食物繊維は「水溶性」「不溶性」をバランス良く!豊富な食べ物と調理法
腸内細菌のエサとなる食物繊維が不足すると、細菌がエサを求めて腸の粘液を食べてしまうため粘液が薄くなり、腸の粘膜まで傷つけてしまうことがあるという。
知っているようで、知らなかった「食物繊維」の役割。
食物繊維には不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の2種類がある。不溶性、水溶性をバランスよく摂取することが大事だと赤坂ファミリークリニック院長の伊藤明子さんは解説する。
食物繊維が豊富な食べ物、その調理法などを教えてもらった。
* * *
不溶性食物繊維の働きは?
不溶性食物繊維の主な働きは、以下の通り。
・体内で水を吸収して膨らみ、便のカサを増やす。
・穀類や野菜、豆類、きのこ類などに豊富に含まれ、腸内細菌のエサとなり腸内環境を整える。
・保水性が高く、腸で水分を吸収し、便のカサを増やす一方で、便秘の人が摂りすぎると便秘を悪化させることもある。
水溶性食物繊維の働きは?
水溶性は以下の通り。
・水を含むとゲル状になり、便を軟らかくする。
・海藻類や里いも、もち麦、オーツ麦などに多く含まれ、糖質や資質の吸収をゆるやかにする。
・余分なコレステロールを体外に排出し、腸内細菌のエサとなり腸内環境を整える。
水溶性、不溶性をバランス良く含む食材は?
この2つをバランスよく含む代表的な食材は、にら、玉ねぎ、にんにくだ。
●にら
にらには、水溶性食物繊維0.5g(100gあたりに含まれる量、以下g表記同)、不溶性食物繊維2.2gが含まれている。
「にらの独特の香り成分である硫化アリルには、疲労回復や血液をサラサラにする作用があります。βカロテンやビタミンB・C・Eなども豊富で、βカロテンには免疫力を上げる効果も期待できます」(赤坂ファミリークリニック院長の伊藤明子さん、以下「」内同)
にらは豚肉やハムと相性が良いので、「にらとハムの卵スープ」や「豚にらキムチ炒め」がおすすめ。
●玉ねぎ
玉ねぎは、水溶性食物繊維0.6g、不溶性食物繊維1.0gを含む。玉ねぎの黄色色素として含まれるケルセチンには、強い抗酸化作用があり、血管を丈夫にする働きがある。
「血圧を下げたり、動脈硬化の予防に役立つ硫化アリルも豊富ですよ」(伊藤さん、以下「」内同)
玉ねぎに含まれるケルセチンは、油と一緒に摂取すると吸収率が高くなる。『かぼちゃと玉ねぎの炒めみそ汁』などの料理で食べて。
●にんにく
にんにくにも、水溶性食物繊維に4.1g、不溶性食物繊維2.1gが含まれる。
にんにくの香り成分は、硫化アリルの一種であるアリシン。
「ビタミンB1の吸収を助けて疲労回復に役立つほか、免疫力アップ、血行促進で冷え症予防などの効果があります」
にんにくに含まれるアリインは、切ることでアリシンに変化するため刻んで使うのが○。『にんにくみそ田楽』などの料理がおすすめだ。
きのこ・穀類・海藻も積極的に摂取を
きのこ、穀物、海藻にも食物繊維が豊富だ。
●長昆布
たとえば長昆布は、食物繊維、不溶性食物繊維、合わせて36.8gを含む。昆布のヌルヌルした成分は、アルギン酸やフコイダンという海藻特有の水溶性食物繊維。
「糖質や脂質の吸収を抑える効果がありますが、食べすぎるとヨードを摂りすぎるので注意して」
昆布には水溶性食物繊維が多いので、汁ごと食べる料理がおすすめ。『昆布と鮭の炊き込みご飯』や『切り昆布とちくわのしょうが煮』などに挑戦を。
●もち麦
水溶性食物繊維に6.0g、不溶性食物繊維3.6gを含むもち麦には、大麦β-グルカンという水溶性食物繊維が豊富で、コレステロールの体外への排出をサポートする働きがある。
「プチプチした食感が特徴。白米に混ぜて炊けば手軽に摂取できますよ」
もち麦は主食に混ぜるとコンスタントに食物繊維が摂れる。『ライスサラダ』や『もち麦と野菜のトマトスープ』などにしても◎。
●きくらげ
不溶性食物繊維5.2g(ゆでたきくらげ)とビタミンDを含むきくらげ。
「実は日本人の多くはビタミンD不足なのですが、野菜類の中ではきのこ類が比較的含んでいて、その中でもビタミンDの含有量がいちばん多いのがきくらげです」
きくらげに多く含まれるビタミンDは、カルシウムと一緒に摂ると、骨を丈夫にする。『きくらげと豆腐のサンラータン』『きくらげと桜えびの卵焼き』などがおすすめだ。
「一般的な野菜類や大豆、穀物などには不溶性が多いので、水溶性が不足しがち。水溶性を含むもち麦や海藻類などもしっかり食べて、どちらの食物繊維もバランスよく摂ることを心がけて」
※初出:女性セブン
【関連記事】