あなたももしかして?日本人の3人に1人が発症する【逆流性食道炎】の症状をチェック「軽症のうちの対処するのが大事」と医師が警鐘
日本人の約3人に1人がかかっているとされる「逆流性食道炎」。原因として、偏った食生活や肥満、ストレスなどが挙げられることから、現代病のひとつともいえるだろう。重症化すると食道がんのリスクもあるため、単なるゲップや胃もたれと軽視するのは危ない。「最近、揚げ物がこたえる」というあなたの食道、実は危険信号を発しているのかも。
教えてくれた人
関洋介さん/四谷メディカルキューブ消化器外科臨床研究管理部・部長。大阪大学医学部卒業。フリンダーズ大学、ミネソタ大学などを経て、2009年より現職。社団法人GERD・LPRD診療ネットワーク理事長。著書に『それ全部、逆流性食道炎です。』(アスコム)など。
胸やけと見分けが難しく発見が遅れやすい「逆流性食道炎」
逆流性食道炎とは、胃酸や胃の内容物が食道に逆流することで、食道の粘膜に炎症が起こる病気だ。
「日本人の3~4人に1人が罹患しています」
とは、消化器外科医の関洋介さんだ(「」内以下同)。
症状は、胃もたれや胸やけ、吐き気、のどの違和感、咳、お腹の張り、ゲップなどさまざま。いずれの症状も、過食や疲労などで日常的に起こるため、逆流性食道炎とは思わず、侮って放置し、悪化させがちなのだという。
「悪化すると食道がんのリスクが高まりますが、何より、この病気が軽視できない理由は、生活の質が著しく低下する点にあります」
食欲が減り体重が激減、免疫力が落ちたり、集中力が散漫になって仕事に支障をきたしたり、うつ状態や睡眠障害に悩まされるケースも少なくないという。
軽症であれば、胃酸の分泌を抑える市販薬を活用するのも手だが、それでも改善しない場合は、内科や消化器内科を受診した方がいい。
医療機関では、内服薬が処方され、場合によっては胃カメラや、ペーハー(pH)モニタリング(鼻からのど、食道、胃までセンサー付きのカテーテルを入れて胃酸の逆流の様子を調べる)検査などが行われる。
「薬物治療が思わしくない場合、胃の一部を食道に巻きつけ、胃から食道への逆流を止める手術もあります」
自己診断が難しく見過ごされがちな病気なので、50才を過ぎたら胃カメラなどの検査を定期的に受けよう。
こんな症状があったら逆流性食道炎かも
下記について、「ない=0点」「まれに=1点」「時々=2点」「しばしば=3点」「いつも=4点」で採点し、合計点数が8点以上だと逆流性食道炎の可能性が高い。
□ 胸やけがする
□ お腹が張る
□ 食後に胃が重苦しい(もたれる)
□ 思わず手のひらで胸をこすってしまう
□ 食後、気持ちが悪くなる
□ 食後、胸やけが起こる
□ のどに違和感(ヒリヒリなど)がある
□ 食事の途中で満腹になる□ 食べ物を飲み込むとつかえることがある
□ 苦い水(胃酸)が上がってくることがある
□ ゲップがよく出る
□ 前かがみになると胸やけがする
※Kusano M, et al. J Gastroenterol. 2004;39(9):888.
胃酸が食道へ逆流する最大の原因は肥満だった
ではなぜ発症するのか。
「食道と胃の間にある下部食道括約筋の緩みが主な原因です。この筋肉は、食道から胃へと食べ物が下りていくときにだけ開くのですが、ここが緩むことで胃酸が食道へと逆流し、粘膜に炎症を起こすのです」
下部食道括約筋に緩みが起こる要因の代表例は肥満。「肥満度を測るBMI値が高くなるほど発症率も上がります。お腹に内臓脂肪がたまると、それが胃を圧迫して胃酸の逆流を起こしやすくしてしまいます。ほかにも、香辛料やアルコールなどの刺激物の摂りすぎやストレスも胃酸の分泌を盛んにするので、逆流を促す可能性があります」
逆流性食道炎かもしれないと感じたら、生活習慣を見直すことが大切だ。
「揚げ物などの脂っこいものや、辛味や酸味の強い食べ物を控えたり、姿勢が前かがみにならないように注意するだけでも違います」
取材・文/上村久留美 イラスト/こさかいずみ 写真/ゲッティイメージズ
※女性セブン2024年4月4日号
https://josei7.com/
●ゲップ、胸焼け放置ががんや死を招く 逆流性食道炎から身を守る方法