ショートステイを賢く利用するコツ<2>~プロが教える在宅介護のヒント~
ショートステイを利用中、持ち物の紛失事故などトラブルが起こると、信頼関係が崩れてしまったり、ご本人がショートステイ利用を拒む原因になることがあります。そのようなことが起こらないようにするため、施設がお知らせする「持ち物リスト」などをよく確認して、過不足なく準備しましょう。
「持ち物リスト」には、ショートステイで必要な物が明記されています。それ以外の物は持たず、身軽にお越しください。
私が勤務する『至誠キートスホーム』ではとくに以下の点、徹底をお願いしています。
【持ち物(貴重品や衣類、日用品)】
・貴重品ほかすべてを指定のリストに明記する(貴重品類は施錠できる場所で保管)
・現金(お小遣い程度)の管理者を決める(ご本人か、施設か)
・衣類、上履き等すべてに記名する
【お薬】
・1回分ごと透明の小袋に分け、「名前」「いつ服用するか」を明記する
・お薬手帳、お薬の説明書の持参
これらは入・退所時に、職員とご本人、ご家族と確認しています。ご家族にはちょっと面倒な準備もあるかもしれませんが、とくにお薬に関しては飲み忘れや取り違えなどの事故防止のために大切なことですので、多くの施設で同様の対応をしていると思います。
なお、医師は常駐しておらず、看護師も日中のみの勤務なので、ショートステイ利用中に体調の変化などが起きた場合は、ご家族(緊急時連絡先)に相談し、医療機関に搬送するなどの対処をすることになります。
利用の際は、健康上の大きな問題がないことが前提です。ぜひ、ショートステイ利用前から体調管理に気をつけて、元気にお来しください。
施設は多くの方が共同生活を営む場です。また、体の弱っている高齢の方も多いので、感染症などの疑いがあるときは利用をお控えください。
利用されるご本人が気持ち良く、安全に過ごせ、ご家族も安心して介護をお休みすることができると、ショートステイは介護の大きな助けになるはずです。
岡田大輔さん:社会福祉法人至誠学舎立川至誠ホーム 至誠ホームキートス生活相談員・ショートステイ担当。社会福祉主事、介護福祉士。「初めてショートステイを利用した後、『施設暮らしのイメージが変わった』『家族にも自分にもとてもいいサービスだった』という方は少なくありません。介護は限界までご家族だけで頑張り過ぎず、さまざまなサービスを試してみて、合うもの、負担が軽減する機会を見つけてください」(岡田さん)。
取材・文/下平貴子