全身がんの樹木希林を支える!娘が選んだ「別居介護」の明暗
超高齢社会の日本で、介護は誰でも直面する可能性のある問題だ。介護を「する側」「される側」の双方にとって、大きな負担となってしまうこともある。也哉子と本木が選んだ「別居介護」もその1つだ。介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子さんが解説する。
「日本人は“介護は家族が行うもの”との意識を強く持っています。昔に比べ、田舎に親を残して、都会に住んでいる家庭が増えました。その場合、親の介護が必要になると週末や休みを使っての『遠距離介護』が増える。ただ、移動の負担や交通費も重くのしかかります。そうなると、仕事のある配偶者を残して、夫婦の『別居介護』を選択する人も多くいます」
樹木のように「最期まで自宅で過ごしたい」という親にとって、別居介護で得られるメリットは大きい。
「誰しも、“住み慣れたわが家にいたい”という思いはあるでしょう。子供たちの住む都会に呼び寄せられるというケースも見受けられますが、環境の変化が負担になってしまう可能性もあります。見知らぬ土地で、知り合いもほとんどいない環境になるわけですからね」(前出・太田さん)
だが、大前提として充分な話し合いと「配偶者の理解」が必要になる。
離れた家族との関係に影響が出ることも
「後になって別居する夫や妻から“どちらを大事に思っているんだ”と、不満が出て夫婦の不仲の原因になったケースもあります。また、特に思春期の子供のいる家庭だと“相談したいのに家にいない”“親子関係にしこりが残った”というケースもありました。
別居が一時的だったり、期間が決まっている場合はそれほど深刻化はしませんが、介護は先が見えず、長期的なものです。とくに高齢者の介護は症状が改善することは少なく、別居介護に踏み切るとなかなか自宅に戻れなくなります。家庭への影響を考慮して、家族でしっかり話し合ってから取り組むべきです」(前出・太田さん)
樹木の希望に向き合った上で、別居介護を選んだ也哉子と本木。きっと、樹木は独特の言い回しで、息子夫婦への感謝を伝えているのだろう。
※女性セブン2018年6月7日号
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