この漢字の読み方は?「ナ」ではありません|不思議な象形文字ほか3選
いちばん古い漢字は紀元前1500年頃のものとされ、物の形をかたどって作られた「象形文字」をはじめ、漢字の成り立ちには悠久の歴史がある。古(いにしえ)の歴史を持つ漢字を収録した今話題の『ながめて楽しい 漢字5万字』の中から、不思議な漢字3つをピックアップ。読み方や意味を、漢字のプロに解説いただいた。
世界最大の漢和辞典には5万1110字も!
私たちが日常的に使っている漢字は、約3000字。
「弊社の『大漢和辞典』は世界最大の漢和辞典で、全15巻から成り、5万1110字を掲載していますが、『漢字5万字』は同辞典をベースにしています。記号やイラストのような字もたくさんあるので、『これも漢字?』と驚いたり、『こんな画数の多い字をなぜ作ったのだろう?』と疑問に思ったりすることと思います。
これだけ多くの字が中国の歴史的な書物に記され、そのなかの一握りの文字が現代日本の言語を支えている。そんな歴史の重みや経過をしみじみと感じることができます。見慣れない文字がたくさんありますが、そういった文字がいまの言語生活の背景にあるのです」(大修館書店・池田菜穂子さん)
豊かで奥深い歴史と文化から生まれた漢字たち。さて、あなたは読むことができますか? 画数が少なく、漢字というよりは記号のようだが、その意味は?
単なる1本の棒?「イチ」ではありません
音読みは「コン」。
「進む」あるいは「退く」の意味で、下から上に書けば「進む」、上から下に向かって書けば「退く」の意味となる。
この字が篆書(てんしょ)体※で書かれていた時代は、わかりにくかったことが推測される。「進」や「退」の古字とも考えられる。
※編集部注/篆書体…漢字やモンゴル文字、満州文字の書体のひとつとされ、現在でも印章などに使われている。
アルファベットの「Y」みたいだけど…
音読みで「ア」と読み、「ふたまた」の意味。
ふたまたに分かれた木の枝先などをかたどった象形文字。髪を左右に束ねて2本の角のように結う髪形を「あげまき」というが、その意味も持つ。
カタカナの「ナ」に似てるけど「な」にあらず
「左」という漢字が作られた当初の字体。
音読みは「サ」。これは、人間の左手の象形文字。縦のはらいが右側にいく字は「右」の意味となり、読みは「ユウ」。どちらにも「たすける」という意味がある。
教えてくれた人
大修館書店・池田菜穂子さん/『ながめて楽しい 漢字5万字』の担当編集者
監修・漢字解説
笹原宏之さん/早稲田大学社会科学総合学術院教授。文化庁文化審議会国語分科会で常用漢字の選定・改定作業に携わる。『日本の漢字』(岩波新書)、『謎の漢字-由来と変遷を調べてみれば』(中公新書)、『漢字は生きている クイズ120問』(東京新聞)など著書多数。
取材・文/藤岡加奈子 写真/GettyImages
※女性セブン2021年4月15日号
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