兄がボケました~若年性認知症の家族との暮らし「第45回 若年性認知症の有名人」
4年前に若年性認知症であることがわかった兄との暮らしをライターのツガエマナミコさんが綴る連載エッセイ。
仕事を辞めた兄は、ほぼ外出せず、1日中家のリビングでテレビを観ながら過ごしている。兄の通院やハローワークなどたまにあるお出かけには必ず付き添い、家庭でも生活の様々なサポートを続ける妹のツガエさんだが、ある日、とある新聞記事を見つけて、いろいろと思うことが…。
「明るく、時にシュールに」、でも前向きに認知症を考えます。

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兄には無理なのか…
認知症といえばたいていは「親のこと」でございます。「兄弟が若年性認知症になっちまった」という話は、少なくともわたくしの周りではわたくし一人しかおりません。
心優しき友人たちは、そんなわたくしを不憫に思い、会うたびに「お兄さんどう?」と心配してくださいます。中には若年性認知症の記事やテレビで知った情報を「こんな取り組みがあるみたい」とか「こんな風に楽しそうに仕事している人がいた」と教えてくださる人もいて、ありがたく思っております。わたくしごときの兄が、友人たちの聡明な頭の片隅に米粒ほどでもお邪魔しているのかと思うと心苦しくて仕方がありません。
ただ、わたくしは「兄にはどうせ無理」と思ってしまう人間なので、聞くだけ聞いて話がまったく広がらない点がたいへん申し訳ないのですが。
友人たちの言うように、若年性認知症でも立派に社会生活を営ん