コロナ禍で増える高血圧 医師がすすめる7つの対策「塩分よりも飲酒量に注意」
「自粛生活のストレスやそれに伴う体重増加、受診控えなどで、今高血圧の人が増えています」と語るのは、手島医院医院長の南順一さんだ。高血圧が不安なシニア世代が、コロナ禍の生活の中で気を付けるべきポイントとは? 南さんにアドバイスをいただいた。
【1】血圧測定の習慣化を!
「高血圧の自覚症状は、めまい、ふらつき、頭痛、肩こりなどだが、無自覚のまま症状が進行するケースがとても多い。命にかかわる病気の原因になるので、家庭での血圧測定を習慣化しましょう」(手島医院院長 南順一さん・以下同)。
【2】受診の目安は家庭で計測した血圧135/85mmHg以上
高血圧の要因は、塩分の多い食事、肥満、ストレス、遺伝的要素など。
「家で計測した血圧値が、135/85mmHg以上の場合はすぐに受診を」
【3】塩分摂取量は1日6g未満を目標とする
「高血圧予防の場合、1日の塩分摂取量は6g未満を目標にしましょう。そのためには、外食や加工食品を控える、麺類の汁は残す、食卓にしょうゆやソースなどを置くのをやめて薄味で食べる習慣をつけて」
味が物足りないなら、香辛料や酢、だしなどで代用を。
【4】高血圧になる大きな原因は塩分よりも実は“酒”
「高血圧=塩分過多」と思われがちだが、実は塩分より飲酒量の方が血圧に直結するという。
「お酒を飲むと血圧は一時的に下がりますが、飲み続けると上がります。飲酒習慣があり、血圧が上昇傾向の人は、酒量が多くなっている可能性が高いので節酒を心がけて」
【5】冬は誰しも血圧が上がる。常に危険な状態と心得よう
冬は誰もが、平均で5~10mmHg血圧が上がる。これは、体温を逃さないよう血管が収縮するため。
「これに加え、暖かい場所から寒い場所に移動する機会の多い冬は、急激な温度変化によって血圧が上下し、ヒートショックを招く危険があります」
寒暖差には要注意だ。
【6】女性は更年期になったら高血圧になると思え!
「加齢で血管の柔軟性が低下するのに加え、エストロゲンの減少により血圧をコントロールする自律神経の働きが鈍くなるため、更年期を迎えた女性は高血圧になりやすい。若い頃は低血圧でも、更年期を境に高血圧になる人は多いので、油断や過信は禁物です」
【7】脳卒中や心筋梗塞の予防に“中心血圧”の測定を
「中心血圧とは心臓に近い大動脈で測定する血圧のことで、脳卒中や心筋梗塞などの予測に役立ちます。『上の血圧-下の血圧』が60以上だと、動脈硬化が進行していると考えられます」
高血圧専門病院などで測定できるので気になる人は医師に相談を。
教えてくれた人
南順一さん/手島医院・院長
専門は心臓病や腎臓病、高血圧。高血圧外来には、全国から多くの患者が来院する。降圧薬に頼らず、生活習慣を修正することで症状を改善する方法を指導する。
取材・文/佐々木めぐみ、鳥居優美
※女性セブン2022年1月20・27日号
https://josei7.com/
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