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SDGsで注目!大手製薬会社が横浜市の協力で「薬のシート」リサイクル実証実験を開始

 薬の錠剤やカプセルなどを包装する薬のシートが、リサイクルできることをご存知だろうか? 知らずに捨てている人もいるかもしれない。高齢化が進み、薬を飲む人が増える中、薬のシートの生産量も増えているという。そこで、製薬メーカーが取り組み始めた新たなリサイクルプログラムについて紹介する。

薬のシート、捨てずにリサイクルを!

 薬を包んでいるシートやカプセルは、一般的にプラスチックゴミのことが多い。自治体にもよるが、中身が残っている場合は、燃やせるゴミとして処理するケースもある。

 薬を包むシートについては、ペットボトルなどと違ってリサイクル資源としての認知が低く、仕組みも整っていないのが現状だ。

 そんな中、第一三共ヘルスケアは、リサイクル事業を展開するテラサイクルジャパンと共に、神奈川県横浜市の協力を得て、日本初の「使用済みのPTPシートを回収して資源として生かすという生活者参加型プログラム」の実証実験を10月20日から開始した。

 PTPシートとは、薬を包装する方法の1つで、錠剤やカプセルをプラスチックとアルミニウムで挟んだシート状のもの。市販薬や処方薬でよく見かけるものだ。第一三共ヘルスケアでは、PTPシートを消費者に伝わりやすいようにと『おくすりシート』と呼んでいる。

 このプログラムは、使用済みのPTPシートを回収する取り組みで、横浜市中区の薬局、病院などで専用の回収箱『おくすりシート くるりんBOX』が設けられた。

 今後、区内のケアセンターや公共施設など30か所への設置も決まっている。

『おくすりシート』のリサイクル方法

 リサイクルの方法は簡単。所定の場所に設置された回収BOXに入れるだけ。ただし、中身が入ったままのものは受け付けていない。中身(薬)をごみとして捨てる際には、可燃ごみ(封筒やビニールなどに入れて封をする)で出すなど、自治体の決まりに従う必要がある。

『おくすりシートくるりん BOX』で受付中のリサイクル可能な薬のシートは、市販の薬のほか、病院で処方された薬、第一三共ヘルスケア以外の薬のシートも対象となる。

 1シートの重さが約1gということから「おくすり1シート=1gから始めるリサイクル」と銘打っている今回の実証実験だが、テラサイクルジャパンが運営するテラサイクルポイント※として自動的に環境や健康に関する団体などに寄付されるなどと社会貢献にも繋がっている。

※1~10シートまでが1ポイントとなり、自動的に寄付される。自身でポイント取得をしたい場合は、テラサイクルアカウントを作成の上、申請ページから申請する必要がある。取得したポイントは、ポイントに応じて再生プラスチック製の植木鉢に換える、社会福祉法人 日本介助犬協会(横浜市)団体などへの寄付もできる。

回収されたシートは、その後どうなるの?

 回収された『おくすりシート』は、シートのプラスチックとアルミニウムが分離され、それぞれにリサイクル処理され、リサイクル製品として生まれ変わる。

 第一三共ヘルスケアによると、横浜市内のベンチや配布用のピルケースなどへのリサイクル製品を検討中とのこと。

 第一三共ヘルスケアは、「SDGs未来都市」として先導的な取り組みをしている横浜市に着目。

「『おくすりシート』もリサイクル資源であるということを知って欲しい」と、この実証実験をスタート。今回の実証実験に協力する横浜市・資源循環局長 金澤貞幸さんは、

「全国初の取り組みに協力できることに感謝しています。市民の皆様にプラスチックとごみの分別やリサイクルについて、改めて考えてもらえる有意義な取り組みです」と語る。

「『おくすりシート』には、資源ごみとして出していいという「プラマーク」が書かれていますが、あまり認知されていないのが現状です。

 おくすりシートの回収率を上げて、ペットボトルのようにリサイクルの仕組みを整えることを目指せたらと思っています」(第一三共ヘルスケア・広報談)

 始まったばかりの取り組みだが、『おくすりシート くるりんBOX』への評価は高く、「うちの町にも置いてほしい」「この取り組みに参加したい」という声が届いているという。

 横浜市との実証実験は2023年9月30日までの1年間だが、この取り組みが賛同を得られれば、業界や全国の行政とタッグを組み、リサイクルの輪を広げていきたいとのこと。

【データ】

・「おくすりシート リサイクルプログラム」公式HP
https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/okusuri-sheet/

***

 高齢者増加に伴い、今後はますます使用される薬シートも増えていくことが予想される。「おくすり1シート=1gから始めるリサイクル」という新たな取り組みに注目し、リサイクルの輪やSDGsへの意識を全国に広げていきたいものだ。

取材・文/本上夕貴

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