兄がボケました~若年性認知症の家族との暮らし【第244回 寝坊でデイケアをお休みした日」
若年性認知症の兄と暮らすライターのツガエマナミコさんが綴るエッセイ。今回のお話は、兄が朝起きずデイケアに行けなかったというお話。週1回、兄がデイケアに行く日はマナミコさんにとって息抜きのとき、ストレス解消の“一人カラオケ”に出かけられる貴重な日なのです。しかし、その大事な日に、兄はなかなか起きてくれず…。

* * *
起きない兄との格闘
いや~、やられました。
デイケアの朝、起きないモードに突入されてしまいました。
何度起こしに行っても、「あんパンあるから食べよう」とニンジンをぶら下げても、「ふん、ふん」というばかりで起きようとしてくれません。10分説得し、しばらく放置し、忘れた頃にまた「おはようさん!」と言ってみると今度は少し起きる気配を見せるものの、やはり起きない。
おでこを触ってみても熱はなさそう。「どこか痛い?」「具合悪い?」「大丈夫?「起きられる?」と聞いても「ふん、ふん」と言うばかりで「うん」とも「ううん」とも取れない返事ばかり。それを何セットも繰り返すうちに、8時になってしまいました。デイケアのお迎えは8時35分。「今日は間に合わない」と判断したわたくしは、「お迎えの時間に間に合いそうにないので送迎はナシでお願いします。行けそうだったら歩いて行きま