老舗アパレルメーカーが手がけたBEAMS JAPAN監修の介護パジャマ開発秘話「心が躍る介護服を」
ひとりで服を着脱するのが難しい人に向けた介護服は「機能性が重視されがちで、オシャレなものが少ない…」。そんな介護現場の声から新たな「介護パジャマ」が誕生。あのBEAMS JAPAN監修によるデザイン性と機能性を兼ね備えた注目のパジャマとは?
着るだけでココロオドル毎日を
介護服といえば、着やすさなどの機能性を重視したものが多く、デザインが限られてしまうのが現状。しかし毎日のように袖を通す服は、着るだけで気分が明るくなるような、デザイン性にも優れたものがいい。そう考える人も多いのではないだろうか。
そんな人々のために、創業70年の老舗アパレルメーカーであるクロスプラスは、同社が手がける介護服ブランド「ココロcolor」からBEAMS JAPAN監修の介護パジャマ「cocoro color」を発表。同社ECサイトにて販売を開始した。
「ココロcolor」は介護経験のある親を持つ社員の「市場にはオシャレな介護服が少ないのではないか」という声とアイデアを元に生まれたブランドだ。開発に伴い実際に介護現場に足を運び、介護福祉士を始めとした現場の声をダイレクトに取り入れることで、デザイン性にも機能性にも優れた介護アイテムを数多く開発している。
「cocoro color」5つのポイント
新たなに開発されたのは、BEAMS JAPAN監修による高いデザイン性と扱いやすさを兼ね備えた、介護する人もされる人にもやさしいパジャマシリーズとなっている。
POINT1 着脱簡単な仕様
面ファスナーを使用しており、ボタンよりも着脱が簡単に行える。
POINT2 「名前」タグ付き
トップス、ボトムスそれぞれに名前が記入できるタグが付いている。
POINT3 ゆったり広めの身幅とアームホール
腕が通しやすく、介助もスムーズに行える。
POINT4 調節可能なゴム仕様
パンツのウエストをボタンで変えられる仕様となっている。
POINT5 前後が分かりやすい「前」タグ付き
パンツは前後が分かりやすいタグが付いており、はき間違えを防ぐことができる。
「当事者も介護者も笑顔になれる介護服を」開発者の想い
「ココロcolor」は介護経験のある親を持つ社員の「現在市場にオシャレな介護服が少ない。デザイン性のある介護アイテムがあってもよいのではないか」という1つのアイデアから開発がスタートしたという。
まずは介護商材を扱う売り場やカタログから、介護商材に関する知識のインプットを行った。その後、介護施設を何度も訪れ、介護福祉士に対して現在使用している商材や、今後あったら良いと思う商材についてのヒアリングを実施。試作の際には実際に介護施設の利用者に試着を行ってもらうなどの協力も仰ぎ、現場の声をダイレクトに取り入れつつ商品化に至った。
「介護服は機能的であれば充分」という考えを常識としている人も多いだろう。しかし実際は、多くの当事者や介護者が「華やかでかわいくてオシャレで気分が上がる介護服が良い」と思っているという。その願いに寄り添いつつ、介護する側もされる側もより快適に使えるかといった機能性にもしっかりこだわるため、エプロンやパジャマの利用状況や洗濯方法など細かい部分についてもヒアリングを重ねた。
「実際のサンプル商品を見ていただいた時の嬉しそうな顔は忘れられません。着ている本人が快適で明るくなり、その気持ちが伝播して、介護している側も自然と笑顔になってしまう、そういう商品になったら良いと重い『ココロcolor』を立ち上げました」
BEAMSの担当者は、「ファッションの世界に30年近く身を置き感じることは、日本では歳を重ねた世代にオシャレの苦手意識があること。色々なトキメキを忘れてしまっているということ。いくつになっても、自分を好きでいつづけ、お洋服がその助けになれたら嬉しいです」と語る。
開発者がそう語るように、この「介護パジャマ」は介護の場でも気兼ねなくオシャレを楽しみたい人々の一助となるだろう。今後もより様々なデザインの介護服が展開されていくことを楽しみにしたい。
【データ】
クロスプラス
同社ECサイト「クロスマルシェ」
https://www.crossplus.jp/blog/crossmarche-article/beamsjapan_cocorocolor/
※クロスプラスの発表したプレスリリース(2024年9月3日)を元に記事を作成。
図表/クロスプラス株式会社提供 構成・文/秋山莉菜
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