美容科学者かずのすけさんが解説|しわ改善におすすめの美容成分と商品選びのポイント
シミ&しわを増やさないためには、どんなスキンケアが大切か? 自ら商品開発も行う“美容成分のプロ”に、商品選びのポイントとなる、おすすめ成分を教えてもらいました。
美容化学者が注目する美容成分
プチプラから高級品まで、忖度(そんたく)なしのスキンケア商品レビューが評判の美容化学者のかずのすけさんに、注目すべき美容成分を聞いた。
「シミ・しわ問題は女性の永遠のテーマですから、多くのメーカーがしのぎを削っています。なかでも興味深いのが『しわ対策』アイテムですね」(かずのすけさん・以下同)
スキンケア商品は3つに分類され、謳える効果も決まりがあるが、少し前まで、しわ対策の商品で厚生労働省から医薬部外品の認可を受けたものはなく、すべての商品は化粧品カテゴリーの中で「しわを目立たなくする」くらいしか言うことができなかった。
しわ改善化粧品市場が新しいステージに
「ようやく2016年に、ポーラが開発した『ニールワン』という有効成分が医薬部外品の認可を取得し、初めて『しわ改善』の効能を謳える商品が登場したんです。2017年、資生堂が純粋レチノール、P&Gジャパン(初めて商品化したのはコーセー)がナイアシンアミドという成分で、それぞれ認可を取得し、一気に『しわ改善』マーケットが花開きました」
現在も「しわ改善」と正式にいえるのはこの3成分だが、ニールワン、レチノールとは異なり、ナイアシンアミドはメーカーの縛りなく配合できる成分のため、各社がこぞってこの成分のエイジングケア商品を発表。
「今春には無印良品もナイアシンアミドのしわ改善化粧品を発売。他商品が1万円前後かそれ以上するのに比べ、無印良品のものは1990円! いまや入手困難の商品です」
効果を期待するなら、医薬部外品を選ぶのがいいが、効き目について、どの程度使えば判断できるのか?
「個人差もあって難しいですが、1か月で劇的に効くものはないので、半年くらいは使ってみてください」
化粧品等の分類
【1】化粧品
薬事法により、人体に使用する化学製品は3種に分類される。うち化粧品は、体を清潔にし、美しくし、人体に対する作用が穏やかなものとされる。効果の概要は「補い保つ」。商品は「しわを目立たなくする」「肌の潤いを保つ」など、限定的な表現となる。
【2】医薬部外品
「予防、改善」を目的とし、厚生労働省が効能と安全性を認めた「有効成分」を配合したもので、化粧品としての効能があるものを「薬用化粧品」という。効果の概要は「予防」で、商品は「しわを改善する」「日焼けによるシミを防ぐ」など予防効果を謳うことができる。
【3】医薬品
病気の治療が目的の薬で厚生労働省より、配合されている有効成分の効果が認められたもの。医師が処方する「医療用医薬品」と、市販の「一般用医薬品(OTC医薬品)」がある。効果の概要は「治癒」で、商品は「血行を促進する」「炎症を抑える」などの治療効果を謳える。
4つの美容成分の働き
潤い? 美白? 敏感肌? …化粧品選びに悩むかた必見! シミしわに効く美容成分の働き、知っていますか?
【1】ナイアシンアミド(ビタミンB3)
しわ改善、美白、肌荒れなどマルチに働く人気No.1
現在ブームとなっている優秀美容成分。ビタミンの一種で、生体と親和性が高く、肌へ浸透しやすいのが特徴。穏やかながら表皮じわや真皮じわの両方に効果が認められるほか、メラニンの合成や蓄積を抑制する働きで美白効果も期待できる。さらに、バリア機能を高めて肌荒れ防止にも力を発揮する。
「しわ改善」の認可を受ける以前から美白成分として使用されてきたたが、シミ&しわのダブル効果が知られてから、商品バリエーションが豊富に。敏感肌でも使用でき、処方の難易度が低く、メーカーの縛りなく配合できる利点から、さまざまなメーカーから多様な商品が発売中。リーズナブルなものも多く、ドラッグストアのスター的存在だ。
「汎用性が高く敏感肌でも使えますが、効果はゆるやかです。水溶性なので、オイルやクリームを塗った肌には浸透しにくいです。化粧水でしっかりと肌を潤した後に使ってください。化粧品は使い方を間違えるとうまく効果が出ないので、使用法をチェックしましょう」(かずのすけさん・以下同)
【2】レチノール(ビタミンA)
表皮に潤いをもたらし、ハリのある肌に
表皮のヒアルロン酸を生み出し、水分量を増やすことで肌を柔らかくし、真皮のコラーゲン密度を高めて肌のハリを向上させられる成分。表皮じわや、乾燥じわに効果がある。2017年に資生堂が純粋レチノールで、しわ改善の効能を取得している。
「純粋レチノールは、特に表皮じわへの即効性が高い。資生堂のデータでは、9週間で効果が出ると発表されています。一方で、人によっては刺激が出る場合もあるので、敏感肌の人は慎重に試してみてください。レチノールはとても繊細で、空気に触れるとすぐに効果を失ってしまうんです。そのため、資生堂では、酸素を通さない特殊チューブを開発しています」
このように純粋レチノールは商品化が難しいため、他ブランドからはそれに代わるレチノール誘導体配合の化粧品が発売されている。
「誘導体とは、成分を別の形に人工的に組み替えたものです。つまり、肌に入ると、酵素の力で分解を受け、レチノールが生成される仕組みです。純粋レチノールよりは効果が穏やかですが、肌が弱いけれど使ってみたいというかたにはいいと思います」
【3】ビタミンC
紫外線による酸化を抑制!
紫外線を浴びることで肌の中に発生する活性酸素は、しわやたるみの原因になるといわれている。ビタミンCは、活性酸素の酸化作用を抑制して肌の衰えを防ぎ、メラニンが黒色に沈着して発生するシミも防ぐ。体内からはコラーゲン産生の重要なキーとなる美容成分。まさに、“なんでもこなせるバリキャリ”的な成分なのだ。
「栄養剤として摂っているかたも多いと思いますが、スキンケアと併せ、体の内外から取り入れると、より効果的です。特にビタミンCの内服は、肌のためにはマストです。レチノール同様、ビタミンCは効果が高い半面、安定性が低いため、ビタミンC誘導体を配合している商品が、たくさん市販されています。3-O–エチルアスコルビン酸、アスコルビン酸–2–グルコシドなど、『~アスコルビン酸~』というのがビタミンC誘導体の目印です。これらは、ビタミンCより低刺激で使いやすいと思います」
商品の成分表を確認する際の参考にしたい。
【4】セラミド
肌のバリア機能を高めて、いつでも潤いを
肌の角質は、角層細胞とその間を埋める細胞間脂質で構成されている。細胞間脂質が整っていると、肌はバリア機能が上がり、外部からの刺激を防いで潤いを維持することができる。セラミドは、この細胞間脂質の一種で、保湿系スキンケア成分の筆頭だ。
「個人的にもセラミドはおすすめです。シミやしわにフォーカスした成分というわけではありませんが、とにかく肌が荒れなければ若々しくいられます。敏感肌にも安心して使えるところも○。私はアトピー体質なので、しわ改善性の成分を使うと肌荒れを起こすことがあるんですが、セラミドだけは大丈夫。安心して全身、浴びるようにつけています。ただ、セラミドは加齢とともに減少し、50代では20代の約半分にまで減ってしまいます。 減少したセラミドは体内で作り出すことが難しいため、外側から補う必要があるんです」
減少するのは、セラミドの中でも、セラミドNP、APという成分が中心とのこと。商品購入の際にチェックしてみよう。
※ビタミンCとセラミドは、医薬部外品ではなく化粧品成分です。
教えてくれた人
かずのすけさん/美容化学者
わかりやすい化粧品解説が人気のインフルエンサー。ブログやTwitter、YouTubeで毎日情報発信中。
取材・文/佐藤有栄 イラスト/鈴木みゆき
※女性セブン2021年11月11・18日号
https://josei7.com/
●骨密度低下が“老け顔”の原因!?しわ・たるみを招くのは頭蓋骨の急劣化だった