兄がボケました~若年性認知症の家族との暮らし【14回 兄の焼肉病】
若年性認知症を患う兄と2人で暮らすライターのツガエマナミコさんが、日々の様子を綴る連載エッセイ。
父母と4人で生活していた頃に母は認知症に。父は交通事故で他界、母も亡くなったが、その頃から兄の様子に変化が現れ…。兄は若年生認知症と診断された後も会社勤めを継続するものの、思いかけないトラブルは頻発。東奔西走する妹・ツガエマナミコさんが真情を吐露します。
「明るく、時にシュールに」、でも前向き認知症を考えます。

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どこから認知症で、どこまでが性格なのか…
退職金が出ないという話を友人に愚痴ると、かなりの勢いで憤慨してくれて、「病気になったのは残業のせいかも?だとすると会社にも責任が…」などと考えてくれ、逆にわたくしが「いやいや、でもいい人ばっかりだし、未だにお給料出してくれているからありがたいよ」と会社を擁護する始末。わたくし以上に憤ってくれる友人のお蔭で、少し溜飲(りゅういん)が下りました。
ただ、平成31年に入ると、理解ある社長様にも変化がみられるようになりました。そのきっかけは正月休み明けの初出社日でした。兄が約1年ぶりに出社拒否をしたのです。
朝から暗い空気を漂わせ、部屋にこもったので「休むなら会社に電話してね」と言うと部屋で電話している様子があり、部屋から出てきたら「電話しましたぁ!」と元気いっぱい。「明日は行くの?」と言うと「うん」と