糖質制限は認知症のリスクが!? 納豆&卵は予防対策に最強
高齢化が進み、今後もこれまで以上に増えていくことが予測されている認知症。親が、そして自分が将来そうならないためにも今から予防したい。40代を境に「からだ」も「食の常識」も変わると言う管理栄養士・日本抗加齢医学会指導士の森由香子さんに、新刊『病気にならない人は何を食べているのか』 (青春新書プレイブックス)から、認知症にならない食べ方について聞いた。
糖質制限をしている人は認知症になりやすい
減量のため、または健康管理のために糖質制限をする人はここ数年でかなり増えたが、自己判断で安易に行うと、健康を損ねる可能性もあり注意が必要だ。特に怖いのは、糖質制限によって認知症のリスクが高まること。
主食を抜いた分、おかずをたくさん食べて脂質を通常より多くとってしまうため、動脈に“脂汚れ”がたくさんついている可能性がある。これにより動脈硬化が進行してしまい、認知症になるリスクが高くなるという。
「認知症にはアルツハイマー型認知症や脳血管性認知症などがありますが、脳血管性認知症は、脳卒中予防の食事で予防ができると多くの研究者が指摘しています。糖質制限というと、おかずをいっぱいたべてカロリーを満たす人が多い。すると、揚げ物や肉など、悪玉コレステロールといわれるLDL-コレステロールを上げる原因とされる飽和脂肪酸のとりすぎになります。
飽和脂肪酸は、全摂取エネルギーの7%以下がよいとされますが、おかずばかり食べると7%は簡単に超えてしまいます。糖質制限を正しく理解して実践している人が少ないように見受けられますが、食事はバランスが大切で、脂質、たんぱく質、ビタミン類、ミネラル類も考えないといけません。脂質はとり過ぎず、炭水化物も適量とることが大事で、炭水化物は全摂取エネルギーの50~65%、脂質は20~30%を目安にしっかりとる。これが正しい“糖質制限”だと私は思います」(森さん、以下「」内同)
卵と納豆は認知症予防の最強コンビ
40才を過ぎたら積極的にとってほしいと森さんが勧めるのが、卵と納豆を組み合わせた食事。
「2つの食品に豊富に含まれているレシチンは、アルツハイマー病の予防効果が期待されている成分です。脳内でアセチルコリンという神経伝達物質に変わり、神経細胞や脳細胞を活性化してアルツハイマー病の予防や、学習能力のアップなどにも効果が期待されています。しかも、卵の良質なたんぱく質は脳の血管を丈夫にしてくれ、納豆に含まれているナットウキナーゼは血栓を溶かす作用があるため、脳の血管障害、脳梗塞、脳出血によって起こる脳血管性認知症の予防効果が高いのです」
さらに、卵には納豆に含まれていないビタミンAとビタミンB12が、納豆には卵に含まれていない食物繊維が含まれ、お互いに足りない栄養素を補い合える組み合わせでもある。
もし、脳血管性認知症の予防効果を最優先で考えるなら、血液は夜中から朝方の時間帯に固まりやすいと考えられていることから、朝食よりも夕食で食べる方がおすすめ。ただし、抗凝血薬のワーファリンを服用している人は、納豆のビタミンKが薬の効果を邪魔するので注意を!