行列のできるカリスマ農家が教える“とうもろこし別格レシピ”「芯やひげまで味わうテクニック」
夏野菜の代表といえば、大人も子供も大好きなとうもろこし。ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富なうえ、甘くてジューシーな味わいは食べ始めたら止まりませんよね。近年はまるで果物のような糖度の高い品種も続々と登場。そこで、1日1万5000本出荷し、直売所が人気で徹夜組が300人を超えたこともあるカリスマ農家のご夫妻にとうもろこし作りのこだわりやレシピを教えてもらいました。ひげや芯まで味わうテクニックは、必見です!
土壌作りから力を入れ、最もおいしい瞬間に収穫
静岡・森町は昼と夜の寒暖差が激しく、糖度が高いとうもろこしを育てるのに適した地域。そのため『甘々娘(かんかんむすめ)』や『森の甘太郎(かんたろう)』といった甘みが強い品種を『森のとうもろこし』として売り出し、一帯はとうもろこしを栽培する農家も多い。その中でも「格別においしい!」と評判なのが、遠州森 鈴木農園だ。
「40年程前から栽培を始め、15年程前に『甘々娘』を導入したところ、その甘さが口コミで広がり、行列ができるようになりました」と代表取締役の鈴木弥さん。
人気の理由は気候に加え、独自のこだわりも大きい。
「季節によってとうもろこし、米、レタスを同じ田畑で栽培する3倍活用農法を実践。稲作でできた藁を畜産農家へ提供し、その牛たちの糞を堆肥にするなど土壌作りにも力を入れています。豊かな土壌がとうもろこしをよりおいしくするんです。例年、6月下旬までは『甘々娘』、6月下旬から7月末までは『森の甘太郎』を出荷しますが、種まきの時期をずらして旬をコントロール。人の目で一番の採り頃を見極めています。また、夜に糖を蓄えるとうもろこしは、朝が最も甘いタイミングなので、毎朝4時半から7時までに収穫します。ぜひ、新鮮な朝採れの旨さを味わってください!」(鈴木弥さん・以下同)
甘くておいしい!とうもろこしの選び方と保存方法
鈴木農園のとうもろこしの糖度は、18~20度とまるで果物!『甘々娘』と『森の甘太郎』は、黄色と白のバイカラーが特徴。
<とうもろこしの選び方>
・実が上まで詰まっているものがグッド!
店頭では、緑が濃くツヤのある皮が付いているものが新鮮な証拠。先を触ってみて、上まで実がしっかり詰まっているものを選んで。
・粒がふっくらしていてハリのあるものが◎
粒がふっくらハリのあるとうもろこしは、完熟していて甘い。ひげと実の数は比例し、ひげが多いものほど粒も多い。
<とうもろこしの保存の仕方>
高温の場所に置いておくと、糖分が失われていくので、購入後は冷蔵庫で保存を。皮付きのままビニール袋などに入れて保存すると、みずみずしさがキープできる。
いろいろ試してこれがベスト!甘みを存分に味わう食べ方
鈴木農園の料理担当の妻・鈴木沙千子さんが「とうもろこし料理」を教えます。「塩味で甘みを引き出すシンプルな料理が最高!」と評判だ。
「新鮮なとうもろこしは、シンプルに塩だけの味付けで充分おいしい。塩味を強めにすると、甘みが際立ちます。牛乳と塩だけで作るコーンスープは家族全員大好きで、『毎日飲みたい!』とリクエストされるんです」(鈴木沙千子さん・以下同)
●レンチンとうもろこし
<作り方>
皮をむいて水で濡らしたとうもろこしをラップで包み、600Wの電子レンジで4分加熱。
「茹でたり蒸したりといろいろ試しましたが、この方法が一番おいしい。甘みも栄養も逃しません!」
●冷製コーンスープ
電子レンジで加熱したとうもろこし2本分の粒をそぎ、牛乳1 1/2カップ、塩大さじ1/2と一緒にミキサーにかける。ざるなどで漉して完成。
<ポイント>
「一度漉すことで程よく滑らかになって、ジュースのようにゴクゴク飲めます。塩でとうもろこしの甘みが増しますよ」
●とうもろこしご飯
研いだ米2合を炊飯器にセットし、2合分の水と塩大さじ1を入れて混ぜる。とうもろこし2本分の粒をそぎ、米の上に粒と芯をのせて炊飯する。炊き上がったら、芯を取り出し、さっくり混ぜ合わせる。
<ポイント>
「味付けは塩だけですが、芯から旨みが出るので、おいしく仕上がります。コーンがたっぷりで、食べ応えも満点!」
●ひげの素揚げ
とうもろこしの皮の内側にあるひげを油で素揚げにし、塩を振って食べる。ひげも香ばしいおつまみに!
●とうもろこし皮ごと焼き
アウトドアで焼きとうもろこしを作るときは、皮付きのまま網にのせ、皮が真っ黒に焦げるまで焼くのがおすすめ。旨みを閉じ込めたまま、蒸し焼きできる。
教えてくれた人
遠州森 鈴木農園・代表取締役 鈴木弥さん
遠州森 鈴木農園 鈴木沙千子さん
■遠州森 鈴木農園
通販もできる。森のとうもろこし2100円(6~9本、送料別)。
住所:静岡県周智郡森町谷中260-1 http://www.ensyumori-suzukinouen.com
撮影/平林直己、豊田朋子 スタイリスト/今田愛、新田亜素美 取材・文/青山貴子
※女性セブン2022年7月28日号
https://josei7.com/
●「コーンスープ」おすすめランキング|コンビニ・スーパーのPBを食のプロが判定