デュアルタスクで認知症予防|脳を活性化!生活習慣にしたい行動7つ
デュアルタスクとは2つの作業を同時に行うこと。近年では、認知症予備軍と呼ばれる軽度認知障害の人を対象に“運動と知的作業”のデュアルタスクを半年間行った結果(国立長寿医療研究センター)、脳の委縮が防止され、記憶力も改善したことが判明。頭の衰えが気になる中高年に、認知症の予防対策として注目されている。
デュアルタスクがどのように脳を鍛えるのか、諏訪東京理科大学教授の篠原菊紀さんに聞いた。
デュアルタスク=2つのことを同時に行う
「2つのことを同時に行うと脳は混乱し、その混乱を整理するために脳が活性化します。具体的にはワーキングメモリと呼ばれる記憶機能が強化され、別のことを行っても、もう一つの作業を記憶していて同時進行ができるわけです。現代は脳を使わずに済む便利なサービスがあふれていますから、自ら脳を鍛える意識は大切です」
重要なのは“できない”ことに挑む気持ちだという。
「大人は課題のクリアが目的になり、できずに投げ出したりしがちですが、頭が混乱する過程こそが脳への刺激。できないことにも好奇心を向け、楽しんで取り組むことが、脳にはよい刺激になります。
嬉しいことに、月1回、また数分、思い出した時に行う程度でも、脳はすぐに反応して活性化し始めます。毎日コツコツ慣れた作業を続けてしまうより、たまに行う“新しいこと”、手間のかかる“面倒なこと”が脳にとってはかえって効果的なタスクになるのです」
ただし、脳にとって、新しい作業をいきなり2種類行うのは高ハードル。
「まずは日常的に慣れた作業に、頭を使う簡単な作業をプラスしましょう」
生活の中でできる7つのデュアルタスク
“できない混乱”を楽しんで、慣れてきたら新しい刺激に挑戦しよう。生活の中でできるデュアルタスク7つを紹介します!
1:テレビを観ながら「スリスリ、トントン」
右手は握って上下にトントン、左手は広げて前後にスリスリ、これを同時に行う。途中、左右の動作を交替して繰り返す。これだけでも左右のデュアルタスクになるが、さらにテレビを観て、ニュースやドラマの内容を追いながらやるとより効果的。
2:料理をしながら県名を挙げる
炒めものなど、慣れた調理作業をしながら、47都道府県を北から順に挙げていく。挙げるものは他にも、「ア」のつく国名や芸能人の名前など、その都度、工夫してアレンジを。
3:買い物をしながら足し算
スーパーなどで物をカゴに入れるたびに商品の値段を足し算。献立を考えたり、家のストックを思い出したり、その他の考え事に惑わされずに計算を。
4:洗濯物を干しながらしりとり
下に置いたカゴから洗濯物を取り、腕を伸ばして干すという、体の屈伸運動をしっかり行いながら一人しりとりを行う。しりとりの言葉が出るのに合わせてゆっくりしゃがんだり伸びたりすると、程よい筋肉トレーニングにもなる。
5:シャンプーしながら今日会った人の名前を思い出す
シャンプーで髪をまんべんなく洗う間に、今日、朝から出会った人の名前を思い出しながら挙げていく。テレビで見た出演者などを入れてもOK。思い出すのに気を取られ、洗い残しがないよう注意!
6:歯磨きをしながら足踏み
背筋を伸ばして直立し、歯のブラッシングに合わせて足踏みを。1、2歩目は軽く、3歩目でひざをゆっくり高く上げる。『1、2、さ~ん』と4拍子のリズムを刻むように。
7:階段を昇り降りしながら名前の逆読み
階段を1段昇る(降りる)ごとに、人の名前を1文字ずつ暗唱、続いて逆に暗唱する。逆読みで暗唱がペースダウンしたら、歩みも合わせてゆっくりと。初めは自分や短い名前の人、慣れたら芥川龍之介などロングバージョンにも挑戦!
※初出/女性セブン