一生頼れる「かかりつけ医」と出会うための3つのチェックポイント【医師監修】
シニアにとって、気がかりなワクチン接種をはじめ、拡大するオンライン診療屋在宅医療まで、”かかりつけ医”は重要な存在だ。一生頼れる医師を見つけるために、何をチェックすべきなのか、具体的にどこを見ればいいのか…。専門医にリサーチした。
1.医師の経歴は学歴より”勤務歴”を重視
一生頼れる”かかりつけ医”と出会うために、実際に病院を受診する際には、具体的にどこを見ればいいのだろうか。
まず、外来を受診する前に、必ず病院のホームページを確認してほしい。その病院やかかろうとしている医師の得意分野を把握するためだ。「消化器内科」「循環器内科」など、ホームページ上に書かれている科名をチェック。実は、専門度の高い順に書かれているのだ。
「ホームページや看板の“2番目”に書かれている科が医師の得意分野だと考えてください。私のクリニックの場合、クリニック自体は内科に分類されますが、私自身の専門は消化器内科なので、『内科』『消化器内科』の順で記載しています。
また、医師の経歴欄は、出身大学よりも過去に勤務していた病院名や科の名前を見ると判断しやすい。どの科にどれくらい長く勤務していたかで、専門分野がわかります」(ティーズ内科クリニック院長の土山智也さん・以下同)
さらに、その医師が「認定医」か「専門医」か「指導医」かも判断材料になる。
「認定医より専門医、専門医よりも指導医の方が、資格を取る条件が厳しい。条件の厳しい資格を持っている医師は新しい知識をアップデートして、勉強を続けているといえます」
2.医師の話し方や診察の進め方をチェック
診察室に入ったら、医師の話し方や診察の進め方をよくチェックしよう。
「診察時に電子カルテばかり見ていて、患者の顔を見ないような医師はやめましょう。
また、医師はプライドの高い人が多く、人によっては高圧的に感じるような話し方をする場合もあります。だからといって応戦するような強い話し方をすると、“最低限の診察と治療だけしてやればいい。この患者には、親身になって話を聞くのはやめよう”と思わせてしまう。
患者が損しないためには、医師に対しても、家族や友人に接するように普通に相談するのがいちばんです」
もちろん、「お酒は控えなさい」と強く言われた方が心強いのか、「今日は顔色がいいんじゃない?」とフレンドリーに接してくれる方が話しやすいのか、「お薬はのみにくくありませんか?」と優しく尋ねてくれる方が安心できるのかは、患者によって異なる。
だからこそ、本当によい医師は、患者のタイプによって接し方を変えているのだという。
3.医師とフィーリングが合うかどうか
「長年つきあっていくので、フィーリングが合うかどうかも大切です。人柄までは一度の診察ではわからない。何回か診察を受けてみて、“この人なら”と思える医師を決めてください」(総合内科専門医・中央大学大学院教授の真野俊樹さん)
コロナ禍で医療機関の受診が難しいことから、規制が緩和されているのがオンライン診療だ。
最近ではスマホやパソコンを使って、初診でも内科や小児科、耳鼻科など幅広い診療を受けることができる。オンライン診療は感染リスクを下げるメリットがある一方で問題も起きている。実際、適切な治療を受けられずに体調が悪化したケースもある。
Aさんは、コロナ感染を恐れてオンライン診療ができる病院を探したところ、飛行機でないと通えないほどの距離の病院しかなかった。やむなくオンライン診療で処方された薬をのみ続けていたら具合が悪くなり、自宅に近い土山さんのクリニックに来院。検査の結果、血糖値や血圧がかなり高くなっていたという。
オンライン診療こそかかりつけ医に
土山さんは、「オンライン診療こそ、かかりつけ医にしてもらった方がいい」と説く。
「オンライン診療では聴診や触診、血液検査などができません。感染症ではないのに抗生剤を処方されていたケースもありました。オンライン診療は、初診ではかからず、生活習慣病などで長年かかっている医師に、症状が安定しているときだけに限定してほしい」
感染予防の観点から推進されている在宅医療も同様だ。というのも、将来的に、かかりつけ医に在宅医療を依頼することになるかもしれない。
「患者の家だと、病院と違ってほかの医師や看護師の目がありません。もちろん、誠実に診察している医師がほとんどですが、残念ながら、いい加減な医師もいるのも事実。厚労省による推奨もあり、今後ますます在宅医療は増える見込みです。
“それまでは外来で通院していたのに、脳卒中になって在宅医療に切り替えざるを得なくなった”というケースも少なくない。在宅医療においても、信頼できるかかりつけ医を選んでおくことは重要なのです」(真野さん)
妥協することなく、“運命の先生”を見つけたい。
こんな”かかりつけ医”は避けたほうがいい注意ポイント5つ【まとめ】
1.診察時、患者の方を見ずにパソコンの画面ばかり見ている
2.診察時、治療時に充分な説明をしない
3.特定の分野では「名医」と呼ばれているが、総合的な診療はしない
4.自分の診療、治療の判断は絶対に正しいと思っている
5.高圧的なものの言い方をする
※取材をもとに本誌作成。
教えてくれた人
ティーズ内科クリニック院長・土山智也さん、総合内科専門医、中央大学大学院教授・真野俊樹さん
※女性セブン2021年5月20・27日号