」をチェック
調理家電は、便利な反面、選ぶ際に注意したいこともある。
まず、コードの長さをチェックしておきたい。
「ホットプレートのようにテーブルで使用するようなものは、コードに足がひっかかった際にコードが抜けるタイプがいいでしょう。コードが抜けないと、熱い料理が乗った調理家電がひっくり返り、やけどする危険があります。
また、表面を触っても熱くならないものが安心です」
操作が複雑でないか、表示が見やすいかも、チェックポイントだ。
「多機能でボタンが多いタイプは、操作に迷ってしまい使いこなせないかもしれません。おすすめは、シンプルなダイヤル式、液晶画面で表示されるタイプなど、直感的に使いやすいものです。ボタンや文字が大きいもの、液晶なら表示が明るく見やすいものの方が快適に使えるでしょう」
いまはWi-Fiと連携してスマホ操作できる調理家電が増えているが、「便利そうだから」とすぐ飛びつくのも考えものだという。
「Wi-Fi連動タイプは慣れれば簡単ですが、そのようなものは本体の値段も高くなる傾向があります。使いこなす自信がない、必ずしも必要ではない、というかたはWi-Fi機能なしのものを選んでもよいでしょう」