兄がボケました~若年性認知症の家族との暮らし【第100回 癒しの時間が終わるとき】
若年性認知症を患う62才の兄と2人暮らしをするライターのツガエマナミコさん。5年前に兄の病気が発覚して以来、勤め先の社長との折衝やその後退職手続き、ハローワークや病院の付き添い、もちろん毎日の食事や生活の介助と兄を支え続けている。最近になり要介護認定が下り、週1回デイケアへの通所が始まったものの、兄をサポートする日々は相変わらずの様子。これまで99回にわたり、兄との生活のあれこれを綴っていただき、ついに100回目を迎えたこの連載だが、今回も複雑な心境には変化はないようで…。
それでも「明るく、時にシュールに」、でも前向きに認知症を考えます。

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午後3時半は日曜日のサザエさん
先日、ユニクロで兄のお洋服を2万円ほどお買い物した直後、ドキッとすることがありました。兄は大きな紙袋を持って男子トイレへ、わたくしは女子トイレに入り、出てくると、いつもならトイレ付近で待っている兄の姿がございません。しばらく待ったのですが、なかなか来ない。「具合悪くなったのか、トイレの流し方がわからなくて途方に暮れているのかも」と思い、男子トイレの中に向かって「オニイチャン?」と勇気あるひと声を出してみました。でも返事はありません。おかしいなと思い、売り場の方に戻ってみると、ちゃっかり笑顔で手を振る兄。「よかった」と思ったのもつかの間、その手には何も持っていないではありませんか。
「紙袋は?」と言うと「え?紙袋?何だっけ?」