兄がボケました~若年性認知症の家族との暮らし【12回 たびたび起こる出社拒否】
若年性認知症を患う兄と2人暮らしのライターツガエマナミコさんが、どのように兄と向き合い、どう暮らしているかを綴る連載エッセイ。病気になってからも同じ企業で働き続ける兄だが、いろいろと問題は起こるようで…
「明るく、時にシュールに」、でも前向きに認知症を考えます。

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ついにクビ?それとも、妄想?
兄がアルツハイマー型認知症と診断されたのは、平成28年の初夏でした。それ以来、2か月に1回は通院に付き添い、その足で兄を会社まで送り届け、会社の方に兄の仕事ぶり(ポンコツぶり)を聞くというルーティンが続いています。
会社での兄は「釣り銭の計算はできるけれど、パソコンは何度言っても覚えない」「接客は好きみたいだけれど、聞いたことは忘れてしまう」「ぼうっとしていることが多い」「商品を移動させて、どこに置いたか忘れてしまう」「何か頼もうとするとトイレに行ってしまう」「覇気がない」「笑顔がない」「やってもらえる仕事がない」とまぁ、想像はついていましたが、我が兄ながらトホホなあり様でございました。
それでも初期の頃は、わたくしが「ご迷惑ではないでしょうか?」と言うと「それはないですよ。みんなでフォローしていますし。妹さんのためにも頑張るようにハッパかけて