兄がボケました~若年性認知症の家族との暮らし【第8回 アパートはゴミ屋敷】
若年性認知症の兄と2人暮らしをするライターのツガエマナミコさん。認知症の母の死後、兄の病気が発覚。そんな折、もう何年も前に引き払ったはずの、かつて兄が住んでいたアパート家賃の請求書が届き…。
さまざまなハプニングやその時の心境、そして2人の生活を綴る連載エッセイ。「明るく、時にシュールに」、でも前向きに認知症を考えます。

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アパート解約手続き
1か月8万円×12か月×5年=ヨンヒャクハチジュウマンエン!!
その金額の大きさもさることながら、5年もの間それを解決しようとせず、住宅ローンと共に払い続けていた兄の脳の壊れ具合に「これは本物だわ」とトドメを刺された気分でした。
もっとも、母の介護に追われ余裕のなかったわたくしには、言い出したくても言い出せなかったのでしょう。兄はわたくしが呆れビックリしている傍で「どうしたらいいのかな」的なキョトン顔をしています。
わたくしはいつもその他人任せな情けない顔に腹が立つのですが、ググッと堪えて「これはすぐに支払ってアパートは解約しよう。すぐ着替えて不動産屋に行こう。そうしよう!」と、そのときできる精いっぱいの冷静な声で言いました。
不動産屋に金額の確認と解約の旨を電話したのはもちろんわたくし。兄に任せてい