シミ治療は保険診療でどこまでできる?医師が教える【皮膚科】【美容皮膚科】の違いや治療法「シミ取りでもセカンドオピニオンを」
いつの頃からか皮膚科クリニックに「シミのお悩み、ご相談ください」という案内の掲示が増えているのをご存じだろうか?皮膚科と美容皮膚科が併設されているクリニックも増え、シミ治療のハードルが低くなっている。化粧をしてもうっすら残るシミを退治するなら、紫外線が強くなる前のいまがベスト!医師に聞いた種類別のシミ治療法を紹介する。
教えてくれた人
小林美幸さん/美容皮膚科医・聖心美容クリニック熱海院院長、田中優子さん/皮膚科医・田中病院院長
シミ取りは一般皮膚科と美容皮膚科のどっちがおすすめ?
シミに悩んでいるなら、「まずは皮膚科で、自分のシミの種類を診断してもらうといいです」と言うのは、美容皮膚科医で聖心美容クリニック熱海院院長の小林美幸さん。
「ひとくちにシミと言っても医学的にはいろいろな種類に分けられ、それぞれ治療法が異なります。脂漏性角化症など保険適用の治療法もありますし、シミに見えてもがん化が懸念される病変のこともあります。その見極めは、医師にしかできません」(小林さん・以下同)
クリニックの診療科目が「一般皮膚科」の場合は、病気の治療・治癒、「美容皮膚科」の場合は、さらなる美しさを目指した治療が行われる。
「一般皮膚科の治療は、保険適用なので3割程度の負担で済みます(適用外の治療法を示される場合もある)。美容皮膚科は、基本的に全額自己負担の自費診療です。治療方法や治療するところ(シミだけを治療するのか、それとも、美肌を求めてシミ以外の場所も治療するのかなど)は、シミの診断を受けてから考えてもいいんです。自費診療は高額だと思っている人が多いですが、数千円から治療が受けられ、短期間でシミを取ることができるのがメリット。高価な化粧品をシリーズ使いしたり、サプリメントをのみ続けるより安く済むことが多いですよ」
大きくて濃いシミにはレーザー治療を行うことが多いが、1回では完全に取りきれないという。
「3平方センチメートル以上の大きなシミでも一度にレーザー治療できますが、1回の治療で跡形もなく消すのは難しい。1回でだいたい8割くらいは取れるので、かなり薄くはなりますが、治療後に紫外線を浴びるとせっかく取ったはずのシミが濃くなったり、再発することもあります。夏にかけて紫外線が強くなるため、5~9月は治療を避けた方が無難でしょう。ケミカルピーリング治療など、そのほかのシミ取り治療を行う場合も、施術後しばらくは、いつも以上に紫外線対策を徹底し、お肌へのダメージを排除しましょう」(皮膚科医で田中病院院長の田中優子さん)
シミの種類とそれぞれの治療法
【1】老人性色素斑 (日光性黒子)
シミの悩みの約6割がコレ。紫外線を長年浴びてきたことが主な原因で、顔では頰骨の高い部分にできやすい。若くてもできる。初めは薄茶色で、放置するとだんだん濃くなる。境界線がはっきりしており、手足など体にもできる。
<治療法>
保険適用外で、医療機器によるレーザー治療や光治療が可能。自費診療のためクリニックによって価格差があり、シミの大きさでも変わる。目安は1回2000~10万円。ケミカルピーリングや外用薬も有効。
【2】肝斑(かんぱん)
境界線があいまいで“もやっ”としたシミ。左右対称で頰骨、あご、鼻の下などにできる。女性ホルモンのバランスの乱れが関与しているといわれ、妊娠中やピルの服用時、更年期に多い。閉経後しばらくすると自然に薄くなることも。
<治療法>
体の内側から美白するトラネキサム酸やビタミンCの内服薬が保険適用で処方されることもある。自費診療では美白効果の高い外用薬、肝斑用レーザー、ケミカルピーリング、ハイドラフェイシャルも有効。