視覚認知不良の早期発見は発達障害の早期支援に直結
幼児期の段階で「錯視」を用いたテストを
「錯視」が起こりにくい要因としてあげられるのが、空間認知における眼球運動や視覚情報の統合が不良であることだ。視覚認知は生まれた当初から完全に備わっているものではなく、成長過程でさまざまな学習のもとに形成されていくものだという。
視覚認知のプロセスには、次の4つのステージがある。
〔1〕視覚情報の入力。
〔2〕視覚。取り込まれた視覚情報を処理し、全体として把握する。
〔3〕認知。知覚した情報を意味情報と照合する。
〔4〕記憶。知覚・認知した情報を符号化し、保持し、想起する。
視覚認知機能は、視力などの視機能、眼球運動、奥行知覚などの発達に比例して徐々に獲得されていくものなので、もし視覚認知不良があれば早期発見に越したことはない。しかし未発達な幼少期に気づくことは難しいという。
そこで、この「錯視」を用いた心理テストを幼児期の早い段階に実施することで、発達障害を判断するひとつの目安にするというのが、和氣先生の研究である。
「今後の研究で『発達障害と錯視効果との関係』を明らかにすることによって、視覚認知発達検査に「錯視」を組み入れる可能性が出てくるでしょう。そうすれば学齢期以前の幼児が楽しみながら受診し、家庭や学校での日常生活がいっそう豊かになるように早期の支援を受けることができるようになると考えています」
家庭での早期発見、3つのポイント