通所介護事業所の「社会参加の努力義務」実態アンケート結果が発表 6割が「実施せず」 見守り・安全管理が今後の鍵に
日本総研は「通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護における社会参加活動の実施状況に関する実態調査(対象期間:2023年8月~10月、対象者:通所介護事業所等合計1万か所と、その利用者家族)を行なった。
これは、令和5年度老人保健事業推進費等補助金を活用し、通所介護事業所の「社会参加」活動が努力義務化された背景を受け、実施状況や取り組み内容、事業所・職員・利用者等への効果を把握・整理することが目的だ。
活動の種類・実施割合調査とその結果
社会参加活動は以下の3つとそれ以外(活動D)に分類された。
活動A: 事業所内で地域住民や団体、企業と交流する活動
活動B: 事業所外で地域住民や団体、企業と交流する活動
活動C: 地域住民や団体、企業と連携し、利用者に役割がある形で行う活動(有償・無償ボランティア)
活動Aの実施割合は26.7%、活動Bは13.5%、活動Cは5.1%であり、事業所外での活動や地域との連携が求められる活動は実施が難しいことが示され、社会参加活動を「実施していない」事業所が全体の6割に上ることが判明。
アンケートやヒアリングでは、「事業所外での活動における職員の見守り体制の構築が難しい」「安全管理体制の不備」「活動に参加できる連携先の発掘が難しい」といった具体的な課題が浮き彫りになった。
先進事例の共有と自治体の支援が鍵
調査から明らかになったのは、事業所外の活動における職員の見守り体制や安全管理体制の不備が大きな課題であること。活動Aを実施するためには地域団体との関わりが重要であり、活動B・Cの実施には、事業所内外の見守り体制や利用者特性、地域ニーズの理解が必要であることが分かった。
調査結果を踏まえ、社会参加活動を普及するためには、先進事例の共有や活動の効果、ハードルを乗り越えるための工夫を広く発信することが求められる。また、自治体等の支援も不可欠であり、事業所外での活動や有償ボランティアに関する理解促進、地域資源との接点作りが必要とされる。
各自治体の効果的な取り組みを整理し、発信することが、社会参加活動の推進に寄与するだろう。
構成・文/介護ポストセブン編集部