白澤卓二さんら医療・食のスペシャリストが開設・監修する介護施設3選「食から“生活の質”を支える」
「食事を楽しむことで体力が戻り、生きる目標ができたり、郷土料理で思い出話に花が咲き入居者同士の交流が深まったり。食事は心身を豊かにする重要なものです」とLIFULL介護編集長の小菅秀樹さん。そこで、美味しいのはもちろん、医療と食のプロが全面監修をしている施設を専門家に厳選いただいたので、ご紹介します。
【基本データの見方】
■施設名/所在地/運営会社/設立年月/入居一時金/月額費用の順に記載 「入居一時金」「月額費用」は特記があるもの以外、80才の人が一般または介護居室に1人で入居した場合の金額です。
■管理費、食費、光熱費など、月額料金に含まれる費用は施設によって異なります。また、介護保険の自己負担額は特記以外含みません。
■データは取材時(2022年1月)のものです。
【群馬】 レジデンスオブホープ館林
咀嚼と吟味された食材で 病気が改善される例も
抗加齢医療の第一人者である白澤卓二さん設立の施設では、胃ろうなどを行わず、最期まで“自分の口で食べること”を基本理念としている。
「咀嚼筋は全身の筋肉でいちばん強く、噛むだけでかなりの運動量になります。それが脳への刺激となり、認知症予防、ひいては健康長寿へとつながります」と白澤さん(以下同)。
食事は、繊維質やミネラルが豊富な国産の玄米が主食。ほかにも白澤さんセレクトの体にいいものが数多く使われている。塩やみそなどの調味料も旨みの多い天然のものを使用しているため、おいしいうえに体への負担も少ない。
医師のこだわり食材
・「多古米」玄米
・「オメガ3 ω3 TAMAGO」(あいだの平飼いたまご
・ココナッツオイル、むぎ味噌、塩などはすべて天然のもの
など
●日々のメニューへのこだわり
「入所後に重度の肝臓病が改善した人や、血圧が下がった人も。最期まで自分の口から食べることは人生の喜びなんです」
お膳される食事には、お品書きがついている。
[この日のお品書き]
● 発芽発酵玄米(蟹爪入り)
● えびの中華スープ
● 豚肉と豆腐のキムチ煮
● 春雨サラダ
● りんごと小松菜の豆乳
献立は白澤さんのコンセプトのもと、ミラノで開催された世界的料理コンテストで「トップ8」に選ばれた杉浦仁志シェフが監修、管理栄養士が作成する。
食事中の男性入居者は「ここの食事は本当に素晴らしい!」と絶賛。最初は慣れなかった発芽玄米も今は好物だそう。
まるでホテルのような室内、スタッフの笑顔が絶えない明るい施設だ。
【DATA】レジデンスオブホープ館林
群馬県館林市/館林医科学研究所/2018年3月/(入)なし(月)1万1000円~37万1000円
https://res.hopetatebayashi.co.jp/
【埼玉】センチュリーシティ大宮公園
「老化遅延食」の第一人者監修によるこだわりの食事
「老化遅延食」の第一人者 監修によるこだわりの食事 「老化を遅らせる食事」を研究する熊谷修学術博士の監修のもと、肉や魚からバランスよくたんぱく質を摂取できる献立作りを実施。旬の素材を取り入れた特別膳や郷土料理の日など、多彩なイベントメニューも好評。
【DATA】センチュリーシティ大宮公園
埼玉県さいたま市/長谷工シニアウェルデザイン/1989年1月/(入)1920万円~3797万円(自立型)(月)24万9570円~51万8570円(自立型)
https://r-guide.jp/facility/1498/
【東京】クラーチ・ファミリア小竹向原
食事プログラム「MOG」で豊かな食生活をサポート
老年医学の権威、葛谷雅文教授の監修による「MOG(モグ)」プログラムを実施。「食べたいものを好きなだけ」食べることで健康寿命の伸長を目指し、豪華なイベント食を週1回以上提供。日々の食事は朝昼夕、2種類のメニューから選べる。
ライブキッチン形式で供される、出来たての料理を楽しむ入居者。
「京のおばんざい」のイベント食。食べる意欲が高まるよう、器や盛り付けも工夫されている。
【DATA】クラーチ・ファミリア小竹向原
東京都板橋区/クラーチ/2018年7月/(入)680万円~1080万円(月)22万4460円~38万6460円
http://www.kuraci.co.jp/house/famila/kotakemukaihara/
教えてくれた人
安藤滉邦さん/有料老人ホーム情報館館長、榎並将志さん/老人ホーム紹介センター笑美面・代表、小菅秀樹さん/「LIFULL介護」編集長
撮影/阿部健太郎 取材・文/別所礼子、鈴木みずほ
※女性セブン2022年2月17・24日号
https://josei7.com/
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