完成した本を手に持つ母。届いたのは6月5日。その一週間ほど前に、訪問診療に来てくれている主治医から「あと一週間ぐらいかもしれません」と言われていた。幸いその予想は外れ、この本と母の今の状況を知らせる手紙を見て、驚いてお見舞いに来てくれた多くの友人と話すことができた。「本が出来上がるまでは」という思いで頑張ってくれたのかもしれない(写真提供/石原壮一郎、以下同)
40年にわたり投稿してきた切り抜きは、たくさんのファイルにまとめて保管されたいた
左上の挨拶状は、母がまだペンを取れた4月下旬に「本に添えて送る挨拶を書いて」と頼んで、メモ用紙に書いてくれたものを元に作成。印刷会社はネットで「自費出版」で検索して探した。丁寧に柔軟に対応してくれて深く感謝している。ちなみに、A4版128ページ(うちカラー16ページ)で100部作製。費用は「ちょっと高めのパソコンぐらい」だった
巻頭の「グラビアページ」の一部。右ページの写真のセーラー服姿の何人かとは、80代になった今もつながりがあり、病床に何度もお見舞いに来てくれた。添えてある文章は、母に聞いた話を元に私がまとめて、「試し刷り」を確認してもらうという手順で作った
15年前に先に旅立った夫・石原健二について、あらためてインタビューしてみた。苦労させられたことへの恨みを語りつつ、息子が言うのもヘンだが、言葉の端々に深い愛情が感じられる。「石原昭子らしさ」を出すために方言をそのまま残した文体は、母の友人知人には好評だったものの、よその地域の人が読むと意味不明かもしれない