兄がボケました~若年性認知症の家族との暮らし【第236回 認知症状には波があります】
ライターのツガエマナミコさんは、兄と2人暮らしです。症状が進んでいる若年性認知症の兄の様子には日々変化があるため、そのサポートには、難儀することも多く、マナミコさんの気苦労が絶えません。

* * *
言葉の代わりにジェスチャーで
お買い物の行き帰りに、しばしば老犬のお散歩を見かけるのですが、先日はついに車のついた補助具を付けられて歩いていました。だいぶ足腰が弱って、自分の足では体重が支えきれなくなったのでしょう。ギリギリ足が付くくらいにベルトで支えられ、うなだれた首でひたすらに足を前に出す老犬を見て、なんとも言えない気持ちになりました。「本当はそこまでして歩きたくないかもしれない」と思うと可哀想になりますし、「ご主人の喜ぶ顔をみるために頑張っているのかな」と思うと一層せつない。どこか人間にも重なる気がしてため息が出ました。
我が兄も歩行がだんだん怪しくなってきておりまして、段差はよほど気を付けなければいけません。マンションでは2階だというのにエレベーターを使うようになりました。
パンツ類をはくときも、自分でパンツを持って片足を上げるとふらつくので、兄には壁につかまっても